コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

尾吹善人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

尾吹 善人(おぶき よしと、1929年11月12日 - 1995年12月4日 )は、日本法学者憲法)。千葉大学名誉教授従三位勲三等旭日中綬章。朝鮮釜山出身。

略歴

[編集]

人物

[編集]

カール・シュミットハンス・ケルゼン研究で功績を残す。カール・シュミット『憲法理論』(1972年)、ハンス・ケルゼン『法と国家の一般理論』(1991年)の翻訳は、名著として知られる。またアメリカ連邦憲法表現の自由研究でも有名である。

基礎理論と解釈論に関する主な業績は、没後12年目にあたる2007年、東北大学の後輩や日本大学時代の門下生たちによって、論文集『憲法の基礎理論と解釈』(信山社)としてまとめられ、刊行された。その他に『基礎憲法』(東京法経学院出版、1978年)、『憲法教科書』(木鐸社、1993年)といった概説書や、『学説判例事典・憲法』(東出版、1970年)『憲法基本判例』(有斐閣、1986年)『日本憲法』(木鐸社、1990年)などがある。いずれも平易な表現で学界の水準を語ったものとして、評価が高い。

その一方で、『憲法徒然草』(三嶺書房、1983年)、『憲法学者の大あくび』(東京法経学院出版、1988年)、『憲法学者の空手チョップ』(東京法経学院出版、1991年)、『寝ても覚めても憲法学者』(ファラオ企画、1992年)といった一般向けのエッセイ集も書いていた。

小林直樹のシュミット理解の不十分さを指摘し、同教授と論争した。菅野喜八郎とは、東北大学研究生の先輩後輩の仲で、新潟大学や日本大学で同僚として過し、その交友関係は長く続いた。論文集『憲法の基礎理論と解釈』の刊行にあたっては、菅野自身も校正作業に加わり、あとがきを執筆している。ちなみに、この仕事が菅野(2007年7月没)にとって最後の仕事となった。

清宮四郎門下。

著作権継承者の不明と、それに伴う著書再版の困難さについて

[編集]

2011年4月に出版社有斐閣の関係者が「著作権公衆送信権)許諾の事後承認制度はできないだろうか?」という文章[1]を発表。その中で「著作権者との連絡が取れない方々の一人」の例として尾吹を挙げ、そのエッセイ集の一部が古書価格が高騰していること、仮に電子書籍などで復刻をしたいと思っても「相続人の住所も不明」であると明かしている。

脚注

[編集]