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早稲田大学ライティング・センター

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早稲田大学ライティング・センター(わせだだいがくライティング・センター)は、早稲田大学の院生であるチューターおよび指導員が、教員および学生に対して文章指導を行うセンターである。こうしたセンターの開設は日本初で、他大学が同様の施設を設ける際に早稲田の事例が参考にされている[1]。また、日英両文を対象とするライティング・センター英語版は当時世界で唯一のものであった[2][3]

歴史

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早稲田大学でライティング・センター開設に携わった佐渡島紗織は、1994年にイリノイ大学に留学しており、現地で頻繁にライティング・センターを頻繁に利用し、院生が務めるチューターと文章を検討した経験を有していた[4]。2004年、早稲田大学は国際教養学部を新設[5]、これを前提とする取り組みが文部科学省の「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」に採択された[6][7]。ライティング・センターは採択を機に設置された[8]。当初は全授業を英語で行う国際教養学部の学生支援が目的で[9]、日本人学生の英文作成が主な対象であったが、国際教養学部に日本語が母語ではない学生がおり、2005年からはこうした学生の日本語文書作成にも対応した[10]。2008年に対象が全学に拡大し[11]、日本語を母語とする学生が日本語で文書を作成する際の支援も提供するようになった[12]。2009年には学内の教員も対象に加わった[13]。こうして年間4000人が利用する施設に成長した[14]

早稲田大学の実績は同様にライティング・センターを開設する他大学からも注目され、広島大学がライティング・センターを開設する際には早稲田のセンターでディレクターを務める佐渡島紗織を招き、講演会を行っている[15]。また佐渡島らが早稲田大学におけるライティング・センターの取り組みを紹介した書籍は、ライティング・センターの運営の実際について記した数少ない資料となっている[16]

体制

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早稲田大学に所属している教員および学生(正規だけでなく科目等履修生も対象)がサービスを受けられる。学生は予約して文章を持ち込み、小ブースで個人指導を受ける[17]

利用者が持ち込める文章は、「アカデミックな目的で書かれた文章」で、授業の課題やレポート、卒業論文・修士論文・博士論文・投稿論文などの論文、研究計画書などが含まれる[14]。教員の一人である佐渡島紗織によれば、昨今の中高生は書く量が圧倒的に不足しているといい、下書きの段階から学生を指導するという[18]。持ち込まれた文章を直してくれる場所ではなく、書き手を成長させ、自立した書き手を育成する場となることを目指している[19]

関連項目

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脚注

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  1. ^ 外山敦子「ライティングセンターの「あるべき姿」とは : 第21 回FD フォーラムに参加して」『愛知淑徳大学全学日本語教育研究年報』第1号、初年次教育部門〈全学日本語教育〉、2016年3月、4頁、ISSN 2423-8902NAID 120005838758 
  2. ^ 佐渡島紗織, 志村美加, 太田裕子「日本語母語話者が日本語で英語文章を検討するセッションの有効性:書き手を育てるライティング・センターでの対話」『Waseda global forum』第5巻、早稲田大学国際教養学部、2008年、57頁、ISSN 13497766NAID 120002972208 
  3. ^ 佐渡島.太田(2013), p. iv.
  4. ^ 佐渡島.太田(2013), p. iii.
  5. ^ 内田勝一「「国際教養」学部の試み」『大学時報』第53巻第297号、日本私立大学連盟、2004年7月、42-47ページ。
  6. ^ 選定取組の概要及び選定理由(早稲田大学)」文部科学省高等教育局大学振興課大学改革推進室。
  7. ^ 「現代的教育ニーズ取組支援プログラム86件」『産経新聞』2004年9月25日付大阪本社朝刊29面。
  8. ^ 二宮祐, 濱嶋幸司, 小山治, 児島功和, 小島佐恵子「「第三の領域」における教職員についての一考察 : 学生支援、男女共同参画、地域貢献に関する職種を事例として」『山梨学院大学経営情報学論集』第25号、山梨学院大学経営情報学研究会、2019年3月、59-70頁、ISSN 1341-0806NAID 120006628131  p.63 より
  9. ^ 佐渡島紗織「大学における「書くこと」の支援―早稲田大学国際教養学部における「ライティング・センター」の発足―」『全国大学国語教育学会発表要旨集』第109号、全国大学国語教育学会、2005年、193-196ページ。
  10. ^ ドイル綾子・大森優・秋田美帆「日本語学習者の「書く」プロセスにおいてライティング・センターが果たす役割とは何か」WEB版『日本語教育実践研究フォーラム報告』2013年、2ページ。
  11. ^ 稲葉直也「大学図書館とライティング・センターの連携」『ふみくら : 早稲田大学図書館報』第90巻、早稲田大学図書館、2016年11月、8-9頁、ISSN 0289-8926NAID 120005893838 
  12. ^
    • 『青山学院大学総合研究所自然科学研究部研究成果報告論集 自然言語処理技術に基づく論理的文章作成能力育成支援』青山学院大学総合研究所領域別研究部門自然科学研究部、2014年、5ページ。
    • 穂積宏誠「自然言語処理技術に基づく論理的文章作成能力育成支援」『青山学院大学 総合研究所報』第22号、青山学院大学総合研究所、2014年10月、29ページ。[リンク切れ]
  13. ^ 實平雅夫「日本語日本文化教育におけるライティングセンターに関する一考察」『神戸大学留学生センター紀要』第18号、神戸大学留学生センター、2012年3月、39-43頁、doi:10.24546/81003885ISSN 0919-9578NAID 120004056913 
  14. ^ a b 菅野敦志・真喜屋美樹「名桜大学ライティングセンターの挑戦――設置準備と他大学視察を中心に――」『名桜大学紀要』第21号、2016年、110-111ページ。
  15. ^ 平成24年度全学FD活動実績報告書」広島大学 人材育成推進室(FD部会)、III-8ページ。
  16. ^ 永井聖剛・櫛井亜依・石田莉奈・久保田一充・外山敦子・杉淵洋一・荒木弘子「「「対話」を重視する「全学的ライティング支援」の実践的研究」成果報告」『愛知淑徳大学論集 メディアプロデュース学部篇』第6号、愛知淑徳大学メディアプロデュース学部論集編集委員会、2016年、14ページ。
  17. ^ 「早稲田の逆襲 グローバルにおしゃれにまじめに変身中」『AERA』2015年1月26日号。
  18. ^ 「考える力、磨いて飛躍 今解き教室、高校生向けに小論文」『朝日新聞』2014年4月5日付東京本社朝刊27面。
  19. ^ 畠山珠美「ライティング・センター : 構想から実現へ(<特集>ラーニングコモンズと利用者サポート)」『情報の科学と技術』第61巻第12号、情報科学技術協会、2011年、483-488頁、doi:10.18919/jkg.61.12_483ISSN 0913-3801NAID 110008799213 

参考文献

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外部リンク

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