坪井伸親
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坪井 伸親(つぼい のぶちか、ツボヰ ノブチカ、1969年 - )は、東京都出身の作曲家、音楽教育者。
1990年代に映像や放送用音楽を手掛け、その後は現代音楽に活動の場を移した。現在は、教育活動を中心とする[1][2]。
来歴
[編集]1969年、東京都に生まれる。日本大学藝術学部在学中に、藝術学部長賞、朝日作曲賞などを受賞。卒業後は芸術学研究所に入所。高橋源行、峰村澄子、湯浅譲二らに作曲を師事する。
青年時代は、伊福部昭やイーゴリ・ストラヴィンスキーらに音響的な刺激を与えられ、研究生時代には湯浅譲二の創作理念に影響を受け、作曲で「未聴の世界」を目指した。
1980年代は、管弦楽曲を中心に、いわゆる「現代の古典」的な20世紀音楽を意識し、模倣と試作を繰り返す。
1990年代には、声や器楽にエレクトロニクスを取り入れながら、作風をアヴァンギャルドな方向へ一気に急加速させた。この時期の作品は、アンサンブル アヴァンターゲ(ensemble avantages)などの演奏によってフランス、ハンガリー、中国など、海外でも取り上げられるようになる。1999年のスイス・ルツェルン【日本展】では「日本の新しい音楽が聴衆を魅了した」。一方で映像音楽や放送音楽を、分野ごとにペンネームを使い分けて提供し、作曲家 菊池俊輔のもとで劇伴を作曲することもあった。実名では国体や国際会議などの公用音楽を担当した。音楽プロデューサーとしてNHKや東映アニメーションの番組制作に携わる。
2010年以降は、音楽教育の場に身を移し、「近代芸術論」「和声学」「編曲法」「管弦楽法」等の講座を担当し、教材開発に携わる。
主要作品
[編集]管弦楽曲
[編集]- オーケストラコンチェルト(Orchestra Concerto)
- 「残景」オーケストラの為に(“Zankei” for Orchestra)
- シンフォニエッタ(Sinfonietta)
- オーケストラのための「ラインダトラクション」(Line D'Attractions for Orchestra)
- タブロウ=オーケストロニカ(Tableau Orchestronica)
- オーケストラルグリーン(Orchestral Green)
- 風のオーケストラ(KAZE NO ORCHESTRA)
- 砂漠の歌(Canzone del Deserto)
協奏曲
[編集]- 風とオーケストラ(KAZE TO ORCHESTRA)
- 新しい協奏曲 I(ピアノ協奏曲)Piano Concerto
- 新しい協奏曲 II(チェロ協奏曲)Cello Concerto
- 新しい協奏曲 III(クラリネット協奏曲)Clarineto Concerto
- 新しい協奏曲 IV(ファゴット協奏曲)Fagotto Concerto
- 新しい協奏曲 V(トランペット協奏曲)Trumpet Concerto
室内楽曲
[編集]- 弦楽四重奏のための「タブロウ」(Tableau for Quartet)
- 弦楽四重奏のための「ラインダトラクション」(Line D'Attractions for Quartet)
- 3本のクラリネットのための「ラインダトラクション」(Line D'Attractions for 3 Clarinets)
- アルトサックスヘテロフォニー(Alto Saxphone heterophony)
- 3人のアルトサックス奏者の為の「メロディア 」(MELODIA)
- 7人の奏者の為の「新しい景色!」を“New Landscape! ”for 7 Players
- 弦楽五重奏曲「海老」
- ピアノ三重奏 ドラマティコ エピソディオ I(Drammatico Episodio I for Piano Trio)
- ピアノ三重奏 ドラマティコ エピソディオ II(Drammatico Episodio II for Piano Trio)
- ピアノ三重奏 ドラマティコ エピソディオIII(Drammatico EpisodioIII for Piano Trio)
- ピアノ三重奏 ドラマティコ エピソディオIV(Drammatico EpisodioIV for Piano Trio)
- ピアノ三重奏 ドラマティコ エピソディオ V(Drammatico Episodio V for Piano Trio)
独奏曲
[編集]- ピアノ曲集(PIANO SONGBOOK)
- オルガン曲集 I(Organ SONGBOOKⅠ)
- オルガン曲集 II(Organ SONGBOOK Ⅱ)
- 学生のための平均律クラヴィーア曲集~学習プレリュード / フーガ(Das Wohltemperirte Klavier for student)
- ピアノフォニー(PIANOPHONY)
- シャドウズ パート1(Shadows part1 for Clarineto solo)
- シャドウズ パート2(Shadows part2 for Alto saxfone solo)
- シャドウズ パート3(Shadows part3 for Cello solo)
- ピアノのための旋律と和声の領域
- “ウズメのネトリ” 無伴奏 篳篥の為に
- 風の語り口~無伴奏クラリネットとエレクトロニクスのために
- 無伴奏チェロのための「生み出された時間」
- ピアノグラデーション
- チェロとエレクトロニクスのための音楽
- アルトサックスとエレクトロニクスのための音楽
吹奏楽曲
[編集]- 第一行進曲
- 第二行進曲
- “Earth=Air=Wind” for Wind Orchestra
- シャイニング ブライト 吹奏楽の為に
- 昭和コンプレッサー製造社(吹奏楽編)
- 「ドラマティコ エピソディオ」 吹奏楽の為の(Drammatico Episodio for Wind Orchestra)
その他
[編集]- ミサ(MASS)~3人の歌手と合唱付きオーケストラのための~
- I:キリエ(Kyrie)合唱、オーケストラ
- II:グローリア(Gloria)ソプラノ独唱、合唱、オーケストラ
- III:クレド(Credo)アルト独唱、合唱、オーケストラ
- IV:サンクトゥス(Sanctus)ソプラノ・アルト 二重唱、オーケストラ
- V:ベネディクトゥス(Benedictus)ソプラノ・ソプラノ・アルト 三重唱、合唱、オーケストラ
- VI:アニュス・デイ(Agnus Dei)無伴奏三重唱
- VII:イテ・ミサ・エスト(Ite Missa Est)ソプラノ・ソプラノ・アルト 三重唱、合唱、オーケストラ
- 2002年のエレクトロニクス実験(独奏楽器とエレクトロニクス)
- 2003年のエレクトロニクス音楽実験(声とエレクトロニクス)
- 2004年のエレクトロニクス音楽実験(声の多重録音)
- 2005年のエレクトロニクス音楽実験(独奏楽器とエレクトロニクス)
- 2006年のエレクトロニクス音楽実験(ノイズ)
- 2007年のエレクトロニクス音楽実験(ノイズ)
- 2009年のエレクトロニクス音楽実験
著書
[編集]- 音楽の仕掛け(1994、共著)
- ヒンデミットという音楽(1996、論文)
- ストラヴィンスキーの音(1997、論文)
- 音楽の仕掛け その2(1998、共著)
- 管弦楽法入門(1999)
- 学生のための作曲論(2002、尚美ミュージックカレッジ出版)
脚注
[編集]- ^ “04東京都高校吹奏楽コンクール”. miyagino.la.coocan.jp. 2024年2月13日閲覧。
- ^ “【特集】自己肯定と他者理解の精神を育む芸術科教育…聖セシリア”. 読売新聞オンライン (2021年8月12日). 2024年2月13日閲覧。