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ミート・ザ・ユートピア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
抱きしめたいぜから転送)
ユートピア (バンド) > ミート・ザ・ユートピア
『ミート・ザ・ユートピア』
ユートピアスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ポップ・ロック
時間
レーベル ベアズヴィル・レコード
プロデュース
専門評論家によるレビュー
後述を参照
チャート最高順位
後述を参照
ユートピア アルバム 年表
  • ミート・ザ・ユートピア
  • (1980年)
『ミート・ザ・ユートピア』収録のシングル
  1. 「抱きしめたいぜ」
    リリース: 1980年11月[1]
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ミート・ザ・ユートピア[注 1]』(原題: Deface the Music)は、アメリカ合衆国のロックバンドであるユートピアの5作目のスタジオ・アルバムである。1980年9月24日にベアズヴィル・レコードから発売された[3]。1979年に制作された本作は、ビートルズへのオマージュ作品となっており[4]、ジャケット写真もビートルズのアルバム『ミート・ザ・ビートルズ』を意識したものとなっている[5]

構成

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アルバム『ミート・ザ・ユートピア』は、ビートルズの楽曲の様式を模倣したアルバムとなっており[6]、音楽性はサイケデリックチェンバー・ポップマージービートなど多岐にわたる[7]。作家のデヴィッド・ルールセンとマイケル・ラーソンは、アルバムからシングル・カットされた「抱きしめたいぜ」について「ビートレスクなシングル」と見なしている[8]

音楽雑誌『ローリング・ストーン』のデヴィッド・フリック英語版は、「抱きしめたいぜ」について「『抱きしめたい』『アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア』『シー・ラヴズ・ユー』、そして『ラヴ・ミー・ドゥ』から拝借したハーモニカからなる魅力的なハイブリッド」と見なした[9]。また、「ユア・マザー・シュッド・ノウ・ザ・ホイ・ホリィ」について「『ペニー・レイン』を再考したような」楽曲、「ミッシェルの微笑み」について「『ミッシェル』風」の楽曲、「エヴリバディ・フィールズ・フォーエヴァー」について「アイ・アム・ザ・ウォルラス」と「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」のハイブリッドと見なした[9]。音楽評論家のスティーヴン・トマス・アールワインは、「ユア・マザー・シュッド・ノウ・ザ・ホイ・ホリィ」の元ネタとして「ペニー・レイン」、「エリナー・リグビーはどこへ」の元ネタとして「エリナー・リグビー」を挙げた[7]。音楽雑誌『ビルボード』は「フィクシング・ア・ホール・イズ・ゲティング・ベター」について「『ゲッティング・ベター』とあらゆる点で似ているリック英語版で始まり、魅力的なマッカートニー風のメロディーと歌唱法で進行する」曲と説明した。また「ユア・マザー・シュッド・ノウ・ザ・ホイ・ホリィ」について「ホエン・アイム・シックスティ・フォー」や「ハニー・パイ」と関連づけている[10]。日刊紙『ワシントン・ポスト』のリチャード・ハリントンは、「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー・イズ・オールウェイズ・レイト」を「リンゴタイプの曲」と見なした[11]

評価

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専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
AllMusic4/5stars[7]
Rolling Stone3/5stars[9]

音楽評論家のスティーヴン・トマス・アールワインは5つ星満点中4つ星をつけ、同じくビートルズのパロディ作品を発表しているラトルズと比較した[7]。音楽雑誌『ビルボード』は、「ラングレンとユートピアの魔法は、優れた技術も相まって『サージェント・ペパー』時代や長い間恋しかった活動初期のビートルズの音楽が持つ魅力や利口さを蘇らせた」と評した[10]

日刊紙『ワシントン・ポスト』のリチャード・ハリントンは、「(『マジカル・ミステリー・ツアー』に至るまで)ビートルズへの敬意を表した愛情のこもった模倣的な」アルバムとする一方で、「精巧に作られていてすぐれているが、結局はやりたい放題な作品」と評した[11]

収録曲

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アナログA面
全作詞・作曲: ユートピア。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「抱きしめたいぜ」(I Just Want to Touch You)ユートピアユートピア
2.「キャント・バイ・ミー・クリスタル・ボール」(Crystal Ball)ユートピアユートピア
3.「泣きたいダンス」(Where Does the World Go to Hide)ユートピアユートピア
4.「アクト・シリィリィ」(Silly Boy)ユートピアユートピア
5.「ホワイル・マイ・ロンリネス・ジェントリー・ウィープ」(Alone)ユートピアユートピア
6.「エイト・デイズ・ア・ウィーク・イズ・ノット・ライト」(That's Not Right)ユートピアユートピア
7.「ドライヴ・マイ・カー・トゥ・ホーム」(Take It Home)ユートピアユートピア
合計時間:
アナログB面
全作詞・作曲: ユートピア。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「ユア・マザー・シュッド・ノウ・ザ・ホイ・ポリィ」(Hoi Poloi)ユートピアユートピア
2.「エリナー・リグビーはどこへ」(Life Goes On)ユートピアユートピア
3.「フィクシング・ア・ホール・イズ・ゲティング・ベター」(Feel Too Good)ユートピアユートピア
4.「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー・イズ・オールウェイズ・レイト」(Always Late)ユートピアユートピア
5.「ミッシェルの微笑み」(All Smiles)ユートピアユートピア
6.「エヴリバディ・フィールズ・フォーエヴァー」(Everybody Else Is Wrong)ユートピアユートピア
合計時間:

CD(1988年盤)

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1988年盤のみ、収録曲の邦題が原題のカタカナ表記となっている。

  1. アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・タッチ・ユー
  2. クリスタル・ボール
  3. ホエア・ダズ・ザ・ワールド・ゴー・トゥ・ハイド
  4. シリー・ボーイ
  5. アローン
  6. ザッツ・ノット・ライト
  7. テイク・イット・ホーム
  8. ホイ・ポロイ
  9. ライフ・ゴーズ・オン
  10. フィール・トゥー・グッド
  11. オールウェイズ・レイト
  12. オール・スマイルズ
  13. エヴリボディ・エルス・イズ・ロング

チャート成績

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週間チャート
チャート (1980年) 最高位
US Billboard Top LPs & Tape[12] 65

脚注

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注釈

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  1. ^ 1988年5月21日にCDで再発売された日本盤では、邦題として『ディフェイス・ザ・ミュージック』が採用された[2]

出典

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  1. ^ “Billboard Hot 100”. Billboard 92 (44): 92. (November 1, 1980). ISSN 0006-2510. 
  2. ^ ディフェイス・ザ・ミュージック (日本盤ライナーノーツ). ユートピア. ビクター音楽産業. 1988. VDP28027。
  3. ^ Grein, Paul (August 30, 1980). “Bonanza Of Albums”. Billboard 92 (35): 94. ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=_yMEAAAAMBAJ&pg=PT93. 
  4. ^ If You Like the Beatles...: Here Are Over 200 Bands, Films, Records and Other Oddities That You Will Love. Lanham, Maryland: Rowman & Littlefield. p. 1901. ISBN 9781617130731 
  5. ^ Milano, Brett (2023年6月23日). "プログレッシヴ・ロックのアルバム・ジャケット・ベスト25". uDiscovermusic.jp. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2023年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月13日閲覧
  6. ^ Larkin, Colin (2011) [1992]. The Encyclopedia of Popular Music. London: Omnibus Press. p. 2004. ISBN 9780857125958 
  7. ^ a b c d Erlewine, Stephen Thomas. "Deface the Music Review". AllMusic. Netaktion. 2024年11月9日閲覧
  8. ^ Luhrssen, David; Larson, Michael (2017). Encyclopedia of Classic Rock. Santa Barbara, California: ABC-CLIO. pp. 313-314. ISBN 9781440835148 
  9. ^ a b c Fricke, David. "Utopia: Deface The Music : Music Reviews". Rolling Stone. 2008年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月9日閲覧
  10. ^ a b “Top Album Picks”. Billboard 92 (41): 70. (October 11, 1980). ISSN 0006-2510. https://www.worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Billboard/80s/1980/BB-1980-10-11.pdf. 
  11. ^ a b Harrington, Richard (26 November 1980). "Pap From John & Yoko". The Washington Post. WP Company. 2017年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月12日閲覧
  12. ^ “Billboard Top LPs & Tape”. Billboard 92 (46): 99. ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?hl=ja&id=SyQEAAAAMBAJ. 

外部リンク

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