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四フッ化ウラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
四フッ化ウラン
識別情報
CAS登録番号 10049-14-6 チェック
ChemSpider 14676181 チェック
特性
化学式 UF4
モル質量 314.02 g/mol
外観 緑色結晶性固体
密度 6.70 g/cm3, 固体
融点

1036 °C, 1309 K, 1897 °F

沸点

1417 °C, 1690 K, 2583 °F

への溶解度 不溶
構造
結晶構造 単斜晶, mS60
空間群 C2/c, No. 15
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
EU分類 猛毒 (T+)
環境への危険性 (N)
Rフレーズ R26/28, R33, R51/53
Sフレーズ (S1/2), S20/21, S45, S61
引火点 なし
関連する物質
その他の陰イオン 塩化ウラン(IV)
臭化ウラン(IV)
ヨウ化ウラン(IV)
酸化ウラン(IV)
その他の陽イオン フッ化トリウム(IV)
フッ化プロトアクチニウム(IV)
フッ化ネプツニウム(IV)
フッ化プルトニウム(IV)
関連物質 六フッ化ウラン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

四フッ化ウラン または フッ化ウラン(IV) (UF4) はウランフッ化物で、緑色の結晶性固体である。蒸気圧が低く、水にはわずかに溶ける。酸化数4のウラン(ウラナス)はプロセス上で取り扱いが異なるため非常に重要である。ウラン精製工場ではグリーンソルトと呼ばれる。

四フッ化ウランは金属ウランまたはウラン酸化物(八酸化三ウラン U3O8 または 酸化ウラン(IV) UO2) から六フッ化ウランを得る際の中間物質である。六フッ化ウランを水素還元するか、酸化ウラン(IV)にフッ化水素を作用させることで得られる。四フッ化ウランはウラン酸化物に比較して不安定で、室温で空気中の水分とゆっくり反応して酸化ウラン(IV)とフッ化水素に分解する。フッ化水素は腐食性が極めて強いため、廃棄に時間をかけるのは望ましくない。 四フッ化ウランの密度は製法や原料のウラン化合物の種類によって 2.0 g/cm3 から 4.5 g/cm3 の範囲の値を取る。

溶融塩類を作動流体として用いる溶融塩原子炉では、四フッ化ウランの使用が想定されている。四フッ化ウランは他の塩類に比べて同位体分離が不要で中性子経済や減速効率がよく、蒸気圧が低くて化学的にも安定であることから選定される。

他のウラン塩と同様に、四フッ化ウランも有毒で、吸入・摂取・接触のいずれも危険である。

脚注

[編集]
  • Booth, H. S.; Krasny-Ergen, W.; Heath, R. E. (1946). “Uranium Tetrafluoride”. Journal of the American Chemical Society 68 (10): 1969. doi:10.1021/ja01214a028. 
  • Kern, S.; Hayward, J.; Roberts, S.; Richardson, J. W.; Rotella, F. J.; Soderholm, L.; Cort, B.; Tinkle, M. et al. (1994). “Temperature Variation of the Structural Parameters in Actinide Tetrafluorides”. The Journal of Chemical Physics 101 (11): 9333–9337. Bibcode1994JChPh.101.9333K. doi:10.1063/1.467963. 

外部リンク

[編集]
  • Uranium Tetrafluoride”. Appendix A of the PEIS (DOE/EIS-0269). Argonne National Laboratory. 22 November 2011閲覧。