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操体法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

操体法(そうたいほう)は、仙台の医師 橋本敬三(1897-1993)が高橋迪雄正體術など民間の健康法療術をみずから実践し、肉体の変化が進む過程で何が起きているかをつかんだ結果生まれた考え方である。初期の理論(著書に詳しい)では、客観的に骨格構造を観察して、運動系の歪みを修正(治療)することを主題としているのが特徴。その後、客観的な見方を離れ、個々人の内部感覚(快・不快)にもとづいて、生体のフィードバック機能を洗練させることが重要であることをより強調する形になった。現在では、より質の高い快適感覚を「からだ」に聞き分け、味わうという感覚分析をするようになってきている。

創始者の橋本自身が完成した方法の体系としなかったため、後続者によってその方法に違いが生まれた。健康法として知られているが、本来は医師が実際に臨床で用いていた診断・治療体系でもある。操体法を健康法として捉えるか、診断・治療体系がある臨床として捉えるかによっても、スタンスに大きな差がある。

歴史

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橋本敬三が函館に在住していた期間(1926年1941年)に、正體術を高橋迪雄の高弟・奥村隆則に学び、これが操体法の土台となった[1]。初期においては、痛みやつっぱりを感じるとき、痛い方向・つっぱる方向から、痛くない方向・つっぱりを感じない方向にゆっくり動かし、最後にすっと力を抜くと歪みが解消されるという方法を採っており、この方法を継承している者が多い[2]。正體術では歪みを正したい方向へ動かし、そこでトンと力を抜くという手法を採るから、操体法と正體術は、互いに逆方向の動きであるといえる。

その後、直弟子を中心に、橋本敬三の生前の指示や考察をもとに具体的手法は更新されている[3] ため「操体法」を名乗っていても、どの立場でいつ方法を継承したかによって、施術内容が大きく変わることがある。

初期の理論(著書[4] に詳しい)では、客観的に骨格構造を観察して、運動系の歪みを修正(治療)することを主題としているのが特徴。その後、客観的な見方を離れ、個々人の内部感覚(快・不快)にもとづいて、生体のフィードバック機能を洗練させることが重要であることをより強調する形になった。現在では、より質の高い快適感覚を「からだ」に聞き分け、味わうという感覚分析をするようになってきている[5]

なお 「操体」 は、橋本敬三の哲学、息食動想の 「同時相関相補連動性」 などを含めたものを指し、「操体法」 は橋本敬三が行っていた臨床の部分を指す。また 「操体法」 は 「現代農業」 に橋本敬三が執筆している時(1975年~1977年)、編集者が 「操体よりも操体法のほうが語呂がよいのでは」 ということで、「操体法」 という名称が生まれた[6]

関連記事

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脚注

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  1. ^ 橋本 『誰にもわかる操体法の医学』
  2. ^ 茂貫 『操体法の実際』
  3. ^ 例えば三浦 『快からのメッセージ』
  4. ^ 橋本 『生体の歪みを正す』など。
  5. ^ 三浦 『快からのメッセージ』
  6. ^ 橋本先生を偲ぶ会 「橋本敬三先生年表」 1999年、全国操体バランス運動研究会 「要旨集」 2010年。

参考文献

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  • 橋本敬三 『生体の歪みを正す―橋本敬三論想集』 創元社、1987年。
  • 橋本敬三 『からだの設計にミスはない―操体の原理』 たにぐち書店、2002年。
  • 橋本敬三 『万病を治せる妙療法―操体法』 農文協、2005年。
  • 橋本敬三 『誰にもわかる操体法の医学』 農文協、2005年。
  • 茂貫雅嵩 『操体法の実際』(愛蔵版) 農文協、2005年。
  • 三浦寛 『快からのメッセージ』 たにぐち書店、1999年。
  • 三浦寛 『操体法の治療と予防』 たにぐち書店、2003年。
  • 三浦寛 『操体法入門―からだの連動のしくみがわかる 手関節からのアプローチ』 たにぐち書店、2003年。
  • 三浦寛 『操体法入門―足関節からのアプローチ』 たにぐち書店、2004年。
  • 小崎順子 『ひとりで操体法』 農文協、2005年。
  • 根本良一 『臨床家のための連動操体法』 エンタプライズ、2004年。
  • 今昭宏 『ひとりでできる操体操法』DVD、医道の日本社、2006年。
  • 今昭宏 『楽しくわかる操体法』 医道の日本社、2007年。
  • 今昭宏 『操体操法の実際』DVD、医道の日本社、2007年。
  • 嘉陽春人 『臨床家のためのダイアグラム操体法』 エンタプライズ、2004年

外部リンク

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  • 操体法公式ホームページ 操体法