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巨人ゴーレム (1920年の映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
巨人ゴーレム
Der Golem, wie er in die Welt kam
『巨人ゴーレム』ポスター
監督 パウル・ヴェゲナー英語版
カール・ベーゼ
脚本 ヘンリック・ガレーン英語版
パウル・ヴェゲナー
製作 パウル・ダヴィットソン
出演者 パウル・ヴェゲナー
アルベルト・シュタインリュック
リディア・サルモノワ
エルンスト・ドイッチュ
ローター・ミューテル
撮影 カール・フロイント
グイド・ゼーベル
製作会社 ドイツ国の旗 PAGU
配給 ドイツ国の旗 ウーファ
日本の旗 松竹[1]
公開 ドイツ国の旗 1920年10月29日
日本の旗 1923年[2]または1924年10月20日[1]
上映時間 91分
製作国 ドイツの旗 ドイツ国
言語 サイレント映画ドイツ語インタータイトル
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ミネソタのDuluth Herald紙に載った新聞広告(1921)。上段はイディッシュ語

巨人ゴーレム(きょじんゴーレム、: Der Golem, wie er in die Welt kam)は、1920年公開の無声ホラー映画ドイツ表現主義の初期の作品である。タイトルロールの怪物ゴーレムを演じたパウル・ヴェゲナー英語版監督も務めた(共同監督はカール・ベーゼ)。撮影は後に渡米し、ユニバーサル・ホラーで活躍したカール・フロイント[3]

ヴェゲナーがゴーレムを演じるのはこれが3度目となる(いずれも監督)。1本目は1915年の『ゴーレム』。2本目は1917年の『Der Golem und die Tänzerin(ゴーレムと踊り子)』で、これはホラーでなく短編喜劇。ヴェゲナーは本物のゴーレムではなく、惚れた女を怖がらせるためにゴーレムの化粧をする男を演じた。

ヴェゲナーは1915年版の話の運びに不満を持っていた。制作の都合で妥協したからである。そんな折、『プラーグの大学生』の撮影中に、プラハで語り継がれていたゴーレム伝説を聞くことができ、それをそのまま描こうと考えた。そして完成したのがこの映画である[4]

本作は1915年版の前日譚にあたる。3本のゴーレム映画の中で唯一現存する映画でもある[5]

この映画は後の幻想映画、とくに『フランケンシュタイン』(1931年)[6]、日本の『大魔神』(1966年)[7]に大きな影響を与えた。

あらすじ

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中世のプラハユダヤ人ゲットーで長老のラビ・レーフは星占いにより、まもなく町にふりかかる災難を予知する。

その予知は不幸にも現実のものとなる。皇帝がゲットーからユダヤ人を追放することに決め、騎士フロリアンを使者として派遣したのだ。

ラビ・レーフは民衆を守るため、巨大な泥人形ゴーレムを作り、生命を吹き込む。ラビ・レーフはゴーレムを宮廷に連れていく。ゴーレムの力を目の当たりにした皇帝は考えを改め、命令を取り消す。

しかし、ラビの助手がゴーレムを悪用。ゴーレムが暴走する。

ゴーレムは町外れで純真無垢な幼い少女と出会う。ゴーレムは暴れることをやめ、少女を抱きあげる。少女は邪心なく、ゴーレムの胸にあったダビデの星を抜き取る。その瞬間、ゴーレムは元の泥人形に戻ってしまう。

キャスト

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評価

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公開時の評価は好評であった。翌1921年のアメリカ公開でも、ニューヨーク・タイムズ紙は「非凡な演技」「表現に富む舞台装置」と賞賛し、美術面においてはもう一つのドイツ表現主義映画、ロベルト・ヴィーネ監督の『カリガリ博士』(1920年)と比較された[8]

脚注

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  1. ^ a b 『日本映画年鑑. 大正13・4年度』東京朝日新聞発行所、455頁。 
  2. ^ 『欧米及日本の映画史』プラトン社、1925年、394頁。「大正十二年には(中略)パウル・ヴエゲネルの『ゴレーム』(中略)などの鴎州作品が公開」 
  3. ^ Workman, Christopher; Howarth, Troy (2016). "Tome of Terror: Horror Films of the Silent Era". Midnight Marquee Press. p. 220.ISBN 978-1936168-68-2.
  4. ^ Hardy 1995, p. 27.
  5. ^ Der Golem, wie er in die Welt kam”. Silent Era. 2016年11月4日閲覧。
  6. ^ fr:Le Golem (film, 1920)
  7. ^ 『ぴあCINEMA CLUB 1993【洋画編】』ぴあ、p.250
  8. ^ “Movie Review - - THE SCREEN - NYTimes.com”. The New York Times. (1921年6月20日). https://www.nytimes.com/movie/review?res=9906E1D9163EEE3ABC4851DFB066838A639EDE 16 November 2016閲覧。 

引用

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  • Kevin Hagopian. “Film Notes: The Golem”. New York State Writers' Institute. 2006年7月23日閲覧。
  • Matei Chihaia: Der Golem-Effekt. Orientierung und phantastische Immersion im Zeitalter des Kinos, transcript, Bielefeld 2011 ISBN 978-3-8376-1714-6
  • Hardy, Phil, ed. (1995), The Overlook Film Encyclopedia, 3, Overlook Press, ISBN 978-0-87951-624-6, https://books.google.com/books?id=3-ehQgAACAAJ&dq=overlook+film+encyclopedia 

外部リンク

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