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小電力無線局

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

小電力無線局(しょうでんりょくむせんきょく)は、電波法に規定する免許を要しない無線局の内、一部のものの通称である。

概要

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電波法第4条に規定する免許を要しない無線局の内、同条第3号には「空中線電力1W以下である無線局のうち総務省令に定めるもので、総務省令に定める機能により他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用することができるものでかつ、適合表示無線設備のみを使用するもの」と規定している。 この総務省令とは電波法施行規則のことで、第6条第4項に規定している。

これらは、電波法令上に文言は無いが「小電力」と称する無線局が含まれていることから、通称として小電力無線局と呼ばれる [1] [2] [3] [4] [5] [6]

電気通信回線に接続する機器は電気通信事業法上の端末機器でもあり技術基準適合認定も要する。

種別

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電波法施行規則第6条第4項の各号に規定される。 最大空中線電力は、種別毎に各号またはこれに基づく告示に規定されている[7]

2018年(平成30年)6月29日[8]現在

  1. コードレス電話の無線局
  2. 特定小電力無線局
  3. 小電力セキュリティシステムの無線局
  4. 小電力データ通信システムの無線局
  5. デジタルコードレス電話の無線局
  6. PHS陸上移動局(中継機能を持つものを除く。)
  7. 狭域通信システムの陸上移動局及び狭域通信システムの陸上移動局の無線設備の試験のための通信を行う無線局
  8. 5GHz帯無線アクセスシステムの空中線電力10mW以下の陸上移動局および携帯局
  9. 超広帯域無線システムの無線局
  10. 700MHz帯高度道路交通システムの陸上移動局
  11. 5.2GHz帯高出力データ通信システムの空中線電力200mW以下の陸上移動局

表示

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適合表示無線設備として技適マークが表示されていなければならない。 あわせて、技術基準適合証明番号または工事設計認証番号も付されなければならない。

技術基準適合認定を受けた端末機器でもあるものには、上述の表示に加えて技術基準適合認定番号、設計認証番号または届出番号も付されなければならない。

旧技術基準による機器の使用

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2005年(平成17年)12月に無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準の改正[9]により、旧技術基準に基づき認証された適合表示無線設備の使用期限は「平成34年11月30日」[10]とされた。

旧技術基準の無線設備とは、

  • 「平成17年11月30日」[11]までに認証された適合表示無線設備
  • 経過措置として、旧技術基準により「平成19年11月30日」までに認証された適合表示無線設備[12]

である。

該当するものは上記の内、

1.コードレス電話の無線局
2.特定小電力無線局(移動体識別用の2441.75MHz(周波数ホッピング方式) は除く。)
3.小電力セキュリティシステムの無線局
5.デジタルコードレス電話の無線局
7.狭域通信システムの陸上移動局及び狭域通信システムの陸上移動局の無線設備の試験のための通信を行う無線局

である。

  • 特定小電力無線局の周波数ホッピング方式、小電力データ通信システム、PHS、5GHz帯無線アクセスの機器が除外された[13]のは、従前の許容値が新たな測定法によるものと比較しても低くなることから、従前の技術基準をそのまま新技術基準としたこと[14]による。

この使用期限は、2021年(令和3年)8月にコロナ禍により[15]「当分の間」延期[16]された。

この延期により小電力無線局の旧技術基準の適合表示無線設備は、新たな使用期限が設定されるまで、令和4年12月1日以降は「他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り」使用可能とされた。 [17]

沿革

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1987年(昭和62年)- 電波法令改正により制度化 [18] [19]

  • 当初、空中線電力は0.01W以下で種別はコードレス電話の無線局のみであった。

1989年(平成元年)- 特定小電力無線局が追加[20]

  • 種類は告示[7]によるものとされた。

1992年(平成4年) 

  • 小電力セキュリティシステムの無線局が追加[21]
  • 小電力データ通信システムの無線局が追加[22]

1993年(平成5年)- デジタルコードレス電話の無線局及び簡易型携帯電話の陸上移動局が追加 [23]

1997年(平成9年)- 有料道路料金収受システムの無線局が追加 [24]

1998年(平成10年) 

  • 簡易型携帯電話の陸上移動局がPHSの陸上移動局(中継機能を持つものを除く。)と改称[25]
  • ワイヤレスカードシステムの無線局が追加[25]

2001年(平成13年)- 有料道路料金収受システムの無線局は、狭域通信システムの陸上移動局及び狭域通信システムの陸上移動局の無線設備の試験のための通信を行う無線局と改称 [26]

2002年(平成14年) 

  • ワイヤレスカードシステムの無線局が削除[27]
  • 5GHz帯無線アクセスシステムの空中線電力10mW以下の陸上移動局が追加[27]

2006年(平成18年)- 超広帯域無線システムの無線局が追加 [28]

2011年(平成23年)

  • 最大空中線電力が1Wまでに緩和[29]
  • 700MHz帯高度道路交通システムの陸上移動局が追加[30]

2012年(平成24年)- 5GHz帯無線アクセスシステムの空中線電力10mW以下の携帯局が追加 [31]

2018年(平成30年)- 5.2GHz帯高出力データ通信システムの空中線電力200mW以下の陸上移動局が追加 [8]

脚注

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  1. ^ 小電力無線局 電波利用(関東総合通信局
  2. ^ Q3:特定小電力無線局とは? 免許を要しない無線局(北陸総合通信局
  3. ^ 特定小電力無線局 微弱・特定小電力無線局(近畿総合通信局
  4. ^ Q&A 01:ワイヤレスマイクとラジオマイクの違いは?(特定ラジオマイク運用調整機構
  5. ^ ARIB TR-T18 小電力無線局解説書電波産業会技術資料)
  6. ^ 小電力無線局(情報通信振興会 - 情報通信法令wiki - 用語解説) - ウェイバックマシン(2022年7月3日アーカイブ分)
  7. ^ a b 平成元年郵政省告示第42号 電波法施行規則第6条第4項第2号の規定に基づく特定小電力無線局の用途、電波の型式及び周波数並びに空中線電力 総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集
  8. ^ a b 平成30年総務省令第39号による電波法施行規則改正
  9. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正
  10. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第1項
  11. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正の施行日の前日
  12. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第4項
  13. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第2項第2号、第4号、第5号、第7号
  14. ^ 2-2スプリアス領域発射の強度の許容値(1)許容値におけるRRと現行国内規定との関係(電波利用ホームページ - その他の制度 4.参考資料(2)無線設備の「スプリアス発射の強度の見直し」平成17年12月 p.11)(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  15. ^ 無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集 -新スプリアス規格への移行期限の延長-(総務省報道資料 令和3年3月26日)(2021年4月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  16. ^ 令和3年総務省令第75号による無線設備規則改正の令和3年8月3日施行
  17. ^ 令和3年総務省令第75号による無線設備規則改正附則第2項
  18. ^ 昭和62年法律第55号による電波法改正により第4条第1項但書きに第3号として追加
  19. ^ 昭和62年郵政省令第48号による電波法施行規則改正により第6条に追加
  20. ^ 平成元年郵政省令第3号による電波法施行規則改正
  21. ^ 平成4年郵政省令第21号による電波法施行規則改正
  22. ^ 平成4年郵政省令第78号による電波法施行規則改正
  23. ^ 平成5年郵政省令第50号による電波法施行規則改正
  24. ^ 平成9年郵政省令第58号による電波法施行規則改正
  25. ^ a b 平成10年郵政省令第111号による電波法施行規則改正
  26. ^ 平成13年総務省令第63号による電波法施行規則改正
  27. ^ a b 平成14年総務省令第96号による電波法施行規則改正
  28. ^ 平成18年総務省令第104号による電波法施行規則改正
  29. ^ 平成23年法律第65号による電波法改正
  30. ^ 平成23年総務省令第162号による電波法施行規則改正
  31. ^ 平成24年総務省令第15号による電波法施行規則改正

関連項目

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外部リンク

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