曲屁
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曲屁(きょくべ)とは、音の高さや長さ、強さをさまざまに変えながら放屁することにより、聞き手を楽しませる行為のことである。曲放(きょくひり)ともいう[1]。
興行として曲屁を行った事例は世界各地に存在し、日本では安永年間に霧降花咲男を称する者が興行を行った記録があるほか[2]、19世紀末のフランスでムーラン・ルージュを中心に活動した放屁師のル・ペトマーヌ、近年では日本の松下誠司、イギリスのミスター・メタンなどが知られる。
こうした興行では、放屁の長さや連発といった単純な放屁技能の誇示や、「若い女の屁」「紳士の屁」などさまざまな設定で放屁し分けることで笑いを誘うもの、動物の鳴き声の模倣、放屁単独もしくは別の楽器を伴った音楽の演奏などが行われた。また放屁そのものを聞かせる芸以外に、肛門に管をつないで別の楽器を演奏する、放屁で離れたところにあるろうそくを吹き消す、といった芸も行われた。
曲屁を可能とする身体的構造としては、肛門内に瘤があり、力の入れ具合を調整することによって、笛のような効果を発する場合と、肛門から空気を吸い込む能力を持つ者が、吸い込んだ空気を括約筋を調整しながら排出することにより吹奏する場合とがある[3]。
脚注
[編集]- ^ 日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部, ed (2001). 日本国語大辞典 第二版 第四巻. 小学館. pp. 530、531. ISBN 4-09-521004-4曲屁は「きょくひ」と読む例もあり、たとえば宮本幹也「愛恋曲屁試合――屁の名人 鶯 新三の恋――」は「あいれんきょくひじあい」と振り仮名が付されている(『怒濤の恋』豊文社、1954年、171ページ)。
- ^ 佐藤晴彦『おなら考』青弓社、1994年、91-98頁。
- ^ 『おなら考』100頁。