松林飯山
| 人物情報 | |
|---|---|
| 別名 |
諱：漸之進 字：伯鴻 通称：廉之助 |
| 生誕 |
天保10年2月16日（1839年3月30日） 日本・筑前国早良郡羽根戸村（現・福岡県福岡市西区） |
| 死没 |
慶応3年1月3日（1867年2月7日（27歳没）） 日本・大村藩 暗殺 |
| 両親 | 父：松林杏哲 |
| 学問 | |
| 時代 | 幕末 |
| 研究分野 | 儒学 |
| 主な受賞歴 | 従四位 |
松林 飯山（まつばやし はんざん、天保10年2月16日（1839年3月30日）[1] - 慶応3年1月3日（1867年2月7日））は、幕末の大村藩士・儒学者。諱は漸之進、号は飯山、字は伯鴻、通称は廉之助。
経歴
[編集]父は大村藩医、松林杏哲[注 1]。筑前国早良郡羽根戸村（現・福岡県福岡市西区）に生まれ、やがて大村藩領蠣浦（現・長崎県西海市）に移った。幼少の頃から神童の誉れが高く、郡奉行に見出され、嘉永3年（1850年）、12歳のときに藩主大村純熈に唐詩選を進講した。これをきっかけに藩士に取り立てられ、藩校五教館の表定詰となった。
嘉永5年（1852年）、純熈にしたがって江戸に出て、安積艮斎の私塾見山楼に入門し、頭角を表し塾生の主席となった。安政4年（1857年）、昌平黌に入学、19歳で助教に任命された。
安政6年（1859年）、大村に戻ると、藩は五教館の祭酒（教授）に任じようとしたが、飯山はこれを辞退し、次席である学頭となった。
万延元年（1860年）8月、純熈の命により大坂に出向き、藩邸に滞在しつつ京都の政情を探索した。大坂では、文久元年（1861年）11月、昌平黌の学友であった松本奎堂（後に天誅組総裁）、岡鹿門（岡千仞）と3人で雙松岡(そうしょうこう)塾を開いたが、勤皇思想の拠点のような観を示したことで、京都所司代から問題視されて塾は5ヶ月で閉鎖し[2]、飯山も大村に戻った。
文久3年（1863年）10月、 五教館の祭酒となった。また、この頃から学問だけでなく、藩政へも参加するようになった。同年12月頃、渡邊清左衛門、渡邊昇、楠本正隆らとともに勤王派を結成したが、これが後に大村三十七士と呼ばれる同盟に発展する。
慶応3年（1867年）1月3日、飯山は自宅近くで襲われ、絶命した。また同日、家老の針尾九左衛門も襲われ重症を負った。事件は佐幕派の犯行とされ、藩士1000人を動員した捜査が行われた。結局切腹2人、獄門・斬首26人という佐幕派の大粛清が行われた（大村騒動）。
父 松林杏哲は、飯山の死後の顕彰その他の大村藩士の好意に対して、藩内の鶴亀橋をそれまでの板橋から、石橋に架替えを行い感謝の意を伝えたという。
著作等
[編集]- 『飯山文存』（1878年(明治11年)、松林義則編)
- 『飯山遺稿』（1919年(大正8年)、野田文之助松雲堂)
- 『松林飯山君五絶』(遺墨、早稲田大学図書館蔵（田中光顕旧蔵）)
- 『松林飯山書簡:森周庵宛』(早稲田大学図書館蔵)
ゆかりの地
[編集]- 松林飯山先生 生誕地碑（福岡市西区羽根戸370付近）
- 福岡市西区の一乗寺の西にある。早良郡田隈村の医師齊藤義氏が1929年(昭和4年)私費を投じて建立した。飯山の号は生誕地近くの飯盛山からとられた[4]。
- 雙松岡塾跡の碑[5]（大阪市福島区福島1丁目1-60、大阪中之島合同庁舎南東角）
- 松林飯山遭難の碑（長崎県大村市玖島2丁目313）[9]
- 松林飯山の墓（長崎県大村市須田ノ木町無番地）[10]
- 松林飯山碑(長崎県大村市古町1丁目、本経寺前)
- 松林廉之助碑（京都市東山区清閑寺霊山町1・京都霊山護國神社）
- 松林飯山祖父母之墓（久留米市御井町）
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 松林杏哲 実父ではなく養父との説もある。
出典
[編集]- ^ デジタル版 日本人名大辞典+Plus
- ^ 『随筆百花苑』第一・二巻（中央公論社、1980年）所収 岡鹿門著『在臆話記』
- ^ 田尻佐 編『贈位諸賢伝 増補版 上』（近藤出版社、1975年）特旨贈位年表 p.7
- ^ https://ameblo.jp/hyakuokuitininnmenootoko/entry-12022931768.html
- ^ 雙松岡塾跡
- ^ 川添純雄、大村高校同窓会会報『多良が嶺』、2014年
- ^ 『随筆百花苑』第一・二巻（中央公論社、1980年）所収 岡鹿門著『在臆話記』
- ^ 大村史談会2023年４月8日例会資料
- ^ ケーブルプラス,p.4,vol.12,2010
- ^ 「幕末の大村藩①」『おむらんちゃんねる』FMながさき
- ^ 試撃行 京都府京都市 霊山護國神社②
- ^ 京都史蹟散策106 京都霊山護国神社 探訪3 松林飯山の碑
- ^ 久留米市立御井小学校父母教師会編 「第三章 石は語る (三、朝妻)」『御井町誌 』、1985年
参考文献
[編集]- 外山幹夫『もう一つの維新史 長崎・大村藩の場合』新潮選書 1993年。ISBN 978-4106004506
- 久田松和則『松林飯山：1839-1867』長崎文献社、2024年。ISBN 978-4-88851-401-9
- 『続明治文鈔』四/ 松林飯山墓碑, p.27-30, 渡邉昇, 山中市兵衛,明治10(1877)年
- 『近世百傑伝』本編, 干河岸貫一 編, p.340-343, 博文館, 明33(1900)年
- 『原応侯』, 久布白兼武 著, 原忠一, 大正15（1926）年
- 『天忠組総裁松本奎堂晩年の事蹟』, 武岡豊太 編, 武岡豊太, 大正15（1926）年
- 『飯山文集』第1〜2編, 松林飯山 [著] ほか, 勝岡廓善, 昭12(1937) 年
- 『勤王護國列士小傳 第１編』, p.108-118, 大政翼賛會 大阪支部編, 昭19(1944)年
- 『新編大村市史』第3巻 (近世編), 大村市史編さん委員会, p.510-561, 大村市, 2015年
外部リンク
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