岡本太郎の眼
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岡本太郎の眼(おかもとたろうのめ)は、日本の芸術家、岡本太郎が週刊朝日 に1965年(昭和40年)から1年間連載した随筆および、それらを纏めて1966年(昭和41年)に出版された随筆集の名称である。
概要と出版状況
[編集]芸術家、岡本太郎が伝統行事、政治、ファッション、スポーツ、文学など、1年のそれぞれの月ごとに関連する森羅万象のテーマに沿って、自らの社会観、人生観について書いたエッセイで、「週刊朝日」に1965年(昭和40年)の1月から12月まで、52回にわたり連載された。自らの創作活動についても言及されており、当時制作中だった久国寺の梵鐘「歓喜」にまつわる逸話が取り上げられている。
『岡本太郎の眼』の単行本は1966年(昭和41年)、朝日新聞社より刊行され、多くの版を重ねたが、1980年(昭和55年)に『岡本太郎著作集』で収録刊行された後は、絶版状態が続いていた。岡本の再評価が進み、歿後2年経った1998年(平成10年)にはチクマ秀版社から『眼 美しく怒れ』で増補再版されたほか、21世紀には角川書店でも再刊されている。
収録作品タイトル
[編集]タイトルの表記は原書に拠る。
- 1月
- 祭は生きがい-お正月
- 空白は跳躍台-目標
- 20歳ではおそすぎる-成人式
- 美しい日本人として怒る-期待される人間像[注釈 1]
- 2月
- 命をかける楽しみ-スキー
- 日本的天才をひらけ-文化財保護
- 東大幼稚園の母親たち-教育制度
- 政治感覚ゼロ-紀元節論議
- 4月
- 人間不在の無気味な轟き-近代総力戦
- 透明な眼-青空
- 手放しの混乱-靴と下駄
- その日限りの生命をひらききる-お花見
- 奇妙な国辱意識-港の投げ銭
- 5月
- 不当への怒り-子供対大人
- レジャーにまで勤勉-堂ヶ島風景
- 民族的な特性-以心伝心
- 残酷な現実-ベトナム海兵大隊戦記
- 6月
- 茶の間の平和より世界の平和-女・子供に
- 現代人の制服-背広
- 貫いて敗れる人間の誇り-根性論の誤り
- 災難よけ流線型-前こごみ
- 7月
- 敗戦の夏-おみこし文化
- 抵抗の生きがい-モダニズム
- 本職は生きること-専門家
- 反人間考-オバケ
- 生命の衝動-子供の絵
- 8月
- 孤独について-カラス
- とざされたモラル-愛国心
- 宇宙が叫ぶ-梵鐘・歓喜
- 炸裂する空間-スピード
- 11月
- 無条件の喜び-オモチャ
- 半身だけの現実-代用時代
- 色オンチ-独自に彩る生活
- 近代にスポイルされる-物の重み
- 12月
- ルールを守る側・破る側-政治の暴力
- 古池や………-和歌・俳句論
- いつでも新鮮-忘れることの美徳
- ポトラッチの経済学-贈り物
- 再生の歓喜-フィナーレ
刊行書誌
[編集]- 1966年(昭和41年) 朝日新聞社(単行本)
- 1980年(昭和55年) 講談社『岡本太郎著作集』第8巻
- 1998年(平成10年) 『眼 美しく怒れ』チクマ秀版社(岡本敏子編、増補版)
- 2004年(平成16年) 『眼 美しく怒れ』 同・新装普及版
- 2011年(平成23年) 『美しく怒れ』角川 oneテーマ21(新書、上記を抜粋)
- 2020年(令和2年) 角川文庫(新編版)