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仏教用語
有, バヴァ
パーリ語 bhava
サンスクリット語 भव
(IAST: bhava)
中国語
日本語
(ローマ字: u)
英語 State of existence
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  十二因縁  
無明(無知)
名色
六処
(存在)
(誕生)
老死(老いと死)
 

(う、: bhava)とは、仏教用語で衆生としての生存、存在状態を表すことばである[1]。対義語は非有(ひう、abhava)[2]

再生[編集]

パーリ語:punabbhava、サンスクリット語:punarbhavaとは、「再び punar + 存在する bhava」との意であり、輪廻と再生を意味する。釈迦は成道を経たことで punarbhava からの解放を手に入れたとされる。

akuppā me vimutti. Ayamantimā jāti. Natthidāni punabbhavo’ti.

わが解脱は達成された。これが最後の生まれであり、もはや二度と生まれ変わることはない。

三有[編集]

パーリ語:Tayome bhavā ,Ti-bhavā [3] (さんう、さんぬ[4])とは、 生きものの生存状態、生存領域。十二因縁では第10番目の、欲界色界無色界三界衆生輪廻していく状態を指す。

Tayome bhikkhave, bhavā: kāmabhavo, rūpabhavo, arūpabhavo. Ayaṃ vuccati bhikkhave, bhavo.

比丘たちよ、これら三有がある、欲有、色有、無色有である。

四有[編集]

(しう)。衆生が輪廻転生する過程の、一サイクルを4つに分けて説明するもの[5]倶舎論 などに説かれている[6]

  1. 死んでから次の生を受けるまでの期間である中有[7](ちゅうう、antarā-bhava)[6]
  2. それぞれの世界に生を受ける瞬間を意味する生有[7](しょうう、upapatti-bhava)[6]
  3. 生を受けてから死ぬまでの一生の期間である本有[7](ほんぬ、pūrva-kāla-bhava)[6]
  4. 死ぬ瞬間を意味する死有[7](しう、maraṇa-bhava)[6]

出典[編集]

  1. ^ 精選版 日本国語大辞典『』 - コトバンク
  2. ^ 非有』 - コトバンク
  3. ^ 佐藤良智「有 (bhava) について」『印度學佛教學研究』第2巻第2号、1954年、539-540頁、doi:10.4259/ibk.2.539 
  4. ^ 三有』 - コトバンク
  5. ^ 四有』 - コトバンク
  6. ^ a b c d e 池田練太郎「中有の機能について」『印度學佛教學研究』第39巻第2号、1991年、926-922頁、doi:10.4259/ibk.39.926 
  7. ^ a b c d ブリタニカ国際大百科事典『四有』 - コトバンク

関連項目[編集]