小林倫子
小林 倫子(こばやし りんこ、本名:小林グルジンスカ倫子(Kobayashi Grudzińśka Rinko)、1951年2月19日 - )は、兵庫県生まれの日本のピアニスト。1977年からポーランドのワルシャワに在住。夫はワルシャワショパン協会とショパン国際ピアノコンクールの事務総長を長年務めたアルベルト・グルジンスキ (Albert Grudziński)。ポーランドでは、フレデリック・ショパン作品の演奏家として知られる。
来歴・人物
[編集]2歳から本を読み始め、サトウハチローの詩にメロディをつけて童謡を作曲していた。山田耕筰が新聞記事でそれを知り、山田は詩を持参して曲を作るように話した。小林によるメロディーは、冒頭と末尾が山田が付けた曲とよく似ていたという。山田は自筆でそれぞれを楽譜に写し、後に遠山音楽財団付属図書館が出版した『山田耕筰作品資料目録』に掲載された。
3歳から歌を、4歳から内田聆子の下でピアノを始める。5歳からは歌唱やピアノ演奏でテレビにも複数回出演したほか、子供むけミュージカルでの主演経験もあった。小学校5年生から中学3年生までは福岡県で佐藤博子・原田吉雄に師事した。
桐朋女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学に進み、この間に井口基成・小島準子に師事したほか、齋藤秀雄にも個人的に指導を受けた。また、別宮貞雄からは作曲を学ぶ。卒業時に「音楽賞」を受賞した。
大学卒業後、東京音楽大学と東京音楽大学付属高等学校で講師を務める。
第39回と第40回の日本音楽コンク-ルで連続入選し、第18回海外派遣コンク-ルで特別表彰を受賞した。1980年、第10回ショパン国際ピアノコンクールでディプロマと特別賞を得る。アンジェイ・ヤシンスキに指導を受け、日本人では唯一の弟子となった。
1987年からワルシャワラジオテレビ室内オーケストラで解散時まで数年間, ソリストを務めた。
ニューヨークのカーネギー・ホール、ロンドンのウィグモアホ-ル、ウィ-ン国際マイスタ-コンチェルトシリーズを始め、ヨ-ロッパ・アメリカ・日本・台湾で、リサイタルやオ-ケストラとの共演をおこない、国際フェスティバルにも出演している。1995年にデンマーク女王のマルグレーテ2世がポーランドを訪問した際に、臨席の場で演奏した。
ディスコグラフィ
[編集]演奏CD・LPは、Warner Music Poland・Poskie Nagrania・ポニーキャニオン・ZPR Records・Polskie Nagrania Edition・Audiostaxなどからヨ-ロッパ・アメリカ・日本でリリースされている。また、YouTubeの他、Spotify, Apple Music, Deezer, Amazon Music Unlimited, Tidal、Wynk Musicなどのストリ-ミングにアップされている。
1998年リリ-スの「Chopin Forever」は、99年にポ-ランドでのクラシックピアノ部門で初めてのゴ-ルドCD(1万枚)を、また翌年にはポ-ランドのクラシックソロピアノ(協奏曲部門ではクリスティアン・ツィメルマンが受賞)で初めてのプラチナCD(2万枚)を獲得した。
1999年に国立ポ-ランドラジオシンフォニ-オ-ケストラと世界初録音した『Rinko Kobayashi plays Roman Maciejewski』は、第6回フレデリク賞の現代音楽部門にノミネートされた。
出版物
[編集]『世界子供のためのピアノ曲集ポ-ランド編』を夫と監修・出版した。夫とその兄の共著『ショパン、愛と追憶のポ-ランド』を松本照男とともに日本語に翻訳して2006年に刊行した[1]。
賞歴
[編集]1988年、ショパンの作品を国際的に広めた功績を認められて文化大臣から「ポ-ランド人民共和国文化功労賞」を受ける。
2002年、ポ-ランド大統領より「ポ-ランド共和国功労騎士十字勲章」を受章。
脚注
[編集]- ^ ショパン愛と追憶のポーランド - 月刊ショパン