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埼玉新都市交通2020系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
埼玉新都市交通2020系電車
2020系26編成・ハッピーレインボートレイン(加茂宮駅にて)
基本情報
運用者 埼玉新都市交通
製造所 三菱重工業(21 - 23・26編成)[1]
三菱重工エンジニアリング(24・25編成)[2]
製造年 2015年 - 2024年
製造数 6両編成6本(36両)
運用開始 2015年11月4日
投入先 埼玉新都市交通伊奈線
主要諸元
編成 6両編成
軌間 1,650 mm
電気方式 三相交流600V,50Hz
剛体三相三線式
最高運転速度 60 km/h
設計最高速度 70km/h
起動加速度 3.5km/h/s (0.97m/s2)
減速度(常用) 3.5km/h/s (0.97m/s2)
減速度(非常) 4.5km/h (1.25 m/s2)
編成定員 260人(座席114人・立席146人)
車両定員 先頭車38人(座席13人・立席25人)
中間車46人(座席22人・立席24人)
車両重量 先頭車 10.8 t
中間車 10.5 t
全長 8,000 mm(連結面間)
全幅 先頭車:2,610 mm(バックミラー間寸法)
中間車:2,480 mm
全高 3,240 mm
床面高さ 1,120 mm
車体 アルミニウム合金
ダブルスキン構造
台車 三菱重工業製 4案内輪車軸ボギー台車(T - smover)
動台車:MDT304形/従台車:MTR304形[3]
主電動機 かご形三相誘導電動機
主電動機出力 125kW(装備数 1台/1両)
駆動方式 直角カルダン駆動方式
歯車比 1:6.833
定格速度 40.4km/h
制御方式 CI(コンバータ/インバータ)制御(IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置 東洋電機製造RG697-B-M(コンバータ/インバータ式、装備数2台/編成)(インターネットアーカイブ)
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ保安ブレーキ駐車ブレーキ
保安装置 車内信号ATC
備考 マスコン制御段数 力行3段、制動5段
集電装置 6台/編成片側 ユニット3台並列
出典[4]
2016年度
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埼玉新都市交通2020系電車(さいたましんとしこうつう2020けいでんしゃ)は、2015年(平成27年)11月4日より営業運転を開始した[5]埼玉新都市交通AGT新交通システム)用電車

概要

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2020系は、既存の1010系の置き換え及び1050系の取り換え準備のために導入が行われてきた2000系に続いて、残った1010系3編成の置き換えを目的として、同社で初めて三菱重工グループ製の車両を導入したものである。23編成までは三菱重工業製となっていたが、三菱重工業の交通システム製品の製造は2018年1月1日より三菱重工エンジニアリングに継承されたため、24・25編成では三菱重工エンジニアリング製となっている。ただし、同社は2023年4月に三菱重工業に統合されたたため[6]、26編成では三菱重工業製に戻った[1]

2016年度グッドデザイン賞受賞[7][8]

2015年11月と2016年2月、6月にそれぞれ1編成、計3編成を導入して、1010系を置き換えた。この3編成まで、購入に際して自治体とJR東日本の経営支援を受けた[9]。以後は自力調達となり、2019年2月には各所に改良を施した第4編成[10]2020年2月に第5編成を導入[11] して、1050系2本を置き換えた。2024年11月に2020系の最終編成となる第6編成を導入して、1050系1本を置き換える予定となっている。なお、1050系1本(第53編成)は代替編成が導入されないまま廃車になる予定である[12]

概説

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車体

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編成はゴムタイヤ式2軸車の6両編成。

外観は、並走する新幹線との調和性の高い、未来感のあるデザインを目指して設計された。車体は2000系のステンレス製から、アルミ製オールダブルスキン構造に変更され、1両あたり1 t超の軽量化が図られた[13]。前頭部はFRP(炭素繊維強化プラスチック)により構成している[3]

車体断面は、理想的なシートの傾きを基準に、最も車内を広くできる形状として、六角形になっている[13]。前面デザインや客用ドア周りも六角形を強調した配色になっている。

客用ドアは同社初となる外吊り式ワイドドア(従来の1,300 mm幅から1,400 mm幅に拡大)を採用した[13]。ドアには下部にも窓をつけ、下方の景色を望めるようにした[13]。ドアを駆動させる戸閉装置は、空気式に代わり富士電機製のFCPM方式(ラック・アンド・ピニオン)の電気式ドアエンジンを採用している[14]

台車には三菱重工業の最新式「T-smover」(軽量・高耐久性・低振動・低騒音・メンテナンスの容易性を備えた台車)を採用している。24編成では、人体に負荷をかける周波数を分析し、台車まわりを再設計した[2]。空気圧縮機(CP)は従来のレシプロ式に代わり、潤滑油の不要なオイルフリースクロール式(三菱電機製URC800D-1形)が使用されている[3]

行先表示器には、2000系同様LED式の表示器が使われ、前面運転台窓上のほか、側面にも設置されている。24編成以降はフルカラーLEDを採用している。

第1編成(21編成)の前面塗装には、埼玉新都市交通のコーポレートカラーであるグリーン(グリーンクリスタル)を基調とし、ホワイト、ブラックをあしらった。側面はブラック、シルバー、グリーンが採用されており、22編成ではオレンジ(ブライトアンバー)が、23編成ではピンク(ピュアルビー)、24編成では黄色(ゴールデントパーズ)[10]、25編成は紫色(トワイライトアメジスト)、第26編成は (ハッピーレインボートレイン) の愛称をつけられ、7色のレインボーが採用された[12][1]

車内

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座席は、ゆりかもめ7300系電車で採用されたG-Fit技術(密着性を高め、座面角度を調整し、足を投げ出しづらくした)のオールロングシートで、これまでよりフィット性が良くなった。配色は、座席は黒を基調に背もたれ中心部が緑、壁はホワイト、床下は薄いグリーンとなっている。座席の前にはスタンションポール(縦握り棒)もこれまで通り設置された。座席上部には荷棚が設置され、より利用しやすくなった。

先頭車の乗務員室直後には車椅子スペースが設置されており、合わせて非常通報装置が設置されている[13]。乗務員室と客室間の仕切り窓はシースルーパーテーション型とすることで、2000系よりも展望性を大幅に向上させている[13]。側窓は2段式で、下段は固定窓だが、上段は換気のため内倒れ式となっている[13]

各ドア上部には、2000系同様LED式の車内案内表示器が設置されており、次駅、行先などを案内する。また、ドアブザーも装備されている。

2018年からは全車両への防犯カメラ設置が開始された[15]。24編成では、シートの樹脂の改良による乗り心地向上、新製当初から防犯カメラの設置、手すり位置の変更を行った[2]

第26編成では、車椅子スペースと優先席が増設され、昨今の感染症対策を踏まえ、2号車と5号車の換気装置を1台から2台に増設、さらに車内の快適性向上のため、暖房器が増設された[12]

制御装置

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主変換装置には東洋電機製造製2レベルCI(コンバータ/インバータ)によるVVVFインバータ制御(RG-697-B-M形)を採用している[4]。機器はコンバータ部・インバータ部共IGBT素子(1,700V - 1,200A)を使用しており、三相交流をコンバータにより直流に変換後、VVVFインバータ装置で三相交流に変換して誘導電動機を制御する(PGセンサレスベクトル制御・定速運転対応)[4]主電動機かご形三相誘導電動機であり、型式はTDK-6450-B(端子電圧700V、電流133A、周波数55Hz、出力125kW、定格回転数1,610rpm、効率91.5%、力率85%)である[4]。1台のCIにより、3台の主電動機を制御する1C3M制御方式である[4]

乗務員室

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運転台は既存の車両と同じくワンマン運転に対応しており、運転台の正面には速度計などの計器類が、右側にはモニタ装置ディスプレイ(日立製作所製のATI[3])が配されている。主幹制御器は片手ワンハンドル式(デッドマン装置付)で、力行1 - 3ノッチ、ブレーキは1 - 5段・非常位置である[4]

24編成では運転ハンドルを改善するとともに、あらゆる体形の運転士が最適な運転ポジションに位置できるように改良した[2]

その他

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2019年(平成31年)1月16日に2000系2606号車のタイヤがパンクバーストした事故を受け、2020年令和2年)2月21日より、24編成から順次、タイヤ内圧監視装置の使用を開始する[16]

歴史

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  • 2015年(平成27年)
    • 11月1日 - 第1編成となる21編成(グリーンクリスタル)の体験乗車会が行われる。
    • 11月4日 - 21編成が営業運転を開始[5][17]
    • 11月11日 - 13日 - 第4回鉄道技術展にて、三菱が納入前の第2編成先頭車(2122)を展示(なお、車体の帯は21編成と同じグリーンクリスタルだった)。
  • 2016年(平成28年)
  • 2019年(平成31年)2月18日 - 第4編成となる24編成が営業運転を開始(ゴールデントパーズ)[10][20]
  • 2020年令和2年)2月21日 - 第5編成となる25編成が営業運転を開始(トワイライトアメジスト)[11]
  • 2024年(令和6年)11月25日 - 2020系最終編成の第6編成となる26編成が営業運転を開始(レインボー)[12][1]

編成表

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(ループ線のため、1往復ごとに車両の向きが変わる)
← 大宮・内宿
大宮・内宿 →
形式 2120形
(M1)
2220形
(M2)
2320形
(M3)
2420形
(M4)
2520形
(M5)
2620形
(M6)
機器配置 APU,CP CI BT BT CI APU,CP
車両番号 2121

2126
2221

2226
2321

2326
2421

2426
2521

2526
2621

2626

凡例

  • CI:主変換装置
    APU:補助電源装置
    CP:空気圧縮機
    BT:蓄電池

脚注

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  1. ^ a b c d 埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)向け当社2020系AGTの最終編成分を納入 計6編成そろい踏みでの営業運転がスタート(三菱重工業ニュースリリース・インターネットアーカイブ)
  2. ^ a b c d 埼玉新都市交通(ニューシャトル)向け 乗り心地を改善したAGT車両6両を追加納入(三菱重工業ニュースリリース・インターネットアーカイブ)
  3. ^ a b c d 日本鉄道車輌工業会「車両技術」252号(2016年9月)「埼玉新都市交通2020系 交流電車」pp.72 - 82。
  4. ^ a b c d e f 畠山卓也; 久保厳之; 山口敏弘 (2007年9月). “埼玉新都市交通株式会社向け2000系「ニューシャトル」新車用電気品” (PDF). 東洋電機技報 第116号. 東洋電機製造株式会社. pp. pp.7-11. 2010年2月26日閲覧。(インターネットアーカイブ)。
  5. ^ a b 新型車両2020系がデビュー!(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)。
  6. ^ 三菱重工エンジニアリングを三菱重工に統合 カーボンニュートラル社会実現に向けて体制強化(三菱重工業報道発表)。
  7. ^ a b 「新型車両2020系」が2016年度グッドデザイン賞を受賞しました!(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)。
  8. ^ 「新交通システム車両 ニューシャトル2020系」 - グッドデザイン公式 2016年10月2日閲覧
  9. ^ 埼玉県. “埼玉新都市交通への経営支援”. 埼玉県. 2020年12月1日閲覧。
  10. ^ a b c 2020 系 第4弾目の 24 (にいよん)編成がデビューします。(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)。
  11. ^ a b 2020系 第5弾目の25(にいごう)編成がデビューします - 埼玉新都市交通 2020年02月18日
  12. ^ a b c d 埼玉のミニ鉄道「ニューシャトル」に“新車”登場 アタマがレインボー!な特別編成 中身も一味違う!”. 乗りものニュース (2024年11月21日). 2024年11月21日閲覧。
  13. ^ a b c d e f g 交友社『鉄道ファン』2016年1月号CAR INFO「埼玉新都市交通2020系」pp.60 - 61。
  14. ^ 富士電機技報 2016年Vol.89 No.2 2015年の技術成果と展望 (PDF) (インターネットアーカイブ)。
  15. ^ ニューシャトル全車両に防犯カメラを設置します(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)
  16. ^ タイヤ内圧監視装置導入のお知らせ 埼玉新都市交通 2020年02月18日
  17. ^ a b 埼玉新都市交通  2020系第2編成 あすから投入 - 交通新聞社 トピックスニュース、2016年2月1日(インターネットアーカイブ)。
  18. ^ 最新型2020系第二弾 22編成がデビューします! - 埼玉新都市交通株式会社、2016年1月28日(インターネットアーカイブ)。
  19. ^ 2020系第3弾目の23(にいさん)編成がデビューします。(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)。
  20. ^ 三菱重工エンジニアリング,ニューシャトル2020系を追加納入 - 鉄道ファン2019年2月12日

参考文献

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外部リンク

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関連項目

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