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暁新世の恐竜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

暁新世の恐竜(ぎょうしんせいのきょうりゅう)では、白亜紀末約6600万年前に発生した白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅を生き延びたとされる恐竜(非鳥類型恐竜)について解説する。K-Pg境界以降に恐竜が生存していたという仮説は複数回提唱されているが、2023年時点統一的見解の形成には至っていない。

研究史と評価

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暁新世の恐竜については、主にジェームズ・ファセットがプロジェクト・"Paleocene dinosaurs of the San Juan Basin, New Mexico and Colorado"と銘打って研究している[1][2][3][4]

ただし異論も多い[5][6][注 1]ため、2023年現在において、暁新世に非鳥類型恐竜が生息していたかは不明であり、また学会において多数派の学説とは言えない。

小林快次は、「新生代に恐竜類が生きていたというのは、ロマンを感じる。この新生代のこれらの恐竜が本当に存在したかどうかは、さらなる研究が必要だが興味はそそられる」と評している[7]

恐竜が隕石衝突を生き延びた可能性

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小型恐竜であれば、隕石衝突の際に地中へ逃げ込むなどして、わずかな期間とはいえ生き延びることができた可能性がある。しかし、彼らも食物連鎖の崩壊などにより間もなく死に絶えたと推測される[8]

一方で、一部の小型肉食動物(トカゲや小鳥、小型哺乳類など)が、土中のミミズなどを餌とすることで生き延びることができた、という説がある[9]。これは地中であれば隕石衝突時の爆風や森林火災を凌げること、またミミズが日光と植物を起点とする生食連鎖ではなく、死骸や枯れ葉などを起点とする腐食連鎖に属することが理由とされている。

文化面

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映画

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ディズニー制作の映画『ダイナソー』は、隕石衝突を生き延びた恐竜が主人公である。

ドキュメンタリー

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NHK制作のドキュメンタリー『恐竜超世界2』において、隕石衝突から数十万年を生き延びる恐竜[10]がファセットの2002年の論文をもとに紹介された。

脚注

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注釈

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  1. ^ この反論に対し、2009年にファセットによる反論が行われている。"Response to critique by Lucas et al.(2009) of paper by Fassett (2009) documenting Paleocene dinosaurs in the San Juan Basin"

出典

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  1. ^ 著者] James E. Fassett & RA Zielinski, et al. 要旨] 「暁新世の恐竜」に関する有力な新証拠 (2001)-"Compelling New Evidence for Paleocene Dinosaurs in the Ojo Alamo Sandstone San Juan Basin, New Mexico and Colorado, USA."
  2. ^ Fassett, James E; Zielinski, Robert A; Budahn, James R; Koerble, C; McLeod, KG (2002). “Dinosaurs that did not die: evidence for Paleocene dinosaurs in the Ojo Alamo sandstone, San Juan Basin, New Mexico [[抄訳タイトル]恐竜は死せず。暁新世・サンファン盆地の恐竜]”. SPECIAL PAPERS-GEOLOGICAL SOCIETY OF AMERICA (Boulder, Colo.; Geological Society of America; 1999): 307-336. doi:10.1130/0-8137-2356-6.307. https://doi.org/10.1130/0-8137-2356-6.307. 
  3. ^ Fassett, James E (2009). eprint PDF. “New geochronologic and stratigraphic evidence confirms the Paleocene age of the dinosaur-bearing Ojo Alamo Sandstone and Animas Formation in the San Juan Basin, New Mexico and Colorado [[抄訳タイトル]層序学的証拠による「暁新世の恐竜」の再堆積の否定]”. Palaeontologia Electronica (Citeseer) 12 (12.1). https://palaeo-electronica.org/2009_1/149/149.pdf. 
  4. ^ Fassett, James E; Heaman, Larry M; Simonetti, Antonio (2011). “Direct U-Pb dating of cretaceous and paleocene dinosaur bones, San Juan Basin, New Mexico [[抄訳タイトル]白亜紀と暁新世の恐竜の骨のU-Pbによる直接年代測定]”. Geology (GeoScienceWorld) 39 (2): 159-162. doi:10.1130/G31466.1. https://doi.org/10.1130/G31466.1. 
  5. ^ 著者] SG Lucas & RM Sullivan, et al. 出版] Palaeontologia Electronica 12.2 (2009): 10. 要旨] サンファン盆地における「暁新世の恐竜」に決定的な証拠はない(2009)-"No definitive evidence of Paleocene dinosaurs in the San Juan Basin."
  6. ^ 出版] Geology 40.4 (2012): e260-e261. 要旨] 「暁新世の恐竜」への批判的コメント"Direct U-Pb dating of Cretaceous and Paleocene dinosaur bones, San Juan Basin, New Mexico: REPLY."
  7. ^ 小林快次, 日本放送協会, NHKプロモーション, 坂元志歩, 森アーツセンター『地球最古の恐竜展』NHK, NHKプロモーション、2010年、146-149頁。国立国会図書館書誌ID:027492795。「展覧会カタログ / 会期・会場: 2010年7月10日-9月26日: 森アーツセンターギャラリー(東京展), 2010年10月9日-11月28日: ATCミュージアム(大阪展), 2011年3月26日-5月15日: アイテムえひめ(松山展), 2011年7月2日-8月28日: 北翔クロテック月寒ドーム(札幌展)」 
  8. ^ Robertson, Douglas S; McKenna, Malcolm C; Toon, Owen B; Hope, Sylvia; Lillegraven, Jason A (2004). “Survival in the first hours of the Cenozoic [[抄訳タイトル]新生代最初の数時間を生き抜く]”. Geological Society of America Bulletin (Geological Society of America) 116 (5-6): 760-768. doi:10.1130/B25402.1. https://doi.org/10.1130/B25402.1. 
  9. ^ Chin, Karen; Pearson, Dean; Ekdale, AA (2013). “Fossil worm burrows reveal very early terrestrial animal activity and shed light on trophic resources after the end-Cretaceous mass extinction [[抄訳タイトル]蠕虫の巣穴が示す、絶滅期の食料資源]”. PLoS One (Public Library of Science San Francisco, USA) 8 (8): e70920. doi:10.1371/journal.pone.0070920. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0070920. 
  10. ^ 恐竜絶滅の“新たなシナリオ”!?「恐竜超世界2」後編を紹介”. どれみふぁひろば. サムライ・エンタテインメント (2023年3月1日). 2023年3月26日閲覧。

関連項目

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