囀り石
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囀り石、囀石(さえずりいし)は、群馬県の文化財である大きさ約4メートルの巨石[1]。しゃべり石ともいう[2]。
所在地は吾妻郡中之条町大道。名前の由来は、かつてこの石が言葉を発したという妖怪伝説による[3]。
伝承
[編集]その昔、親の仇を探して旅をしていた男がこの地を通りかかり、この石を寝床として一夜を明かすことにした[4]。
夜中、男は人の話し声で目を覚ました。耳を澄ますと、声はなんと石の中から聞こえていた[5]。しかも話の内容は男の目指す仇のことであり、その仇の居場所まで話していた[2]。男はこれぞ神仏の助けと信じ、その場所へ赴き、見事に仇をとることができた[1]。
その後もこの石は幾度も声を発し、人々の役に立つことを話したので、土地の者は石の神としてこの石を祀った[4]。しかしあるとき、この石の近くを訪れた旅人が石の声を聞き、驚いて石の角を刀で斬りつけてしまった。以来、この石が声を出すことはなくなったという[2]。破片が飛んだ先が中之条町蟻河の割石の由来とされている[1]。
脚注
[編集]- ^ a b c 荒俣宏 & 應矢泰紀 2021, p. 37.
- ^ a b c 宋丹丹 2021, p. 77.
- ^ 暁風中島吉太郎 1932, p. 248.
- ^ a b 水木しげる 2004, p. 54.
- ^ 暁風中島吉太郎 1932, p. 249.
参考文献
[編集]- 村上健司 『妖怪事典』 毎日新聞社、2000年、169頁。
- 水木しげる「囀り石」『妖鬼化』 1 関東・北海道・沖縄編、Softgarage、2004年、54頁。ISBN 9784861330049。 NCID BA69100017。OCLC 795516472。国立国会図書館書誌ID:000007459983 。2024年8月17日閲覧。
- 暁風中島吉太郎「囀石」『伝説の上州』中島吉太郎氏遺稿刊行会、1932年、248-250頁。doi:10.11501/1443544。 NCID BA34980490。OCLC 673862166。国立国会図書館書誌ID:000000763860 。2024年8月17日閲覧。
- 荒俣宏、應矢泰紀「囀石」『アラマタヒロシの日本全国妖怪マップ』秀和システム、2021年、32頁。ISBN 9784798065076。 NCID BC09364365。OCLC 1266548781。国立国会図書館書誌ID:031568660 。2024年8月17日閲覧。
- 宋丹丹「岩石伝説の身体性に関する一考察 : 『日本伝説大系』と『日本の伝説』を中心に」『総研大文化科学研究』第17号、総合研究大学院大学文化科学研究科、2021年、59-80頁、CRID 1050006198845624448、ISSN 1883096X、NAID 40022524616、NCID AA12058987、OCLC 8984362273、国立国会図書館書誌ID:031356273、2024年8月17日閲覧。
関連項目
[編集]- 夜泣き石
- en:Answering Stone - 相手が嘘をついているかどうか答えるアイルランドの伝説の石