松本賢吾
まつもと けんご 松本 賢吾 | |
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生誕 |
1940年??月??日 日本・千葉県 |
死没 |
2024年9月6日(84歳没) 日本・神奈川県 |
国籍 | 日本 |
職業 | 小説家 |
活動期間 | 1996年~2012年 |
代表作 | 『墓碑銘に接吻を』、『魔弾 : マッド・フィーバー』、『打鐘(ジャン)』、八丁堀の狐シリーズ |
松本 賢吾(まつもと けんご、1940年 - 2024年9月6日)は日本の小説家。ハードボイルド、警察小説、時代小説を執筆。本名は竹野 尚志(たけの ひさし)。
経歴・人物
[編集]千葉県生まれ。職業軍人だった父が戦地に赴いたため、母、妹とともに愛知県東三河の父の実家に身を寄せる。父の実家は寺だった。母、妹が疫病で亡くなり、父が戦地で病死したため、寺の一角で祖母と二人暮らしになる。敗戦後、出征していた叔父が戦地から復員し教員となり、松本と祖母を引き取る。しかし小学校一年の二学期が始まる前に養子に出される。本名の「竹野」姓はこの時からである。ほどなく養父母が離婚。養父が再婚し、義弟が生まれる。愛知県立豊川工業高校を卒業後、警視庁警察官を経て、トラック運転手、添乗員、損保代理店、屋台、警備員、警備会社経営、石職人など十種類以上の職を経験する。[1]
1993年、編集者・文芸評論家の安原顯が主宰する「創作学校」に入校。2年間通い、修了時に「安原顯賞」を受賞。学研の契約プロデューサーとなった安原のプロデュースでハードボイルド長編小説『墓碑銘に接吻を』で作家デビューを果たす。安原は面識のなかった大沢在昌にオビのための推薦文を依頼した。[2]大沢のオビ文は以下のようなものである。
「裏の世界で生きる男たち女たちの姿がいい。会話が熱い。/しかも最後には爽やかさすら感じさせる。/私にとってはトホホであるが、またひとり、ひと筋縄ではいかないハードボイルド作家が出現してしまった」[3]
その後、ハードボイルド、アウトロー、警察小説などの現代小説、江戸期を舞台にした時代小説を執筆。映画『新・仁義なき戦い。』、『新 仁義なき戦い/謀殺』のノベライズも手がけた。2012年に『ヨコハマ関内署刑事(デカ)部屋』を上梓したのち、闘病生活に入り、2024年病没。[4]
著作リスト
[編集]シリーズ作品
[編集]原島恭介シリーズ
[編集]- 墓碑銘に接吻を(1996年2月 学習研究社 / 2000年1月 双葉文庫)
- エンジェル・ダスト(1996年9月 学習研究社 / 2001年2月 双葉文庫)
- 慚愧の淵に眠れ(2000年7月 双葉社 / 2001年1月 双葉文庫)
- 永遠の復讐(2002年1月 双葉社)
警視庁捜査一課別係・相羽健一シリーズ
[編集]- 魔弾 : マッド・フィーバー(1997年1月 祥伝社Non novel / 2005年2月廣済堂文庫)
- 時効 : 長編刑事推理(1997年12月 祥伝社Non novel)
- 捜査一課別係戒名 : 長編サスペンス(1998年12月 祥伝社Non novel)
- 凶劇 : 捜査一課別係「突きの健」(2003年9月 学習研究社ウルフ・ノベルス)
- 殺し屋 : 捜査一課別係(2004年4月 廣済堂出版Kosaido blue books)
謝り屋・北山慎治シリーズ
[編集]- 窮鼠(1999年8月 双葉社)
- 謝り屋始末記年 不動明王篇(2002年1月 双葉社Futaba novels)
竜四郎疾風剣シリーズ
[編集]- 流星を斬る : 竜四郎疾風剣(2004年7月 双葉文庫)
- 邪悪を斬る : 竜四郎疾風剣(2004年11月 双葉文庫)
- 吉原を斬る : 竜四郎疾風剣(2005年3月 双葉文庫)
- 群雲を斬る : 竜四郎疾風剣(2005年6月 双葉文庫)
- 水月を斬る : 竜四郎疾風剣(2005年10月双葉文庫)
羽生新八郎怨念剣シリーズ
[編集]- 十兵衛を斬る : 羽生新八郎怨念剣(2005年5月 学研M文庫)
- 正雪を斬る : 羽生新八郎怨念剣(2005年8月 学研M文庫)
はみだし同心人情剣シリーズ
[編集]- 片恋十手 : はみだし同心人情剣(2006年2月 双葉文庫)
- 忍恋十手 : はみだし同心人情剣(2006年4月 双葉文庫)
- 悲恋十手 : はみだし同心人情剣(2006年6月 双葉文庫)
- 仇恋十手 : はみだし同心人情剣(2006年8月 双葉文庫)
八丁堀の狐シリーズ(コスミック版)
[編集]- 八丁堀の狐(2006年12月 コスミック・時代文庫)
- 八丁堀の狐 : 悪鬼狩り(2007年11月 コスミック・時代文庫)
- 八丁堀の狐 : 赤い十手(2007年5月 コスミック・時代文庫)
- 八丁堀の狐 : 稲妻狩り(2008年5月 コスミック・時代文庫)
八丁堀の狐シリーズ(双葉社版)
[編集]- 鬼あざみ : 八丁堀の狐(2007年12月 双葉文庫)
- 女郎蜘蛛 : 八丁堀の狐(2007年5月 双葉文庫)
- 鬼火 : 八丁堀の狐(2007年9月 双葉文庫)
- 蟻地獄 : 八丁堀の狐(2008年11月 双葉文庫)
- 七化け : 八丁堀の狐(2008年3月 双葉文庫)
- 大化け : 八丁堀の狐(2008年6月 双葉文庫)
- 本懐 : 八丁堀の狐(2009年3月 双葉文庫)
- 神隠し : 八丁堀の狐(2009年8月 双葉文庫)
天保裏与力我慢様シリーズ
[編集]- はぐれ鬼 : 天保裏与力我慢様(2008年8月 竹書房時代小説文庫)
- 秘剣返し : 天保裏与力我慢様(2009年2月 竹書房時代小説文庫)
目明かし朝吉捕物帖シリーズ
[編集]- てやんでえ : 目明かし朝吉捕物帖(2009年5月 コスミック・時代文庫)
- からすがね : 目明かし朝吉捕物帖(2009年11月 コスミック・時代文庫)
平塚一馬十手道シリーズ
[編集]- 黄色い桜 : 平塚一馬十手道(2010年2月 双葉文庫)
- 冥途の初音 : 平塚一馬十手道(2010年7月 双葉文庫)
- 女賊の恋 : 平塚一馬十手道(2011年2月 双葉文庫)
シリーズ外作品
[編集]- 屑(1997年11月 角川書店)
- トラップ罠(1999年4月 マガジンハウス)
- 打鐘(ジャン)(2001年5月 徳間書店)
- 月虹(2002年1月 毎日新聞社)
- 黄金町クラッシュ(2003年6月 実業之日本社)
- 女の街(2003年1月 毎日新聞社)
- 夜鷹屋お万 : 捨九郎夢遊剣(2006年1月 廣済堂文庫)
- 炎上(2007年2月 徳間文庫)
- ヨコハマ関内署刑事(デカ)部屋(2012年4月 毎日新聞社)
ノベライズ
[編集]- 新・仁義なき戦い。(原作:飯干晃一 2000年11月 角川文庫)
- 新 仁義なき戦い/謀殺(原作:飯干晃一 ベーシックストーリー:成島 出/我妻 正義 2003年1月 角川文庫)
脚注
[編集]- ^ 日本看護協会出版会雑誌編集部 編『患者さんを全人的に捉える 24の家族物語』日本看護協会出版会、2001年9月10日、81-88頁。
- ^ 安原顯『墓碑銘に接吻を(双葉社文庫)解説』双葉社、2000年10月1日、272-278頁。
- ^ 『墓碑銘に接吻を』学研、1996年2月10日、オビ。
- ^ “6日の早朝、マツケンさんこと作家の松本賢吾さんが亡くなられました。”. 2024年9月20日閲覧。