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日引俊詞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日引 俊詞(ひびき たかし、1963年3月3日 - )は、日本人原子力科学者パデュー大学名誉教授。香港城市大学熱流体工学チェアー教授。

来歴

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1963年昭和38年)、京都府宮津市にて生まれる。1981年(昭和56年)京都府立宮津高等学校を卒業し、同年大阪大学に入学。

1985年(昭和60年)大阪大学基礎工学部化学工学科(現在の化学応用科学科)を首席で卒業。大阪大学楠本賞受賞。その後、大阪大学大学院に進学し同大学院博士課程修了。1990年(平成2年)に工学博士の学位を取得。博士課程での指導教授は片山俊元大阪大学基礎工学部長。日本の化学工学を代表する吉田文武京都大学名誉教授の孫弟子、亀井三郎京都大学名誉教授の曾孫弟子に当たる。

博士号取得後、1990年(平成2年)京都大学原子炉実験所(現・京都大学複合原子力科学研究所助手(現助教)に着任。その後、1996年(平成8年)に招聘科学者としてパデュー大学へ留学。1997年(平成9年)京都大学助教授(現准教授)を経て、パデュー大学工学部へ移籍し教授に就任[1]。パデュー大学工学部は、2012年世界ランキングにおいて、マサチューセッツ工科大学スタンフォード大学などに次いで世界第10位にランクされている[2]。2018年(平成30年)パデュー大学名誉教授。

2011年(平成23年)アメリカ原子力学会からフェローの称号を授与された[3]。また、2006年(平成18年)から母校である大阪大学大学院の招聘教授に就任している。2015年(平成27年)には、母校である大阪大学より国際的に活躍する同窓生に贈られるOsaka University Global Alumni Fellow[4]の称号を授与されている。オーストラリア・ロイヤルメルボルン工科大学、中国・西安交通大学招聘教授、タイ・チュラロンコーン大学特別教授、韓国・釜山国立大学招聘教授を歴任している。 2021年(令和3年)より香港城市大学工学部熱流体工学チェアー教授就任。Global STEM Professorに選任されている。

家族は妻。兄は東北大学大学院経済学研究科教授の日引聡[5]

業績

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  • 定常中性子を用いた中性子ラジオグラフィ高速度撮像法(時間分解能1ミリ秒以下)の開発に世界で初めて成功。この業績により、1996年(平成8年)日本原子力学会奨励賞を受賞した[6]
  • ミニチャネル二相流動に関する基礎構成方程式を開発し1996年(平成8年)International Journal of Multiphase Flow誌に発表。その方程式は、三島-日引の式として知られる。1973年(昭和48年)同誌創刊以来の全論文中、総引用回数第1位(2018年11月1日現在)。
  • 界面積濃度輸送方程式を開発し2000年(平成12年)International Journal of Heat and Mass Transfer誌に発表。その輸送方程式は、日引-石井の式として知られ、流体解析シミュレーション(Computational Fluid Dynamics)コードの基礎方程式の一つとして知られる。

著書

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  • Thermo-Fluid Dynamics of Two-Phase Flow, Springer (2005)
  • Thermo-Fluid Dynamics of Two-Phase Flow, 2nd Edition, Springer (2010)[7]

賞歴

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  • 1996年(平成8年)- 日本原子力学会奨励賞[8]
  • 2001年(平成13年) - アメリカ原子力学会ヤングメンバー工学業績賞[9]
  • 2001年(平成13年) - 日本混相流学会論文賞[10]
  • 2005年(平成17年) - 日本混相流学会技術賞[10]
  • 2007年(平成19年) - 日本原子力学会熱流動部門業績賞[11]
  • 2010年(平成22年) - 日本混相流学会論文賞[10]
  • 2011年(平成23年) - 日本伝熱学会在外会員功労者表彰[12]
  • 2015年(平成27年) - 日本機械学会論文賞[13]
  • 2016年(平成28年) - 日本原子力学会学術業績賞[14]
  • 2018年(平成30年) - 日本混相流学会論文賞[15]

脚注

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  1. ^ [1], School of Nuclear Engineering, Purdue University
  2. ^ [2], 2012 Academic Ranking of World Universities, Shanghai Ranking Consultancy
  3. ^ [3], Current Fellows, American Nuclear Society
  4. ^ [4], Dr. Takashi Hibiki elected as Osaka University Global Alumni Fellow
  5. ^ [5], Faculty of Economics, Tohoku University
  6. ^ [6], Honourable Mention, Atomic Energy Society of Japan
  7. ^ [7], Springer
  8. ^ [8], 日本原子力学会賞
  9. ^ [9], Landis Young Member Engineering Achievement Award, American Nuclear Society
  10. ^ a b c [10], 日本混相流学会「学会賞」受賞者一覧
  11. ^ [11], 日本原子力学会熱流動部会・部会賞
  12. ^ [12] (PDF) , 日本伝熱学会在外会員功労者表彰
  13. ^ [13], 日本機械学会賞・奨励賞・教育賞受賞者一覧
  14. ^ [14], 日本原子力学会賞 受賞一覧
  15. ^ [15], 日本混相流学会「学会賞」受賞者一覧