安全機能
安全機能(あんぜんきのう、英: safety function)とは、「アイテムが危害抑制を目的として行う機能」[1]である。似た用語として、安全関連機能がある。
安全機能と安全関連機能の違い
[編集]機械類の安全規格であるISO 12100やISO 13849-1では、安全機能は「故障がリスクの増加につながるような機械の機能」と定義されており、安全機能と安全関連機能が類義語として使われている。
E/E/PE系の機能安全規格であるIEC 61508では「E/E/PE安全関連系又は他リスク軽減措置によって遂行される機能。この機能は、特定の危険事象に関して、EUC に関わる安全な状態を達成又は保持する」と用語定義されている。安全関連機能は用語定義されていないが、IEC 61508の規格書の文中で「安全機能との独立性を証明できない安全以外の機能を含むもの」であることがわかるため、安全機能と安全関連機能は類義語ではない。
自動車の機能安全規格 ISO 26262では、安全機能という用語は定義されていない。安全関連機能と安全機構(安全メカニズム)は用語定義されている。安全 関連機能とは「安全目標の侵害に繋がる可能性がある機能」、安全機構とは「安全状態の達成又は維持を目的とし、フォールトの検出、又は故障の抑制のために、E/E機能、エレメント又はアザーテクノロジーにより実装される技術的な解決策」としている。
安全機能の例
[編集]IEC 61508のJIS版JIS C 0508:2014の付録(解説)[2]では、「プリクラッシュシステム(衝突予防機構)は車両が障害物と衝突する危険事象を回避するために、自動車に搭載したレーダ、カメラなどからの情報をコンピュータが分析して運転手に警告し、さらにブレーキを作動させるという安全機能」、「エアバッグは車両衝突時に開となり、乗員がハンドルなどで強打するリスクを緩和する安全機能」と紹介されている。
一般財団法人 日本自動車研究所では、自動車の安全機能の例として「電気/電子システムに故障が発生してもフェールセーフすること」[3]が紹介されている。
ISO 13849-1では、典型的な機械の安全機能として、次の例が紹介されている。
安全機能/特性
- 安全防護が開始する安全関連停止機能
- 手動リセット機能
- 起動/再起動機能
- 局部制御機能
- ミューティング機能
- ホールドテュラン機能
- イネーブル装置機能
- 予期しない起動の防止
- 閉じ込められた人の脱出及び救出
- 隔離及びエネルギー放散機能
- 制御モード及びモード選択
- 制御システムの様々な安全関連部の間の相互作用
- 安全関連入力値のパラメータ化の監視
- 非常停止機能
安全機能/安全に関するパラメータ
- 応答時間
- 速度、温度又は圧力などの安全に関連するパラメータ
- 動力源の変動、損失および復旧
- 指示及び警告
ロボットの安全機能の例としては、「ロボットの先端を250cm/秒を超えないように制御すること」[4]が紹介されている。
脚注
[編集]- ^ 一般社団社団法人 電気情報通信学会 Fundamentals Review Vol.1, No.2 安全性研究会 解説論文
- ^ JIS C 0508-2:2014
- ^ http://www.jari.or.jp/tabid/112/Default.aspx
- ^ http://www.rtnet-biz.jp
参考文献
[編集]- ISO 12100:2010
- JIS B 9700:2013 機械類の安全性 ‐設計のための一般原則-
- ISO 13849-1 機械類の安全性 ‐制御システムの安全関連部-
関連項目
[編集]