春初めてのカッコウの声を聴いて
『春初めてのカッコウの声を聴いて』(はるはじめてのかっこうをきいて、英語:On Hearing the First Cuckoo in Spring)は、フレデリック・ディーリアスが1912年に作曲した音詩。『川面の夏の夜』(Summer Night on the River)とともに『小オーケストラのための2つの小品』(Two Pieces for Small Orchestra)を構成している。
概要
[編集]ディーリアスは1910年頃に、友人のパーシー・グレインジャーに宛てて手紙を書き、その中で、自分の音楽がイギリスでは無視されていることを嘆いていた[1]。そこでグレインジャーは、イギリスには小編成の優れたアマチュア楽団がたくさんあるので、これまでのような大編成の作品ではなく、小編成のオーケストラ作品を書いてみてはどうかと提案、それに従って作曲されたのが『春初めてカッコウを聞いて』と『河の上の夏の夜』である[1]。今日、『春初めてカッコウを聞いて』はディーリアスの作品中最も親しまれている[1]。
初演
[編集]世界初演は1913年10月23日にライプツィヒで行われた[2]。イギリス初演は1914年1月20日にウィレム・メンゲルベルク指揮ロンドン・フィルハーモニック協会のオーケストラによる[2]。曲は、友人のバルフォア・ガーディナー (1877-1950) に献呈されている[2]。
編成
[編集]変則的な2管編成の小編成オーケストラのために書かれている。
構成
[編集]弦楽器を伴奏に、クラリネットによるカッコウの声とオーボエの断片的な旋律を含んだ序奏で始まる。やがて、序奏のカッコウの声から派生した旋律が弦楽パートに現れる。第1ヴァイオリンに委ねられた第2主題は、グリーグも用いたノルウェー民謡『オーラの谷で』から採られている[注 1]。クラリネットがカッコウの声とともに戻って来て、やがて牧歌的な基調のまま締め括りを迎える。
『オーラの谷で』は、グレインジャーが初めてディーリアス邸を訪れた際にディーリアスの前で弾いて聞かせたと言われている[2]。