岸輝子
きし てるこ 岸 輝子 | |
---|---|
読売新聞社『家庭よみうり』351号(1953年)より | |
本名 | 伊藤 キシ |
生年月日 | 1905年5月1日 |
没年月日 | 1990年5月10日(85歳没) |
出生地 | 日本・北海道 |
職業 | 女優 |
ジャンル | 演劇、劇映画(時代劇・現代劇、トーキー)、テレビ映画 |
活動期間 | 1925年 - 1974年 |
配偶者 |
東屋三郎(? - 1935年) 千田是也(1942年 - 1990年) |
主な作品 | |
映画 『野良犬』 『キクとイサム』 『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』 『にっぽん昆虫記』 『白い巨塔』 | |
受賞 | |
芸術祭奨励賞(1966年) |
岸 輝子(きし てるこ、本名:伊藤 キシ[1]〈いとう キシ〉、1905年5月1日[1] - 1990年5月10日[1])は、日本の女優。夫は千田是也[1]。千田らとともに劇団俳優座を創設。
来歴・人物
[編集]北海道出身[1]。北海高等女学校卒業[1]。一旦は就職すものの俳優を志し、1925年に築地小劇場に入り[1]研究生となる。初舞台は、『寂しき人々』。築地小劇場の分裂を経て、1936年、新築地劇団に入団[1]。1940年に弾圧による解散[2]後、1944年2月に青山杉作、千田、東野英治郎、小沢栄太郎、東山千栄子ら10人で劇団俳優座を創立[3]、以降俳優座の中心女優として活躍し、多くの舞台に立った。『肝っ玉おっ母とその子供たち』はその代表作で、1966年に芸術祭奨励賞を受賞している。1963年に東山千栄子、村瀬幸子、永井智雄らとヨーロッパへ演技研究に出かけている。
舞台のほか、映画でも活躍。映画デビューは小山内薫監督の『黎明』(未公開)。戦後から本格的に活動し、黒澤明監督の『野良犬』を筆頭に、多くの作品に登場した。
特に母親役や老け役で名演を残しており、日本を代表する老け役の1人でもあった。
私生活では、東屋三郎と結婚するも、1935年に死別。1940年に千田と同棲、同年新劇人に対する大がかりな弾圧がおこなわれ[2]、千田は逮捕・投獄されるが1942年に出所、同年千田と結婚[1]した。
1962年4月14日、安保闘争に関わった女性たちによって「日本婦人会議」が設立され[4]、議長には岸、田中寿美子、松岡洋子、深尾須磨子、羽仁説子、高田なほ子、野口政子、田所八重子ら8人が就任した[5]。
同年10月19日、岸、平塚らいてう、いわさきちひろ、野上弥生子、羽仁説子、桑沢洋子、櫛田ふき、深尾須磨子、壺井栄ら32人の女性の呼びかけにより「新日本婦人の会」が結成された[6][4]。
主な出演作品
[編集]映画
[編集]- 黎明(1927年、ミナトーキー)
- 求婚三銃士(1936年、P.C.L.)
- 流旅の人々(1941年、南旺映画・第一協団)
- 女優須磨子の恋(1947年、松竹)
- 結婚(1947年、松竹) - 下宿主婦
- 野良犬(1949年、映画芸術協会・新東宝) - スリのお銀
- レ・ミゼラブル ああ無情(1950年、東横) - お六
- 海の花火(1951年、松竹) - 母さみ
- 慾望(1953年、近代映画協会) - 山崎久子
- 思春の泉(1953年、新東宝・俳優座) - そで子婆さん
- 雲ながるる果てに(1953年、重宗プロ・新世紀映画)
- 勲章(1954年、俳優座) - 菊子
- 市川馬五郎顛末記 浮草日記(1955年、山本プロ) - 太田の婆さん
- 処刑の部屋(1956年、大映)
- 夕やけ雲(1956年、松竹) - 菓子屋のお神さん
- 日本橋(1956年、大映) - 蒟蒻島の阿婆
- 森は生きている(1956年、民芸・独立映画)
- あらくれ(1957年、東宝) - お島の母
- 危険な英雄(1957年、東宝)
- 純愛物語(1957年、東映) - ドヤのかみさん
- 怒りの孤島(1958年、日映) - 妻トリ
- 人間の條件(1959年、松竹) - 岡崎の妻
- 荷車の歌(1959年、全国農村映画協会) - 姑
- 惜春鳥(1959年、松竹) - 桃沢たね
- キクとイサム(1959年、大東映画) - おかつ
- 人間の壁(1959年、山本プロ) - 与田消防団長夫人
- 武器なき斗い(1960年、大東映画) - さき
- 松川事件(1961年、松川事件劇映画製作委員会) - 園子の母・タニ
- 飼育(1961年、大宝) - 塚田ます
- 喜劇 にっぽんのお婆あちゃん(1962年、MIIプロ) - いじわるばあさんかく
- 二人で歩いた幾春秋(1962年、松竹) - その母
- にっぽん昆虫記(1963年、日活) - 松木りん
- 五番町夕霧楼(1963年、東映) - おみね
- 砂の上の植物群(1964年、日活) - 女将
- 猟人日記(1964年、日活)
- 白昼の通り魔(1966年、創造社) - シノの祖母
- 白い巨塔(1966年、大映) - 東政子
- 眠狂四郎人肌蜘蛛(1968年、大映)
- 私が棄てた女(1969年、日活) - 森田キネ
- サマー・ソルジャー(1972年、勅使河原プロ) - 母親
- サンダカン八番娼館 望郷(1974年、東宝・俳優座) - ナミ
テレビドラマ
[編集]- 東芝土曜劇場 第5話「草を刈る娘」(1959年、CX)
- 菊池寛シリーズ / 海の勇者(1959年、NTV)
- おかあさん(TBS)
- 第91話「笑いと波の音」(1961年)
- 第144話「愛の代償」(1962年)
- 第229話「手術のとき」(1964年)
- 第389話「白い春」(1967年)
- 指名手配(NET)
- 第100・101話「偽装離婚」(1961年)
- 第124・125話「絆」(1962年)
- 女の園(NHK)
- 第18話「桃の花咲く」(1962年)
- 第50話「蜜月」(1962年) - お福さん
- 文芸アワー / 田舎教師(1962年、NTV)
- 文芸劇場(NHK)
- 第34話「草を刈る娘」(1962年)
- 第61話「この世で一番粋なこと」(1963年)
- 近鉄金曜劇場(TBS)
- 足摺岬(1962年)
- 激流にのれ(1966年)
- こども名作座 / 夜明け朝明け(1962年、NHK)
- 愛の劇場 第165話「毒薬はいかが」(1962年、NTv)
- 判決(NET)
- 第8話「暗い轍」(1962)
- 第91話「半日本人」(1964年)
- 第152話「空のイルリゲーター」(1965年)
- テレビ指定席 / ある結婚(1963年、NHK)
- 夫婦百景 第262話「和楽三代夫婦」(1963年、NTV)
- シャープ月曜劇場 第12話「おえん」(1963年、CX)
- 日本映画名作ドラマ(NET)
- 山と川のある町(1963年)
- 鶯(1964年)
- 晩鐘(1964年)
- 風雪(NHK)
- 開化聖代(1964年) - 武家の奥方
- 万機公論(1964年) - 老婆
- NHK劇場 / 都会(1966年、NHK)
- 部長刑事 第385話「野暮てん」(1966年、ABC)
- 木下恵介アワー(TBS)
- 記念樹(1966年) - 村越すえ
- おやじ太鼓(1968年) - イネ
- 剣 第42話「縁切寺異聞」(1968年、NTV)
- 日産スター劇場 / おじゃまさま(1968年、NTV)
舞台
[編集]- 検察官(1946年)
- 神を畏れぬ人々(1946年)
- 中橋公館(1947年)
- 馬(1948年)
- 赤い陣羽織(1948年)
- 女房学校(1950年)
- 桜の園(1951年)
- 天使(1952年)
- 女の平和(1954年)
- 森は生きている(1955年)
- 町人貴族(1955年)
- どれい狩り(1955年) - その付添い 役
- 赤いカーディガン(1955年)
- 三人姉妹(1956年)
- ピクニック 夏の日のロマンス(1956年)
- 死んだような平和(1957年)
- ウィンザーの陽気な女房たち(1957年)
- 幽霊はここにいる(1958年、1970年) - 大庭トシエ
- 見知らぬ人(1959年)
- 千鳥(1959年、1967年)
- 巨人伝説(1960年)
- 石の語る日(1961年)
- 十二夜(1961年)
- 鈍琢亭の最期(1962年) - 松隈あぐり
- 有福詩人(1964年)
- ハムレット(1964年) - ガートルード
- おまえにも罪がある(1965年)
- 国語(1966年)
- 肝っ玉おっ母とその子供たち(1966年、1969年) - アンナ・フィアリング
- 未必の故意(1971年) - 島民C
- 母(1972年)
著書・参考文献
[編集]- 岸輝子『夢のきりぬき 千田と私のこと』東京新聞出版局、1980年。ISBN 978-4-8083-0029-6。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 婦選会館調査出版部 編『全国組織婦人団体名簿』財団法人婦選会館、1981年8月。
外部リンク
[編集]- 岸 輝子 - 日本映画データベース