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実地検査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
会計検査院 (霞が関コモンゲート東館)

実地検査 (じっちけんさ)とは、会計検査院の職員である調査官が、現場に赴いて事実と計算書・証拠書類を照合する検査である[1]。調査官は行政機関公共工事などの事業の現場に出張して、計算書・証拠書類が正確か確認を行う[1]

検査の実態

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毎年の決算検査報告に記載される指摘事項の多くが、現場の調査官が突き止めた不正である[2]。実地検査による年間の出張は80日以上である[2]公共事業の工事現場である山中や海岸など、危険な場所でも実地検査は行われており、調査官の死亡事故も過去に起きている[2]

検査官の証言

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実地検査の実態について、ある調査官の証言を紹介する[3]

私たちは4、5人で一つのチームをつくり、1週間の日程で都道府県に出張します。(中略)

(中略) 現地では午前中に書類、午後には現場を検査するケースが多く、実際に書類を見ることができるのは約半日です。1日当たりせいぜい10件程度しか見られませんから、逆算すると1件当たり30分くらいですね。(中略)

(中略) ですから出張する1ヵ月ほど前に、主な工事の設計書や図面、写真を都道府県などから提出していただいて、事前に書面検査を実施しています。

実地検査で行われた観光

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一方、実地検査の間に観光旅行が行われた。 1991年6月、宇宙開発事業団沖縄追跡管制所の実地検査にて、5日の日程で実質の実地検査は9時間ほどで、それ以外の時間は沖縄観光に費やされた[4]。1995年9月、調査官2人に口頭での厳重注意、調査官補に注意処分が科せられた[5]。また、1978年、秋田県の実地調査にて調査官たちが温泉宿を利用していた[5]

検査の実地率

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2002年度、実地検査の実地率は8~9%にとどまった[5]。本省・本庁・本社などに限れば44.2%である[5]。2年に1度、実地検査が行われたことになる[5]

2002年における実地検査の対象となる組織と実地率は、以下のとおりである[6]

表. 2002年の実地検査
検査対象の組織 組織の箇所数(A) 検査を実施した箇所数(B) 実地率(%)(B/A)
本省・本庁・本社等 4,690 2,076 44.2
都道府県単位の地方出先機関等 9,336 931 9.9
小計 14,026 3,007 21.4
駅・特定郵便局 22,105 42 0.1
36,131 3,049 8.4

検査を行う箇所の選定

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実地検査を行う箇所の選定について、会計検査院は以下のように述べている[7]

実地検査を行う箇所は、検査計画で決められた重点項目や勢力配分、書面検査の結果、また、これまでの検査頻度・実績、国会の審議、マスコミや一般の人からの情報などを考慮して選定されます。

この選定の過程は部外秘とされる[8]。選定の情報源として、財務省主計局理財局との連絡会、総務省行政評価局との連絡会が指摘されている[9]

参考文献

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出典

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  1. ^ a b 西川伸一(著)『この国の政治を変える会計検査院の潜在力』、176頁。(第4章『会計検査院とはいかなる役所か』、3『会計検査院のしごと』、『実地検査』)。
  2. ^ a b c 西川伸一(著)『この国の政治を変える会計検査院の潜在力』、177頁。(第4章3『実地検査』)。
  3. ^ 日経コンストラクション』2001年6月8日号、38-39頁。
  4. ^ 西川伸一(著)『この国の政治を変える会計検査院の潜在力』、177-179頁。(第4章3『実地検査』)。さらに、本書は以下を出典としている。三浦雅男「税金食いつぶしの相関図」『THIS IS 読売』。
  5. ^ a b c d e 西川伸一(著)『この国の政治を変える会計検査院の潜在力』、179頁。(第4章3『実地検査』)。
  6. ^ 西川伸一(著)『この国の政治を変える会計検査院の潜在力』、173頁。(第4章3『実地検査』)。さらに、本書は以下を出典としている。「2001年度決算検査報告書」https://report.jbaudit.go.jp/org/h13/2001-h13-0004-0.html (会計検査院決算検査報告データベース)
  7. ^ 会計検査院のホームページ、「実地検査」より。検査の実施 | 活動内容 | 会計検査院 jbaudit.go.jp。2008年7月24日閲覧。
  8. ^ 西川伸一(著)『この国の政治を変える会計検査院の潜在力』、180頁。(第4章3『実地検査』)。
  9. ^ 西川伸一(著)『この国の政治を変える会計検査院の潜在力』、180頁。(第4章3『実地検査』)。さらに、本書は以下を出典としている。新藤宗幸(著)『講義 現代日本の行政』、東京大学出版会、2001年03月、142頁。ISBN 978-4130322041

関連項目

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外部リンク

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