コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 防衛財源確保法
法令番号 令和5年法律第69号
種類 防衛
効力 現行法
成立 2023年6月16日
公布 2023年6月23日
施行 2023年6月23日
所管 財務省
主な内容 防衛力強化税外収入の確保・防衛力強化資金の創設など
関連法令 財政法財務省設置法特別会計に関する法律独立行政法人国立病院機構法独立行政法人地域医療機能推進機構法
条文リンク 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法 - e-Gov法令検索
ウィキソース原文
テンプレートを表示

我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(わがくにのぼうえいりょくのばっぽんてきなきょうかとうのためにひつようなざいげんのかくほにかんするとくべつそちほう、令和5年6月23日法律第69号)は、2023年度以降の防衛費在日米軍関係費用などの財源確保に関する法律で、財政法の「特別の資金」を一般会計に所属させて設置し、更に特別会計に関する法律などに対する特例を設ける特措法。略称は、防衛財源確保法[1][2][3]防衛力財源確保特措法[4]軍拡財源確保法[5]など。

主に税収によらない財源として「防衛力強化資金」の創設や「防衛力強化税外収入」の確保を行うとするもの。

概要

[編集]

2022年12月16日に、新たな「防衛力整備計画」が閣議決定され、ここで令和5年度から5年間で43兆円が自衛隊などの防衛力の整備費用として概算されたが、これにつき、当初予算を上回る額について確保するために[注 1]、「防衛力強化税外収入」を活用し、更に「防衛力強化資金」[注 2]を創設して、これに「防衛力強化税外収入」を繰り入れて年度を超えて防衛財源にあてるなどとする法案が閣法として第211回国会に提出され[9]、2023年6月16日に成立した[10]

立憲民主党日本維新の会共産党国民民主党は、各党で防衛政策などに関して相違する点があったが、防衛増税に反対するという点で一致し、法案に反対した[6][11][12][13]

立法理由

[編集]

財務省は、立法理由を、「令和五年度以降における我が国の防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持に必要な財源を確保するための特別措置として、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入れの特例に関する措置及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れの特別措置並びに独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構国庫納付金の納付の特例に関する措置を講ずるとともに、防衛力強化資金の設置等について定める必要がある」としている[14]

指摘

[編集]

財政赤字の日本国において特別会計の剰余金などを防衛費の税外収入にあてると、赤字国債の新規発行を促したり、これ自体が政府債務のマネーロンダリングになるという指摘や、「防衛力強化資金」が国家予算の単年度主義に反している、あるいは国会による財政民主主義が不完全などという指摘がある[10][15][16][17][18]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 政府方針では、防衛費歳出の追加需要を賄うために、歳出改革、決算余剰金の活用、防衛力強化資金、税制措置(増税)の4点が示されていた[6]
  2. ^ 財政法第44条に規定される「特別の資金」の一種であって防衛財源確保法により一般会計に所属し[7]、防衛財源確保法の付則によって改正される財務省設置法の第四条第一項により、管理の所轄は財務省[8]

出典

[編集]
  1. ^ “防衛財源確保法が成立 なし崩しで借金に頼る恐れ”. 東京新聞. (2023年6月17日). https://www.tokyo-np.co.jp/article/257191 
  2. ^ “税外収入4.6兆円を確保、防衛財源の確保法が成立”. 日本経済新聞. (2023年6月16日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA149KK0U3A610C2000000/ 
  3. ^ 令和6年版防衛白書 p.233
  4. ^ 財源確保の方策 法律上明確に 防衛力財源確保特措法が成立”. 自民党 (2023年6月16日). 2024年9月7日閲覧。
  5. ^ 第213回国会 衆議院 財務金融委員会 第16号 令和6年4月10日 114 田村貴昭 (国会会議録検索システム)
  6. ^ a b “大幅に増加させた防衛予算の財源…どう決着させるか”. 読売新聞. (2023年4月25日). https://www.yomiuri.co.jp/column/henshu/20230421-OYT8T50018/ 
  7. ^ 鎌田 素史 (2023-9-28). “防衛財源確保法に係る国会論議 -防衛力強化資金の創設-”. 立法と調査 (参議院事務局企画調整室) (460): 49-68. https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2023pdf/20230928049.pdf. 
  8. ^ 室伏謙一 (2023年2月17日). “「財源確保法案」に透けて見える財務省の思惑と重大な問題点を解説”. DIAMOND online. 2024年9月7日閲覧。
  9. ^ 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(衆議院)
  10. ^ a b 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法について衆議院 RESEARCH BUREAU 論究第20号(令和5(2023)年12月)
  11. ^ “防衛財源法案 4野党「反対」で一致も温度差 立・共は委員長解任案”. 産経新聞. (2023年5月10日). https://www.sankei.com/article/20230510-O4DFXZV475PJRJV54VYFDFM7Z4/ 
  12. ^ “防衛財源確保法、後半国会の焦点に 「増税反対」野党4党が共闘”. 毎日新聞. (2023年4月5日). https://mainichi.jp/articles/20230405/k00/00m/010/300000c 
  13. ^ “防衛財源確保法が成立 参院本会議”. 日テレ. (2023年6月16日). https://news.ntv.co.jp/category/politics/8581fa9178c74560bf922f72ee070550 
  14. ^ 理由(関税定率法等の一部を改正する法律案) 財務省
  15. ^ 第211回国会 衆議院 財務金融委員会 第15号 令和5年4月21日 008 金子勝(国会会議録検索システム)
  16. ^ 第211回国会 衆議院 本会議 第27号 令和5年5月23日 006 道下大樹(国会会議録検索システム)
  17. ^ 第211回国会 参議院 本会議 第33号 令和5年6月16日 018 井上哲士(国会会議録検索システム)
  18. ^ “防衛費増額、安定財源遠く 政府が確保法案を閣議決定”. 日本経済新聞. (2023年2月3日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA036A90T00C23A2000000/ 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]