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月刊少年キャプテン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
少年キャプテンから転送)

月刊少年キャプテン』(げっかんしょうねんキャプテン)は、徳間書店1985年1月から1997年1月(同年2月号)まで刊行していた少年漫画雑誌である。

概要

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1985年1月22日創刊。創刊号の公称発行部数は25万部だった[1]

創刊ラインナップは、たがみよしひさ安彦良和立原あゆみ柴田昌弘大橋薫(原作:平井和正)、あさりよしとお沢田翔、豊島U作、粉味、のなかとおる、かもしたゆきひさ小野ぬい高屋良樹

月刊コミコミ』(白泉社)、『月刊コミックNORA』(学習研究社)、『月刊コミックコンプ』(角川書店)等と共にマニア系雑誌の先駆けだった。

同社の『リュウ』『プチアップルパイ』の流れを汲んでいたことから、初期から少年誌という枠組みに捉われない自由な編集方針であった。また、大塚英志などのフリー編集者が出入りしていたことから、高屋良樹増田晴彦あさりよしとおなど、『レモンピープル』『漫画ブリッコ』などの美少女漫画誌やマニア誌で活躍していた漫画家を積極的に招き、後期も成人向け漫画など他誌・他ジャンルから田沼雄一郎陽気婢がぁさん大暮維人らをスカウトしていた。新人作家では星里もちる[2]永野のりこ来留間慎一をデビューさせている。なお、当初は高屋、増田をはじめ、他誌とは異なるペンネームで執筆する例が多かった。

初期にはメジャー誌や「少年向け」を意識し、週刊少年サンデー系の中堅漫画家によるスポーツ漫画なども掲載されていたが、定着したのはたがみよしひさ石川賢あろひろし島本和彦安永航一郎など、メジャー誌出身でも極めてマニアックな作風の漫画家だけだった。しかし、執筆陣が充実するに従い、ラブコメホームコメディファンタジーからヒーローアクションまで、多彩なジャンル、ラインナップを擁する雑誌となった。

1993年頃からは次第にメディアミックス色が強くなったが、石川賢の『ゲッターロボ號』や田丸浩史の『超兄貴』など、オリジナルとは大きくかけ離れた独自色の強い作品も少なくなかった。その一方で、本誌オリジナルの作品も引き続き掲載され、内藤泰弘松本嵩春田丸浩史伊藤勢西川魯介など、同人誌や新人賞出身の若手作家が台頭した。この時期の主力作家だった『頑丈人間スパルタカス』の安永航一郎は、単行本の後書きで「かなり自由に描かせてもらった」と述べている。『スパルタカス』はカラーページで乳首を見せびらかすヒロインや、ヌード・フェンシング、まわしレス相撲など、おおよそ少年向けとは思えぬ下ネタが連発されていた。

90年代前半の佐々木果編集長時代には、田沼雄一郎シャイニング・フォース』、陽気婢『フレックスキッド』など、成人向け漫画家による特殊な性嗜好の強い作品も掲載されたが、末期の田山三樹編集長時代は、つぶらひでとも神秘の世界エルハザード』、大暮維人BURN-UP W』、池上竜矢『アミテージ・ザ・サード』、斉藤和衛『バウンティ・ソード 〜ラインメタル異本〜』など、パイオニアLDCAIC系のOVAコミカライズが極端に多くなった。田山は休刊後、AICへ移り『AICコミックLOVE』を編集した後、YMO評論家となった。

1997年2月号で休刊(事実上の廃刊)となったが、高屋良樹強殖装甲ガイバー』、道原かつみ銀河英雄伝説』(原作は田中芳樹)、内藤泰弘トライガン』などは掲載誌を変え、連載継続となった。なお、前編集長であった佐々木果は「ササキバラ・ゴウ」名義で漫画評論家となり、『トライガン』などを担当していた編集チーフの金子亜規子は富士見書房で『月刊コミックドラゴン』の編集に関わった後、文芸畑へ転じて、桜庭一樹冲方丁を担当。後にKADOKAWA文芸統括部統括編集長となった[3][4]

増刊号として、島本和彦仮面ボクサー』、星里もちるいきばた主夫ランブル』など、青年誌を模索して3号で休刊した『ヤング・キャプテン』(1988年)と、松本嵩春バーチャファイター レジェンド・オブ・サラ』、松永祭『ヴァンパイアハンター』など、ゲーム系コミカライズ中心の『コミック鉄人』(1994年 - 1995年)が発行されていた。

休刊の顛末

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本誌は1997年2月号を最後に、突如休刊した。雑誌自体の売り上げが落ち込んでいた末期も単行本の売れ行きは良く、「普通の掲載作でも雑誌と同数程度、人気作ならば10倍程度」と当時の編集者は語っていた。一方で、本誌が「単行本の見本誌」状態になって売り上げ部数が落ち込んでいたことも、休刊へ踏み切った要因のひとつである。しかし、最終号には休刊の告知も挨拶も一切掲載されておらず、次号予告がごく普通に掲載されているなど、休刊決定が突然だったと窺わせた。

休刊は執筆陣にとっても唐突だった。がぁさんは『たいむskipラン♪』の後書きで「1996年12月、そろそろ次号の打ち合わせという頃に、突然、編集さんから電話で(パニックに陥った編集部の喧噪と共に)休刊を告げられた」、「休刊の決定は編集長にすら知らされておらず、『せめてあと1冊(休刊号)』の願いも虚しく、編集部は解散させられた」と語っている。あさりよしとおも後に『ヤングアニマル』誌上で、「10年以上1度も休まず続けていた連載が、一瞬にして終わった」と述懐している。

他の連載作品でも、休刊号で何らかの結末や区切りが描かれた作品は皆無で、全連載が打ち切り・未完となったが、『神秘の世界エルハザード』『BURN-UP W』など、パイオニアLDCAIC系のメディアミックス系作品は増刊号や単行本描き下ろしの形で完結している。

休刊後、いくつかの人気連載は他誌に移籍し、連載を続行した。内藤泰弘トライガン』は『ヤングキングアワーズ』移籍後にテレビアニメ化された。長谷川裕一高屋良樹菅野博士西川魯介田丸浩史伊藤勢大暮維人などの主力作家は担当編集者の移籍に伴い、『月刊少年エース』『月刊コミックドラゴン』など角川書店系のコミック誌へ、松本嵩春は『ウルトラジャンプ』へそれぞれ活躍の場を移した。

他にも多くの漫画家が様々な媒体で執筆を続けており、かつての連載作品もたびたび復刊、リバイバルされている。

創刊号掲載作品

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休刊号掲載作品

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主な掲載作品

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映像化作品

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アニメ化

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劇場アニメ
作品 公開年 アニメーション制作 備考
GREY 1986年 葦プロダクション
強殖装甲ガイバー 1986年 スタジオ・ライブ
OVA
作品 発売年 アニメーション制作 備考
夢幻紳士 冒険活劇篇 1987年 スタジオぎゃろっぷ タイトルは「夢幻紳士 冒険活劇編」
魔神伝 1987年 D.A.S.T タイトルは「真魔神伝 バトルロイヤルハイスクール」
宇宙家族カールビンソン 1988年 動画工房
虚無戦史MIROKU 1989年 アニメイトフィルム
強殖装甲ガイバー 1989年-1990年(第1期) ビジュアル80
1992年(第2期)
左のオクロック!! 1989年 東映動画
青空少女隊 1994年-1995年(第1期) スタジオファンタジア
1996年(第2期)
楽勝!ハイパードール 1995年

みすて♡ないでデイジーと、トライガンのテレビアニメ化は出版社移籍後である。

実写化

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テレビドラマ
作品 放送年 制作 備考
MORUMO 1/10 1987年 フジテレビ共同テレビ タイトルは「宇宙少女モルモ10分の1」
実写映画
作品 放送年 制作 備考
強殖装甲ガイバー 1991年(第1作) 松竹 1作目タイトルは「GUYVER」
2作目タイトルは「GUYVER DARK HERO」
なお、2作目は日本未公開
1994年(第2作)

逆境ナインの実写映画は出版社の移籍後である。

関連項目

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  • 佐々木果 - 元徳間書店社員。1992年から1995年まで編集長。退職後はササキバラ・ゴウ名義でライター、評論活動の傍ら、フリー編集者として松本嵩春アガルタ』などを担当していた。
  • 田山三樹 - 元徳間書店社員。1997年休刊時の編集長。退職後はAICで「AICコミックLOVE」、富士見書房で「ドラゴンHG」の編集長を務めたが、いずれも短期で休刊。現在はYMO評論家。
  • 月刊マンガボーイズ - 1994年から1995年に本誌と同じ徳間書店から発売していた[11]少年漫画誌であるが、こちらは小学生~中学生をターゲットにしており純粋な少年漫画を掲載していた。なお、広告を双方に掲載し合っていた。

脚注

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  1. ^ 「コミック誌──徳間、少年向けを創刊、関連会社とメディアミックス(出版台風圏)『日経産業新聞』1984年12月26日付、5頁。
  2. ^ 既に他誌でデビューしていたがメジャーデビュー前。掲載誌変更となった『いきばた主夫ランブル』が小学館編集者の目に止まり『ビッグコミックスピリッツ』で『りびんぐゲーム』を連載した。以後は小学館系青年誌での連載がメインとなる。
  3. ^ CORPORATION, KADOKAWA. “全国の書店員、編集者から絶賛の声続々! 河野裕『昨日星を探した言い訳』8月24日発売! | KADOKAWA”. KADOKAWAオフィシャルサイト. 2023年8月21日閲覧。
  4. ^ 「黒牢城(こくろうじょう)」”. hitocinema.mainichi.jp. 2023年8月21日閲覧。
  5. ^ 奴隷戦士マヤ』で知られる、このどんとの別名義。
  6. ^ GIVE ME(くれくれ)たまちゃん! - マンガ図書館Z(外部リンク)
  7. ^ イーグルドライバー - マンガ図書館Z(外部リンク)
  8. ^ 「KAME」「まつりみこ」の別名義。
  9. ^ いつづきかなうの別名義。
  10. ^ 『アミテージ・ザ・サード』の大棚ザラエと同一人物。
  11. ^ 発行・編集は当時存在していた別会社(株式会社コミックギャラリー)が担当。