コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

日本国憲法第10条

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

(にほんこくけんぽう だい10じょう)は、日本国憲法第3章にある条文で、国民の要件について規定している。

条文

[編集]
第十条
日本国民たる要件は、法律でこれを定める[1]

解説

[編集]

日本国民であること、すなわち日本国籍に関する要件をどう規定するかについては、日本国憲法は法律に全て委任している。具体的には、本条を受けた国籍法により規定されている。

同法によれば、日本国籍を取得するのは、以下の場合である。

  • 出生による取得
    • 出生時に両親の一方が日本国民である場合
    • 出生前に父が死亡した場合で、その死亡時に父が日本国民であった場合
    • 日本で生まれ、両親がともに不明あるいは無国籍の場合
  • 認知による取得
  • 帰化による取得

このほか、領土の変更に伴う国籍の変更について条約で定めることも認められる[2]

沿革

[編集]

大日本帝国憲法

[編集]
第十八條
日本臣民タルノ要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル[3]

GHQ草案

[編集]

なし[4]

憲法改正草案要綱

[編集]

なし[5]

憲法改正草案

[編集]

なし[6]

関連訴訟・判例

[編集]

国籍法(昭和59年法律45号改正前)2条1号に対する訴訟[7]

アメリカ人の父と日本人の母の長女として出生したが、本条によって日本国籍を取得できなかった。また、父がアメリカ国籍の要件も満たしていなかったため、娘が無国籍者となってしまった。

争点:国籍法2条1号が父系優先血統主義を採用していたことは、憲法14条1項に違反しているかどうか。

第1審判決(東京地判昭和56・3・30行集33巻6号1374項)では、父系血統優先主義は重国籍防止のための必要性は認められたが、父母の不平等扱い正当化の根拠としては、不十分と判断された。しかし、国は日本人母の子で日本国籍を取得できない者に簡易帰化の制度を設けており、これを併せ伴う限りにおいては不合理な差別とまではいえないとして、14条、24条2項に違反しないとした。

関連条文

[編集]

他の国々の場合

[編集]

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ 日本国憲法 - e-Gov法令検索
  2. ^ 最高裁判所大法廷判決 1961年4月5日 民集第15巻4号657頁、昭和30(オ)890、『国籍存在確認請求』。
  3. ^ 東京法律研究会 1906, p. 7.
  4. ^ GHQ草案 1946年2月13日”. 国立国会図書館. 日本国憲法の誕生. 2009年4月9日閲覧。
  5. ^ 「憲法改正草案要綱」 の発表”. 国立国会図書館. 日本国憲法の誕生. 2009年4月9日閲覧。
  6. ^ 口語化憲法草案の発表”. 国立国会図書館. 日本国憲法の誕生. 2009年4月9日閲覧。
  7. ^ 戸松秀典、今井功 編著『論点体系 判例憲法 ~裁判に憲法を活かすために~』 1 (前文、天皇、戦争の放棄、国民の権利及び義務1〈前文~第21条〉)、第一法規、2013年6月10日、74頁。ISBN 9784474103092 

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]