旅人算
旅人算(たびびとざん)とは、算数において速さを題材とする文章題の類型のひとつ。動くものが2つあるとき、2つのものの隔たりの推移に関する問題をいう。2つの物の進行方向により、出会い算と追いつき算に分けられる。通常は、速さを単純にたし引きして解ける。
公式
[編集]多くの場合はこれらを用いて解く。
例題
[編集]次のような問題が典型的である(追いつき算の例)。
太郎さんは午前8時に、毎分60mで歩いて家から学校へ向かいました。寝坊した次郎さんは午前8時15分に、毎分150mの自転車で家を出発しました。次郎さんは、太郎さんを途中で追い越し、太郎さんよりも9分早く学校へ着きました。
- (1) 次郎さんが太郎さんに追いついたのは何時何分ですか?
- (2) 家から学校までの距離は何mですか?
解法
[編集]公式 ・距離 距離=速さ×時間 ・時間 時間=距離÷速さ ・速さ 速さ=距離÷時間
解答
[編集](1) 次郎が出発した時点ですでに太郎は15分間歩いているので、その距離の差は
- 60 × 15 = 900(m)
である。太郎を追いかけた次郎は、1分間で 150-60=90(m)だけ、その差を縮めることができる。したがって、出発時についていた900mの差を次郎が縮めるには
- 900 ÷ 90 = 10(分)
かかる。次郎の出発は8時15分だったので、10分を足して8時25分に太郎に追いついたことになる。
(2) 追い越した後は、1分間に90mずつ差が開いていく。それは、次郎の後を追う太郎が 90÷60=1.5(分)で歩ける距離である。次郎が学校に着いたのは
- 9 ÷ 1.5 = 6(分)
後なので、次郎は合計で 10+6=16(分)自転車で走ったことになる。つまり、学校までの距離は
- 150 × 16 = 2400(m)
である。
別解
[編集]- 距離 =速さ × 時間
- 上の公式から「同じ距離を進む場合、時間の比は速さの逆比になる」という点に注目する。
- 線分図を描くと、より容易に理解できる。
速さの比は、
- 太郎 : 次郎 = 60 : 150 = 2 : 5
であるから、同じ距離を進むのにかかる時間の比は、
- 太郎 : 次郎 = 5 : 2
である。
同じ距離(家から追いつくまで、または家から学校まで)を進むのに太郎がかかった時間を★★★★★、次郎がかかった時間を★★とすると、その差は★★★である。
(1) 追いつくまで
太郎がかかった時間 … 25分 次郎がかかった時間 … 10分 その差 … 15分
追いつくまでは、差★★★が15分なので、
- ★ = 15 ÷ 3 = 5(分)
であり、太郎がかかった時間は
- ★ × 5 = 5 × 5 = 25(分)
である。したがって、8時25分に追いつかれたことになる。
(2) 全体
太郎がかかった時間 … 40分 次郎がかかった時間 … 16分 その差 … 24分
学校までは、太郎のほうが次郎より24分(最初の15分+最後の9分)長く歩いていることになる。 差★★★が24分なので、
- ★ = 24 ÷ 3 = 8(分)
であり、太郎がかかった時間は
- ★ × 5 = 8 × 5 = 40(分)
である。太郎の速さは毎分60mだから、家から学校までの距離は
- 60 × 40 = 2400(m)
である。
進行グラフによる解法
[編集]横軸を時間とし、縦軸を距離とする「進行グラフ」を使って解くこともできる。
1次関数による解法
[編集]太郎は速さ60m/mなのでy=60x(y軸は距離、x軸は時間。原点を8:00とする) 次郎は速さ150m/mなので、y=150xとしたいが、彼は太郎の15分後に出発しているので、座標(x,y)=(15,0)を通ることから、y=150x-2250となる。追いつく時間は両関数の交点の座標なので、60x=150x-2250を解くと、x=25。故に、8:25に追いつく。次郎のつく時間をtとすると、太郎のつく時間は(t+9)となる。60(t+9)=150t-2250=距離なので、tについて解くと、t=31。60(31+9)=2400。故に2400mとなる。
応用
[編集]旅人算の応用として、
などの形で問題とされることがある。
また、経路が環状、複線(平面)、複線(空間)であったり、速さが規則的に変化したりする問題もある。