東京山手線内
東京山手線内(とうきょうやまのてせんない)とは、JRの旅客営業規則第78条第1項第1号に規定する区間であり、この区間を発着する場合は運賃計算などに関する特例が適用される。
運転系統としての山手線(東海道本線東京駅 - 品川駅間、東北本線東京駅 - 田端駅間、山手線品川駅 - 田端駅間)およびその内側にある中央線快速東京駅 - 新宿駅間、中央・総武緩行線秋葉原駅 - 新宿駅間(中央本線神田駅 - 代々木駅間・総武本線秋葉原駅 - 御茶ノ水駅間)の各駅を指す。これらの駅の駅名標には「山」()の記号が付いている。
賃率に関する特例
[編集]東京山手線内の駅を相互発着する場合、普通旅客運賃の計算において幹線区間よりも割安な対キロ賃率を適用する(旅客営業規則第78条第1項第1号)。詳細は、電車特定区間を参照のこと。
営業キロ・運賃計算キロの起終点駅に関する特例
[編集]東京山手線内にある駅と、中心駅(以下「東京駅」という)から片道の営業キロが100kmを超え200km以下の鉄道区間内にある駅との相互間の鉄道の片道普通旅客運賃は、東京駅を起点または終点とした営業キロ又は運賃計算キロによって計算する(以下「本特例」という)[1][注釈 1]。
- 東京近郊区間内では、東京駅からの経路が最短でない経路のうち営業キロが100km超となる経路の運賃について、東京駅からの最短経路の営業キロが100km以下になる場合は、本特例を適用しないで運賃を計算することができる[2][注釈 2]。
- 本特例が適用される乗車券では東京山手線内のいずれの駅での乗車・下車も可能である。ただし、東京山手線内での途中下車はできない[3]。
- 東京駅からの営業キロが200kmを超える場合には、本特例より広範な規定である東京都区内の規定を適用する[4]。
- 本特例が適用される乗車券で東京山手線外の駅まで乗り越す場合は、下車駅から最も近い東京山手線内の駅からの運賃を収受する[5]。逆に、東京山手線外から本特例が適用される乗車券に接続する乗車券を購入する場合は、東京山手線内で発駅から最も近い駅までの乗車券を購入すればよい[注釈 3]。
なお、新幹線回数券などの特別企画乗車券においては、利便性を考慮して、東京駅から100km以下の近距離区間であっても本特例と同様の制度を適用している場合がある。そのため、区間によっては、通常の乗車券ではあり得ない券面表示になることもある[注釈 4]。
新幹線専用の企画乗車券(エクスプレス予約・スマートEX・新幹線eチケット・タッチでGo!新幹線)は運賃と料金が一体の為、新幹線駅の単駅指定となる為当制度が利用できない。
SuicaのSFで乗車する場合は、ICカード乗車券取扱規則第29条の規定により本特例が適用される。
均一乗車券
[編集]東京山手線内の全区間に有効な「東京山手線内均一定期券」[6]が発売されているほか、2000年(平成12年)1月31日までは、同区間に有効な11枚綴りの「東京山手線内均一回数券」が1,600円で発売されていた[7][8]。
歴史
[編集]元々は、1925年より開始した山手線の環状運転区間に与えられた東京電環[注釈 5]であるが、実際にこの名称になったのは池袋駅 - 赤羽駅間[注釈 6]を「赤羽線」として正式に分離した1972年のことである。
2024年12月6日、JR東日本は、国土交通大臣に対し、2026年3月実施予定の「東京山手線内」および「(東京の)電車特定区間」の運賃区分を廃し、「幹線」に統合することを含む運賃改定について申請したことを発表した[9](ただし、「山手線内」として言及されている内容は賃率に関する特例部分であり、営業キロ・運賃計算キロの起終点駅に関する特例については特に言及されておらず、完全に「東京山手線内」が廃止されるかは不明)。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 本特例は特定都区市内の派生規定である。ただし、特定都区市内に関する規定のうち本特例にも適用されるものは「特定都区市内または東京山手線内発着の場合は〜」や「〜は東京山手線内発着の場合に(特定都区市内に関する規定を)準用する」と規定されている。そのため、特定都区市内のみを対象に規定されていて東京山手線内に関する準用規定がない事項については、本特例に対しては適用されない。
- ^ 例えば、東京近郊区間内である秋葉原駅から浪花駅までの運賃について、秋葉原⇒浪花の最短経路となる総武本線、外房線経由(98.3km)では東京駅からの営業キロが100km超(100.3km)のため、本来は本特例が適用され「東京山手線内⇒浪花(東北本線、総武本線、外房線経由)」の1980円となる。ただし、東京駅から浪花駅までの最短経路の営業キロが100km以下(99.7km)のため、「秋葉原(単駅)⇒浪花(総武本線、外房線経由)」の1690円とすることができる。
- ^ その旨を案内している駅もある。
- ^ 例えば、ひかり・こだま自由席回数券(6枚つづり)の「東京(山手線内)⇔小田原」(東京 - 小田原間83.9km)、新幹線自由席回数券(東北新幹線)(6枚つづり)の「東京(山手線内)⇔小山」(東京 - 小山間80.6km)などがある。
- ^ 内部用語の「東京電車環状線」の略で通称でもある。
- ^ 元々は、こちらも山手線だった。
出典
[編集]- ^ 旅客営業規則第87条本文
- ^ 2009年3月14日以降の旅客営業取扱基準規程第115条第2項(ただし、2008年3月31日まで存在していた同条項とは内容が異なる)。
- ^ 旅客営業規則第156条第3号
- ^ 旅客営業規則第86条第1号
- ^ 旅客営業取扱基準規程第275条第1号。ただし、元の乗車券が東京近郊区間内相互発着の普通乗車券で区間変更後も東京近郊区間内相互発着となる場合を除く。
- ^ 旅客営業規則第38条の2。詳細は、東京山手線内均一定期券を参照のこと。
- ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '00年版』ジェー・アール・アール、2000年7月1日、186頁。ISBN 4-88283-121-X。
- ^ 旅客営業規則第41条、ただし現在は削除されている。詳細は、回数乗車券を参照のこと。
- ^ “運賃改定申請のお知らせ”. 東日本旅客鉄道株式会社. 2024年12月7日閲覧。