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日本精神史研究

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本精神史研究』(にほんせいしんしけんきゅう)は和辻哲郎の著作で、代表作の一つに数えられる。

概要

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1920年に岩波書店刊の「日本古代史研究」の続編に位置付けられる著作であるが、一貫した体系を持った著作ではなく、日本文化・日本精神に関する個々の問題について考察を行った論文集である[注 1]

初版は1926年に、改訂版は1940年12月に、1935年には『続日本精神史研究』が、各・岩波書店で出版された。

改訂版の序文で、和辻は「全体にわたって語句の修正を施し、二、三のヶ所にはやや詳しく修補を加えた」が「根本的に変更したものはない」と述べており、「自分が念としたのはできるだけ誤謬を少なくすることであった」とも述べている。しかし、例えば古代の日本人の仏教受容について、「仏教思想に対する日本人の理解ははなはだ浅薄であった」「仏はただ現世利益のために礼拝せられたに過ぎぬ」「仏教は祈祷教として以上の意味を持たなかった」とする見解に対し、「確かに当たっている」から「明らかに誤謬である」と改めるなど、重要な論旨の変更が少なからず存在する[注 2]

近年でも『和辻哲郎全集 第四巻 日本精神史研究、続日本精神史研究』(増補版、1989年8月)、岩波文庫(1992年11月、同・ワイド版、2005年2月)と度々改訂出版され、古書でも容易に入手できる。

2002年4月に燈影舎(一燈園)で出版した『京都哲学撰書 第24巻 新編 日本精神史研究』は、『日本―』から数編の論考を省き、『続―』より「日本精神」と「日本の文藝と仏教思想」の2編が所収された。

所収された論考の一覧

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以下の論考を収める。これらの論文の大部分は、岩波書店の月刊誌『思想』に掲載されたものである。
『続日本精神史研究』に収録された論考
  • 「日本精神」[10]
  • 「日本の文藝と仏教思想」[11]
  • 東洋美術の「様式」
  • 現代日本と町人根性
  • 日本語と哲学の問題

刊行書誌

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参考文献

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  • 古川哲史「解説」『和辻哲郎全集 第四巻』
  • 加藤周一「解説 作品・方法・感受性及び時代」『日本精神史研究』岩波文庫
  • 藤田正勝「解説」『京都哲学撰書第24巻 新編 日本精神史研究』

関連項目

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弟子

脚注

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注釈

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  1. ^ 和辻本人も序文において本書を「あくまで習作である」と述べている。
  2. ^ このことは門下生からも指摘されている[1]
  3. ^ 初めの3分の2は雑誌『新小説』に掲載したものである。

出典

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  1. ^ 古川哲史『和辻哲郎全集 第四巻』「解説」
  2. ^ 初出は『思想』1922年5月号
  3. ^ 初出は『思想』1922年6月号
  4. ^ 初出は『思想』1922年4月号
  5. ^ 初出は「天平美術の様式」の原題で『仏教美術』1925年12月号
  6. ^ 初出は『思想』1920年1月号
  7. ^ a b 初出は『思想』1922年8月号
  8. ^ a b 初出は『思想』1922年11月号
  9. ^ 初出は『思想』1922年9月号
  10. ^ 初出は岩波講座『東洋思潮』1934年9月
  11. ^ 初出は「日本文学と外来思潮との交渉(1)仏教思想」の原題で、岩波講座『東洋文学』1933年4月

外部リンク

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