東京都シルバーパス
この記事は特に記述がない限り、東京都の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
東京都シルバーパス(とうきょうとシルバーパス)は、東京都の福祉乗車証である。都営交通無料乗車券もここで説明する。
概要
[編集]- シルバーパス
この制度は、2000年(平成12年)の東京都シルバーパス条例(東京都条例第133号[1])によるものである。前身は東京都シルバーパス交付条例(昭和55年東京都条例第23号)。なお、都営交通の老人無料パスは1973年1月から、他の民間バスも利用可能にしたパスは1974年11月から始められている[2]。
この福祉乗車証は東京都内在住で、満70歳以上であればパスの交付を受けることができる。日本国籍の有無は問わない[3]。有効期間は毎年10月1日から翌年9月30日までである。パス交付の費用は20,510円(一年間有効)であるが、有効期限が半年以内であれば10,255円となる。ただし、市町村民税(特別区民税含む)非課税者の場合は、期間によらず一律1,000円である[4]。
この乗車証を利用することによって、以下に記載された路線バスおよび東京都交通局の各路線(都営交通)を自由に乗り降りでき、交通弱者とされる高齢者の利便を図るものとなっている。 都営地下鉄の本八幡駅を除き、原則として東京都内での使用に限られているため、以下に示すような他県にまたがる路線バスに乗車する場合は、利用できる区間が東京都内に限られる。
路線バス・都電を利用する際は乗務員にシルバーパスを提示する。運賃前払い式の場合は乗車時に、運賃後払いのときは降車時に提示することとなる。一部バス路線では乗車時に整理券を取らなければならない。
都営地下鉄を利用する際は有人改札通路を利用することとなっていたが、2007年1月よりシルバーパスを自動改札機に投入して利用することも可能となった。日暮里・舎人ライナーも同様に自動改札を利用することになる。ただし、他社の乗車券類との組み合わせての2枚投入や自動精算機には対応してないので有人改札での対応となり、この場合は現金運賃になる。
発行受付は都内の路線バス・都営地下鉄の定期券発売所・バス案内所などで行っている。毎年9月のパスの更新時期には各バス事業者が更新受付限定の臨時窓口を設けることがある。
平成30年時点で東京都シルバーパスにかかる都の費用負担は200億円を超え[5]、都議会議員在職中に東京都シルバーパスの廃止を訴えた者もいた[6][7]。
20510円のパスは、不要となった際の返還時に1か月あたり2000円と手数料500円を引いて返金される。ただし、8月以降は返金額なしとなる。
- 都営交通無料乗車券
- 東京都交通局が発行する、東京都内在住の身体障害者、知的障害者、生活保護受給者などに無料支給されるパス[8]。なお、精神障害者については東京都福祉保健局より同等の利用範囲となる「精神障害者都営交通乗車証」が無料で発行される。
- 利用範囲は都営交通のみであるが、磁気券のほかにPASMOへの搭載も可能。
- これらの発行条件を満たす場合、東京都シルバーパスとの重複発行は出来ないため、どちらか一方を選択することとなる。
使用できる路線・区間
[編集]東京地下鉄線は対象外であるが、都営地下鉄との共用区間である目黒駅・白金台駅・白金高輪駅の各駅相互間は乗車できる。また、振替輸送は利用できない。
都営
[編集]民営・町村営バス
[編集]上記の会社が運行する路線バスであっても、自治体コミュニティバスは一部路線を除き利用できない。かつて運行されていたお台場の都営快速バスや2階建てバスも利用出来なかった。
深夜バスについては、別途全額運賃が必要な所と深夜分の割増運賃との差額を支払うことで利用できる場合があったが、2021年現在は利用出来ないので別途全額運賃が必要。ただし都バスの深夜バスは割増運賃分の支払で乗車可能。
空港連絡バス、高速バス、高速乗合バス、夜行高速バス、夜行高速乗合バス、リムジンバス、深夜急行バス、通勤高速バス、定期観光バス、季節・臨時運行バスは原則乗車不可。
幼児同伴は2名まで無賃扱い。乳児も1歳未満は制限なしで乗れる。ただし離島バスは多少異なる。障害者割引との併用は出来ないが、障害者手帳提示で介助者の割引は可能。
主な対象外バス
[編集]- 銀河鉄道 - 東村山市、小平市、国分寺市
- マイスカイ交通 - 葛飾区
- フジエクスプレス - 「ちぃばす」
- kmモビリティサービス - 「お台場レインボーバス」
- WILLER EXPRESS - 「IKEBUS」
- 小笠原観光有限会社 - 「小笠原村営バス」
都外に跨る路線・系統の扱い
[編集]都営地下鉄
[編集]- 本八幡駅も利用可能。
路線バス
[編集]- 都外に跨る路線では都内のみでの乗降となる。
- 乗車バス停と降車バス停の両方が都内のバス停であれば、都外の区間も無料で通過できる。(国際興業バスの赤23系統など)
- 都外で乗降する場合、都内からはみ出す区間の運賃が別途必要である。例外として埼玉県新座市、和光市の全線都区内運賃を採用している一部の停留所及び、埼玉県川口市に位置する荒川大橋バス停は都内扱い。逆に西東京市のひばりヶ丘駅北口発着の西武バス路線は都外扱い(ひばりヶ丘駅北口のみが東京都で次の停留所から埼玉県新座市となる。なお、駅前ロータリー整備前はひばりヶ丘駅北口停留所そのものが新座市に所在していた)。
- シルバーパスが使えない会社との共同運行便は使える会社のバスであっても使用出来ないことがある。
備考
[編集]紛失による再発行は一回限り認められる。ただし、火災、盗難、災害等による場合はこの限りではない。
脚注
[編集]- ^ “東京都シルバーパス条例”. 2021年8月14日閲覧。
- ^ 「来月から都内の全バス お年寄り無料に」『朝日新聞』昭和49年(1974年)10月16日朝刊、13版、22面
- ^ “東京都シルバーパスのご案内”. 2021年8月14日閲覧。
- ^ “東京都シルバーパス条例施行規則”. 2021年8月14日閲覧。
- ^ “調査実施概要”. 2021年8月14日閲覧。
- ^ “「貧しい若者から、富める高齢者へ」シルバーパスによる所得再配分、やめませんか?【都議会定例会「討論」その1】”. 2021年8月14日閲覧。
- ^ “【東京都議会議員おときた駿氏 特別寄稿】高齢者だけが利用できる「シルバーパス(敬老パス)」を廃止した方が良い3つの理由”. 2021年8月14日閲覧。
- ^ https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/other/kanren/fare/free.html