少年が来る
少年が来る 소년이 온다 | ||
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著者 | ハン・ガン | |
訳者 | 井手俊作 | |
発行日 |
2014年5月19日 2016年10月31日 | |
発行元 |
創作と批評社 クオン | |
国 | 韓国 | |
言語 | 朝鮮語 | |
ページ数 | 216 | |
コード | ISBN 978-8936434120 | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『少年が来る』(しょうねんがくる、소년이 온다)とは、ハン・ガンが執筆した2014年の小説である[1][2]。光州事件を題材にしている[1]。
内容
[編集]民主化を求める市民や学生を軍が武力弾圧し、多くの犠牲者が出た1980年の光州事件を題材にしている[1]。抗争に巻き込まれた学生や家族、そして活動家が何を思っていたのか、どんな風に命を失っていったのか、生存者はその後をどう生きたのかが描かれた[3]。
なお、光州は著者ハン・ガンの地元である[1]。ハン・ガンは『朝日新聞』の取材に対し「遺族や生存者へインタビューはしませんでした。傷を開きたくはないと思ったからです。読める資料を全部読むようにしました。事件の資料を1カ月かけて読んだ時は圧倒されました」と語っている[4]。
背景・評価
[編集]光州事件において当時15歳で軍に殺害された少年、文在学を主人公のモデルにしている[5]。出版社「創作と批評社(チャンビ)」が運営するブログ「창문」で2013年11月から2014年1月にかけて連載され、2014年5月19日に出版された。
蜂飼耳は本作について「この小説は割り切れない怒りと悲しみを凝視することをやめない」と評している[6]。また、ソウル市内の小さな独立系書店では、光州事件で市民が最後の抵抗をした5月18日から27日に合わせて、毎晩『少年が来る』の朗読会が行われた[2]。
なお、ハン・ガンは2024年にノーベル文学賞を受賞した[1]。翻訳家、文芸評論家の鴻巣友季子はハン・ガンの作品について「民主化運動の光州事件を題材にした『少年が来る』や、古代ギリシャ語を勉強する女性が主人公の『ギリシャ語の時間』など、どの作品も実験性とストーリーテリングが見事にマッチしていて、韓国文学のなかでも一頭地を抜いている」と評している[7]。
翻訳
[編集]- 日本語:『少年が来る』クオン、2016年10月31日、井手俊作訳。ISBN 978-4-904855-40-9。
- 英語:Human Acts, Portobello Books, 2016.
- イタリア語:Atti umani, Adelphi, 2017.
- ドイツ語:Menschenwerk, Aufbau Verlag, 2017.
脚注
[編集]- ^ a b c d e 「(社説)ハン氏に文学賞 人間性の本質問い続け」『朝日新聞』朝刊オピニオン2面、2024年10月13日、8ページ。
- ^ a b 「ノーベル文学賞 作家・韓江さんを支える朗読会」『毎日新聞』2024年10月15日
- ^ 「過酷な競争社会を生き抜くヒント BTSらが手にした韓国発“アイドルセラー”6冊」『アエラ』2022年08月22日、64ページ。
- ^ 「(インタビュー)暴力に満ちた世界、光は 作家、ハン・ガンさん」『朝日新聞』朝刊オピニオン1面、2024年05月28日、11ページ。
- ^ 共同通信 (2024年12月1日). “「光州事件」の真相普及を期待 ノーベル賞きっかけに犠牲者遺族”. 東京新聞. 2024年12月8日閲覧。
- ^ 「(書評)『少年が来る 新しい韓国の文学15』 ハン・ガン〈著〉」『朝日新聞』朝刊読書2面、14ページ。
- ^ 「詩の言葉で書く、大きな真実 ノーベル文学賞、語り合う 鴻巣友季子さん、柳原孝敦さん」『朝日新聞』朝刊文化面、2024年10月13日、19ページ。