平沢達矢
平沢 達矢 | |
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生誕 | 1981年 |
研究分野 | 古生物学 進化発生学 |
研究機関 | 東京大学 |
出身校 | 東京大学 |
博士課程 指導教員 | 大路樹生 |
影響を 受けた人物 | 倉谷滋 |
主な受賞歴 | Society of Vertebrate Paleontology, Edwin H. and Margaret M. Colbert Award 日本進化学会研究奨励賞 日本古生物学会学術賞 |
プロジェクト:人物伝 |
平沢 達矢(ひらさわ たつや、1981年〈昭和56年〉 - )は、日本の古生物学者、進化発生学者。東京大学大学院理学系研究科准教授。
来歴
[編集]1981年、東京都中野区で生まれる。東京大学理学部生物学科と迷ったが[1]、藻谷亮介のアドバイスにより地学科に進学した。卒業研究のテーマは陸中層群小本層(下部白亜系)の地質調査および植物化石の分類[1]。学部3年の時から古脊椎動物学会(Society of Vertebrate Paleontology)に出席し[1]、研究動向の情報収集をするとともに、研究者の人脈を作った。それらを活かし、Jurassic Foundationの研究資金を得て[1]、大学院からは、ロイヤル・ティレル古生物学博物館やアメリカ自然史博物館などの化石標本を用いて、もともとやりたかった恐竜の進化の研究を開始した。博士研究のテーマは獣脚類恐竜の胸郭の解剖学と呼吸系の進化であり、在学中の研究活動が評価されて理学系研究科研究奨励賞を受賞した[2]。また、博士課程在学中に、日本モンゴル共同古生物学調査に志願し、モンゴル・ゴビ砂漠での化石発掘に携わった[3]。
学位取得後(2010年)、理化学研究所基礎科学特別研究員の職を得て、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター形態進化研究グループ(倉谷滋研究室)で進化発生学の研究を開始した[1]。理化学研究所では、横隔膜の進化的起源やカメのボディプラン進化などの研究を進めた[1][4]。基礎科学特別研究員の任期終了後は研究員として採用された。デボン紀の化石脊椎動物パレオスポンディルスの研究を開始したのもこの時期であり、後にその成果はネイチャー誌に掲載される[5][6][7][8][9][10]。2020年4月に東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻准教授に着任した。
研究業績
[編集]主な原著論文
[編集]- Uno Y, Hirasawa T. (2023). “Origin of the propatagium in non-avian dinosaurs”. Zoological Letters 9: 4 .
- Hirasawa T, Kuratani S. (2023). “Reply to: Palaeospondylus and the early evolution of gnathostomes”. Nature 620: E23-E24 .
- Hirasawa T, Hu Y, Uesugi K, Hoshino M, Manabe M, Kuratani S. (2022). “Morphology of Palaeospondylus shows affinity to tetrapod ancestors.”. Nature 606: 109-112 .
- Hirasawa T, Fujimoto S, Kuratani S. (2016). “Expansion of the neck reconstituted the shoulder-diaphragm in amniote evolution.”. Development, Growth & Differentiation 58: 143-153 .
- Hirasawa T, Nagashima H, Kuratani S. (2013). “The endoskeletal origin of the turtle carapace.”. Nature Communications 4: 2107 .
- Hirasawa T, Kuratani S. (2013). “A new scenario of the evolutionary derivation of the mammalian diaphragm from shoulder muscles.”. Journal of Anatomy 222: 504-517 .
- Hirasawa T (2009). “The ligamental scar in the costovertebral articulation of the tyrannosaurid dinosaurs.”. Acta Palaeontologica Polonica 54: 49-59 .
主な総説論文
[編集]- Hirasawa T, Kuratani S. (2018). “Evolution of the muscular system in tetrapod limbs.”. Zoological Letters 4: 27 .
- Hirasawa T, Kuratani S. (2015). “Evolution of the vertebrate skeleton: morphology, embryology, and development.”. Zoological Letters 1: 2 .
主な解説記事
[編集]- Kuratani S, Hirasawa T. (2016). “Palaeontology: Getting the measure of a monster.”. Nature 532: 447-448 .
主な受賞
[編集]- 理化学研究所 梅峰賞(2024年)[11]
- 日本古生物学会 学術賞(2023年)[12]
- 日本進化学会 研究奨励賞(2015年)[13]
- 東京大学大学院理学系研究科 研究奨励賞(2010年)[2]
- Society of Vertebrate Paleontology, Edwin H. and Margaret M. Colbert Award (2008年)[14]
著作
[編集]分担執筆
[編集]- 『古生物学の百科事典』丸善出版、2023年2月1日。ISBN 978-4621307588。[15]
- 『学研の図鑑LIVE 恐竜 新版』学研プラス、2022年6月23日。ISBN 978-4052051845。[15]
- 『動物学の百科事典』丸善出版、2018年9月28日。ISBN 978-4621303092。[15]
- 『広辞苑 第七版』岩波書店、2018年1月12日。ISBN 978-4000801317。[15]
- 『手の百科事典』朝倉書店、2017年7月3日。ISBN 978-4254102673。[15]
- 『進化の謎をゲノムで解く』学研メディカル秀潤社、2015年8月28日。ISBN 978-4780909227。[15]
監修
[編集]- 『恐竜学検定公式ガイドブック 初級・中級』Gakken、2024年7月25日。ISBN 978-4052060052。[15]
- 『あつまれ どうぶつの森 島の生きもの図鑑 (講談社の動く図鑑MOVE)』講談社、2022年7月29日。ISBN 978-4065273289。[15]
翻訳
[編集]- 『恐竜学 進化と絶滅の謎 (The Evolution and Extinction of the Dinosaurs, 2nd Edition, Cambridge University Press)』丸善出版、2006年7月26日。ISBN 978-4621077344。[15]
出演
[編集]テレビ番組
[編集]雑誌
[編集]- 『BRUTUS』(2023年7月15日号)[18]
- 『UOMO』(2023年2・3月号)[19]
- 『Nature ダイジェスト』(2022年10月号)[20]
- 『ヘイルメリーマガジン』(2020年10月号、2021年5月号、2024年8月号)
脚注
[編集]- ^ a b c d e f 『日本進化学会ニュース』 16巻、3号、日本進化学会、2015年、34-37頁。ISSN 2187-798X。
- ^ a b 『理学部ニュース』 42巻、1号、東京大学大学院理学系研究科・理学部、2010年 。
- ^ Tsubamoto, T., M. Saneyoshi, K. Tsogtbaatar, T. Chinzorig, P. Khatanbaatar, B. Mainbayar, and S. Suzuki. (2010). “Report of the HMNS-MPC Joint Paleontological Expedition in 2008.”. Hayashibara Museum of Natural Sciences Research Bulletin 3: 29-39.
- ^ 『化石』114号、日本古生物学会、2023年、78頁。ISSN 2424-2632。
- ^ Hirasawa, Tatsuya; Hu, Yuzhi; Uesugi, Kentaro; Hoshino, Masato; Manabe, Makoto; Kuratani, Shigeru (2022-06-02). “Morphology of Palaeospondylus shows affinity to tetrapod ancestors” (英語). Nature 606 (7912): 109–112. doi:10.1038/s41586-022-04781-3. ISSN 0028-0836 .
- ^ Fernández, Jorge Mondéjar; Janvier, Philippe (2022-06-02). “Clues to the identity of the fossil fish Palaeospondylus” (英語). Nature 606 (7912): 35–37. doi:10.1038/d41586-022-01366-y. ISSN 0028-0836 .
- ^ “魚と両生類つなぐ「古代の背骨」 謎のパレオスポンディルス 理研など解明:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2022年5月26日). 2024年7月28日閲覧。
- ^ “理学の謎 第20回 3.9億年前の脊椎動物化石からもたらされた意外な手がかり”. 東京大学 大学院理学系研究科・理学部. 2024年7月28日閲覧。
- ^ “スコットランドの湖の「謎の生物」正体判明…4億年前の化石「進化の空白」埋める”. 読売新聞オンライン (2022年6月16日). 2024年7月28日閲覧。
- ^ 日本放送協会『4億年前の“上陸大作戦” カギを握る化石の正体は!? - サイエンスZERO』 。2024年7月28日閲覧。
- ^ “理研栄峰賞、理研梅峰賞の授与について | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2024年7月29日閲覧。
- ^ “学会賞”. 古生物学会. 2024年7月29日閲覧。
- ^ “日本進化学会 / m3.com学会研究会”. sesj.kenkyuukai.jp. 2024年7月29日閲覧。
- ^ “Past Award Winners and Grant Recipients” (英語). Society of Vertebrate Paleontology. 2024年7月29日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “平沢 達矢 (Tatsuya Hirasawa)”. マイポータル. researchmap (2023年8月24日). 2024年7月29日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “"謎の化石"に最新研究で迫る - サイエンスZERO”. サイエンスZERO - NHK. 2024年7月29日閲覧。
- ^ 日本放送協会『「“舌” 変幻自在の開拓者」 - ヒューマニエンス 40億年のたくらみ』 。2024年7月29日閲覧。
- ^ “古生物学者・平沢達矢の大切な古着の話。〈リーバイス®〉501XX | ブルータス”. BRUTUS.jp (2024年7月29日). 2024年7月29日閲覧。
- ^ “【スタイルがある大人の2023年の着こなし#06】古生物学者は「生き物も服も古いものに魅力を感じる」”. UOMO. 2024年7月29日閲覧。
- ^ “100年以上謎に包まれていた4億年前の脊椎動物の正体 | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio”. www.natureasia.com. 2024年7月29日閲覧。
外部リンク
[編集]- "平沢達矢" researchmap
- 平沢達矢 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
- "アウトサイダー"な東大准教授・平沢達矢が語るヴィンテージジーンズと古生物学の関係 - おじさんの知恵袋マガジン『ぼくのおじさん』お洒落考現学 vol. 4