川上浩一
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川上浩一 | |
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生誕 | 和歌山県 |
国籍 | 日本国 |
研究分野 | 分子生物学、遺伝学、神経科学 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
出身校 | 東京大学 |
プロジェクト:人物伝 |
川上 浩一(かわかみ こういち、1960年[1]〈昭和35年〉 - )は、日本の遺伝学者、分子生物学者[2]。国立遺伝学研究所教授[3]。理学博士(東京大学)[4]。トランスポゾンを用いたトランスジェニックゼブラフィッシュの作製法の開発に成功した[5]。ゼブラフィッシュ国際学会(International Zenrafish Society)(2014-2021)及びゼブラフィッシュ疾患モデル学会(Zebrafish Disease Models Society)(2014-2021)の創設理事を務めた。学術誌eLife編集委員[6](2020-)。
国際的なゼブラフィッシュ研究への貢献が認められ、2021年、欧州ゼブラフィッシュ学会(European Zebrafish Society)から1995年度のノーベル生理学・医学賞を受賞した研究者の名前を冠したクリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルト賞(Christiane Nüsslein-Volhard Award)を受賞した[7][8]。
経歴
[編集]和歌山県生まれ[9]。東京大学理学部生物化学科卒業。東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程修了、同理学博士[10]。
東京大学医科学研究所助手、マサチューセッツ工科大学博士研究員(ナンシー・ホプキンスNancy Hopkins 研究室に所属)、国立遺伝学研究所助教授を経て、同研究所教授になる。2003 - 2007年には、アメリカ国立衛生研究所(NIH)から、研究代表者として研究費(総額901,870米ドル)を獲得している[11]。
主な研究業績
[編集]- 2000年(平成12年) - 脊椎動物のトランスポゾンの転移活性を証明[12]
- 2004年(平成16年) - トランスジェニックゼブラフィッシュ作製法の開発[5]
- 2008年(平成20年) - Gal4-UAS法によるゼブラフィッシュの細胞操作法の開発に成功[13]
- 2013年(平成25年) - 脳の神経活動のリアルタイムイメージングに成功[14]
- 2017年(平成29年) - 食欲をコントロールする神経回路の発見[15]
- 2019年(平成31年)- 魚類と哺乳類の睡眠パターンの類似性の発見[16]
- 2020年(令和2年) - ゼブラフィッシュのALSモデルの開発[17]
受賞歴
[編集]- 2021年 クリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルト賞(Christiane Nüsslein-Volhard Award)[7]
- 2023年 令和5年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)「脊椎動物における遺伝子組換え技術に関する研究」[18]
研究費等
[編集]- 2003年 - 2007年 Genetic methods using the Tol2 transposable element. アメリカ国立衛生研究所(NIH)研究費。1R01GM069382-01(2003.8-2007.7)
- 2006年 - 2010年 基盤研究(S)トランスポゾンを用いたGal4エンハンサートラップ法による脊椎動物初期発生研究. 日本学術振興会 [1](2006.4-2010.3)
記事等
[編集]- 遺伝研、脳に映る視覚世界をリアルタイムで観察することに成功(マイナビ)(2013-2-1)
- 「魚の思考」をライブで視覚化:動画(WIRED)(2013-2-5)
- ろんぶ〜ん 食欲の秋 獲物を視覚的に認識したときの視床下部下葉摂食中枢の活性化(NHK教育テレビジョン)(2018-11-8)
- 【進化学】ヒトはゼブラフィッシュのように眠る (nature asia)(2019-7-11)
- 魚と人間、同じ眠り方? レム睡眠、日米研究チーム確認 (朝日新聞DIGITAL)(2019-7-11)
- U. Mayor CIB researcher traveled to the laboratory of Dr. Koichi Kawakami, one of the drivers of transgenesis in zebrafish(2019-11-27)
- 魚の眠りにヒトとの共通点 日米仏チームが発見、ネイチャーに発表 (SankeiBiz)(2019-8-8)
- 魚にもノンレム睡眠・レム睡眠があった! 国立遺伝学研究所などの研究 (財経新聞)(2019-9-6)
- てんかん発作の前兆解明 国立遺伝研とノルウェー科学技術大 (東京新聞)(2019-10-4)
- 食べものを前にすると、なぜ「食べたい」と思うのか? その答えは、遺伝子組み換えゼブラフィッシュの放つ「光」が教えてくれる(NHKbooks本がひらく)(2020-2-21)
- 日本がつくった熱帯魚が世界で年間1000本の学術論文を生んでいる (ニコニコニュース)(2020-5-20)
- PCR検査の拡充重要 分子生物学の専門家として発信 国立遺伝学研究所・川上浩一教授=和歌山出身、箕面育ち (毎日新聞) (2022-1-19)
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ “てんかん発作の前兆解明 国立遺伝研とノルウェー科学技術大:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “【研究者データ】川上浩一”. 日本の研究.com. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “国立遺伝学研究所”. www.nig.ac.jp. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “博士論文”. 1987年3月30日閲覧。
- ^ a b Kawakami, Koichi; Takeda, Hisashi; Kawakami, Noriko; Kobayashi, Makoto; Matsuda, Naoto; Mishina, Masayoshi (2004-07-01). “A Transposon-Mediated Gene Trap Approach Identifies Developmentally Regulated Genes in Zebrafish” (英語). Developmental Cell 7 (1): 133–144. doi:10.1016/j.devcel.2004.06.005. ISSN 1534-5807 .
- ^ “Editors for Neuroscience” (英語). eLife. 2021年10月29日閲覧。
- ^ a b “EZS European Zebrafish Society” (英語). www.ezsociety.org. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “国立遺伝学研究所”. www.nig.ac.jp. 2021年11月4日閲覧。
- ^ “PCR検査の拡充重要 分子生物学の専門家として発信 国立遺伝学研究所・川上浩一教授=和歌山出身、箕面育ち /大阪”. 2022年9月9日閲覧。
- ^ “IGER64 グリーン自然科学レクチャー”. 2018年7月17日閲覧。
- ^ Kawakami, Koichi (英語). Genetic methods using the Tol2 transposable element .
- ^ Kawakami, Koichi; Shima, Akihiro; Kawakami, Noriko (2000-10-10). “Identification of a functional transposase of the Tol2 element, an Ac-like element from the Japanese medaka fish, and its transposition in the zebrafish germ lineage” (英語). Proceedings of the National Academy of Sciences 97 (21): 11403–11408. doi:10.1073/pnas.97.21.11403. ISSN 0027-8424. PMID 11027340 .
- ^ Asakawa, Kazuhide; Suster, Maximiliano L.; Mizusawa, Kanta; Nagayoshi, Saori; Kotani, Tomoya; Urasaki, Akihiro; Kishimoto, Yasuyuki; Hibi, Masahiko et al. (2008-01-29). “Genetic dissection of neural circuits by Tol2 transposon-mediated Gal4 gene and enhancer trapping in zebrafish” (英語). Proceedings of the National Academy of Sciences 105 (4): 1255–1260. doi:10.1073/pnas.0704963105. ISSN 0027-8424. PMID 18202183 .
- ^ Muto, Akira; Ohkura, Masamichi; Abe, Gembu; Nakai, Junichi; Kawakami, Koichi (2013-02-18). “Real-Time Visualization of Neuronal Activity during Perception” (英語). Current Biology 23 (4): 307–311. doi:10.1016/j.cub.2012.12.040. ISSN 0960-9822 .
- ^ Muto, Akira; Lal, Pradeep; Ailani, Deepak; Abe, Gembu; Itoh, Mari; Kawakami, Koichi (2017-04-20). “Activation of the hypothalamic feeding centre upon visual prey detection” (英語). Nature Communications 8 (1): 15029. doi:10.1038/ncomms15029. ISSN 2041-1723 .
- ^ Leung, Louis C.; Wang, Gordon X.; Madelaine, Romain; Skariah, Gemini; Kawakami, Koichi; Deisseroth, Karl; Urban, Alexander E.; Mourrain, Philippe (2019-07). “Neural signatures of sleep in zebrafish” (英語). Nature 571 (7764): 198–204. doi:10.1038/s41586-019-1336-7. ISSN 1476-4687 .
- ^ Asakawa, Kazuhide; Handa, Hiroshi; Kawakami, Koichi (2020-02-21). “Optogenetic modulation of TDP-43 oligomerization accelerates ALS-related pathologies in the spinal motor neurons” (英語). Nature Communications 11 (1): 1004. doi:10.1038/s41467-020-14815-x. ISSN 2041-1723 .
- ^ “令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者”. www.mext.go.jp. 2023年5月15日閲覧。
外部リンク
[編集]- 川上浩一 (@koichi_kawakami) - X(旧Twitter)