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封印作品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

封印作品(ふういんさくひん)は、何らかの事情により公開できなくなった(とされている)作品を指す一種の俗語である[注 1]

概要

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文学漫画アニメ映画テレビ番組歌謡曲その他の作品の中には、製作あるいは公開された後、市場原理による淘汰を除く、「特別な支障」(後述)が生じたために公開・流通・配信がなされなくなった、あるいは「封印」(欠番)の理由を述べないまま公開をストップすることがままあり、背景には「特別な支障」が存在しているのではないかと噂されている作品が存在する。

需要の有無や、作品の人気と無関係に公開・流通・配信が止められるため、かえって読者・視聴者の興味を惹き、かつて正規ルートで出回っていた単行本・映像ソフトが中古市場で高値をつけたり、海賊版ビデオDVDが出回るなどの闇市場が形成されている事例もある。また、YouTubeなどの動画投稿サイトにて無断配信されている場合もある。

過去にはインターネットオークションでこのような海賊版も大量に出品されていたが、監視と規制が強化されたため、見かけることは少なくなった(たとえ非公開の作品であれ、著作権を有することに変わりはないため)。

ルポライターの安藤健二もその範疇に含まれるいくつかの作品について「封印作品」(「お蔵入り」とも)と称して取材を行い、『封印作品の謎』・『封印作品の謎2』として単行本にまとめた。

それ以降、トラブルを抱えたがために公開・流通に何らかの影響が出た著作物と関連づけて「封印作品」という語は、頻繁に用いられるようになってきている。

問題点

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上記のように便宜的に用いられている語であり、何をもって「封印作品」とみなすのか、なぜ「封印作品」「欠番」としたのか、原作者や制作スタッフも(公式の場で)その理由を語らないため、必ずしも共通の理解がされているわけではない。

『封印作品の謎2』で紹介された『キャンディ・キャンディ』について、安藤の取材を受けた原作者の水木杏子(名木田恵子)は、「『封印』という呼び方は適当ではない」という旨の発言をしている。これは、「封印」という言葉を使うと、誰かが意図的に作品の公開を妨げているとの印象があるが、『キャンディ・キャンディ』に関しては「問題が解決され、再び公開されることを望んでいるから」と述べている。

原板メディアの不良が発生して再生が困難、または原板自体が紛失した場合については、1970年代後半頃まで記録用のVTRやフィルムの質が低く、また使い回しが多かったなどの物理的事情もあることから、意図的な理由による「封印作品」とは異なる。

封印作品の例

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安藤が「封印作品」として著書で取り上げている以下の作品のみ記載。「※」がついているのは「封印作品」や「欠番」とされた理由と経緯が公式で説明され、また何らかの措置(作品の打ち切り絶版、制作スタッフによる謝罪、掲載誌の回収など)が執られた作品を示す。

作品自体の例
一部(欠番回が存在する作品、欠番の理由を明言している作品など)のみの例

脚注

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注釈

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  1. ^ 「封印」の定義や理由、また特定の作品が「封印」に当てはまるかどうかについては非常に曖昧で客観的な定義が存在しないため、話者の恣意的な判断によるところが大きい。したがって、その定義は作品によって異なる。
  2. ^ 手塚治虫コミカライズ版は封印されておらず、再販売も行われている。
  3. ^ 堀江美都子によるアニメ版主題歌など、いがらしゆみこ作画や、それを基にしたアニメイラストが用いられていないものに関しては封印されていないため、実例として、2010年には漫画原作者が自ら執筆した原作の途中までを総集編的にアレンジしたノベライズ版が、原作イラストの削除と文章の加筆修正の上で、作者ペンネームが、本業の児童文学作家としての名木田恵子名義に変更(原作版元である講談社青い鳥文庫から刊行された旧小説版は、漫画原作者としての水木杏子名義)された上で祥伝社より復刊され、前作の結末より後から原作の最終回までを名木田が執筆した、完結作の続編も、前作の復刊版と同じ出版社から新たに刊行された。
    また、サウンドトラックアルバム『キャンディ キャンディ SONG & BGM COLLECTION』における2015年の再発売分は、ジャケットやブックレットが、アニメのイラストが掲載されていないものに刷新されている。
    封印作品となって以降、アニメ版主題歌が収録されている各種テレビアニメ主題歌集のCDも、原則としてイラストが掲載されていないが、例外として、封印前に日本コロムビアから発売された『続々・テレビまんが主題歌のあゆみ』のジャケットには主人公のイラストが掲載され、封印後の2005年に再発売された分でも削除されず、名木田および東映アニメーション側も特に修正を申し入れていない。
  4. ^ その他にも、旧版コミック以外で未収録となった話が存在する。旧版はLINE漫画で配信されている。
  5. ^ その後、単行本自体も絶版となった。

出典

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  1. ^ a b 安藤健二『封印作品の憂鬱』洋泉社、2008年。ISBN 978-486248-3386 

参考文献

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関連項目

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