天工開物
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天工開物(てんこうかいぶつ)は中国の明末(17世紀)に宋応星によって書かれた産業技術書。「天工」は造化の巧み(自然の業)、「開物」は人間の巧みを意味する。中国の産業技術史を展望するための書籍として評価されている。
内容
[編集]『天工開物』の目次構成は、次の通り。序文で、「五穀を尊び金玉を卑しむ」順序だとしている。
- 上巻
- 1. 穀類
- 2. 衣服
- 3. 染色
- 4. 調製
- 5. 製塩
- 6. 製糖
- 中巻
- 7. 製陶
- 8. 鋳造
- 9. 舟車
- 10. 鍛造
- 11. 焙焼
- 12. 製油
- 13. 製紙
- 下巻
- 14. 精錬
- 15. 兵器
- 16. 朱墨
- 17. 醸造
- 18. 珠玉
刊行と伝来
[編集]『天工開物』は明末期の1637年に刊行されたと考えられている。続く清の時代にも中国国内ではほとんど評価されず、散逸してしまった。
一方、日本では1708年(宝永5年)に貝原益軒の大和本草などに引用され、また木村蒹葭堂が秘蔵していたという[1]。1771年(明和8年)には訓点と添え仮名の施された和刻本が出版された。平賀源内[2]も読んだといわれる。
中国では1912年の中華民国建国後、地質学者の丁文江[3]が探していたところに、日本に留学して地質学を学んでいた章鴻釗が持ち帰ったことが契機となり、再評価されるようになった。
文献
[編集]- 共同研究
- 薮内清編『天工開物の研究』京都大学人文科学研究所研究報告、恒星社厚生閣、1953年