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桃音しおんのラノベ日記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
桃音しおんのラノベ日記
ジャンル ラブコメディ
小説
著者 あさのハジメ
イラスト たにはらなつき
出版社 講談社
その他の出版社
中華民国の旗 東立出版社
レーベル 講談社ラノベ文庫
刊行期間 2013年8月 - 2014年8月
巻数 4巻
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル

桃音しおんのラノベ日記』(ももねしおんのラノベにっき)は、あさのハジメによる日本ライトノベル。イラストはたにはらなつきが担当している。講談社ラノベ文庫から刊行されている[1]。公式略称は「桃ラノ」[2]

概要

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あさのの4作品目の著作。自身がデビューしたレーベル以外でのライトノベルシリーズはこれが初となる全4巻のライトノベルである。

本書についてあさのは、「高校生作家の主人公と小学生作家のヒロインが一緒に創作活動をするHIGH&LOWラブコメ」と説明している[3]。本書が生まれたきっかけについては、担当編集者とやり取りをしていた時に、異世界バトルアクションと小学生ヒロインのラブコメという2つの企画を提示したところ、担当編集者は迷わずに小学生の方を選択したためと述べている[4]

また、ストーリーの間には「モモ先生のラノベQ&A」が掲載されている。「モモ先生のラノベQ&A」では、ラノベ業界に関する疑問や質問について答えていた。なお質問は、公式Twitterおよび、講談社ラノベ文庫の本に挟まれている読者アンケートはがきにて募集を行っていた。また小説発売に先駆けて、第1巻では公式サイトにて、第2巻と第3巻では講談社ラノベ文庫編集部ブログにてそれぞれ「モモ先生のラノベQ&A」の出張版が掲載された。

2013年6月に公式サイトが開設された。公式サイトでは、「モモ先生のラノベQ&A」のWEB出張版を見ることが出来る他に、壁紙のダウンロードや小説1巻第2章までの試し読みをすることも出来る[5]。日本国外においては、東立出版社台湾)より翻訳版が刊行されている[6]

あらすじ

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桃音しおん――それは、デビュー作で累計100万部を突破したラノベ作家の名前だ。ところがしおんに関する情報は皆無で、誰もがしおんの正体を知りたがっていた。一方椎名歩は現役高校生作家としてデビューするまでは良かったものの、デビュー作が3巻で打ち切りとなり、次回作も出せずにいた。そんなある日、歩は担当編集者の芹沢桃香に呼び出され、衝撃の質問を受ける。「突然だが、きみは小学生に興味があるか?」

桃香にしおんの事情を聞かされた歩は、しおんが滞在しているというホテルへ向かう。そこで出会ったのは人形のように可憐な、全裸の小学生の少女だった。平凡な高校生と天才小学生が繰り広げる、ラノベ業界の裏にも迫る青春ラブコメ刊行開始。

登場人物

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メインキャラクター

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椎名 歩(しいな あゆむ)
本作の主人公。私立浩葉学園高等部に通う高校2年生。ペンネームは「椎名アユム」。
中学校時代に某ライトノベルレーベルが主催している新人賞に作品を投稿したところ、佳作を受賞し高校生作家としてデビューした。しかし、デビュー作の「ライヴライヴ!」は1巻の売れ行きが芳しくなかったため、3巻で打ち切りとなってしまった。
それ以降、半年間にわたり幾度となくプロットを企画会議に出すも、書きたい作品が見つからないという理由から中々いい作品が書けず、企画も全てボツになっていた。
執筆速度は高校生にも拘らず3週間で初稿を書き上げる程速い。
椎名駆という兄がいる。小学生の時は兄と一緒に競泳をやっていたが、兄の方が数段も上手く、いつも兄と比べられてきた。このため、競泳に嫌気が差し、やめてしまった。それ以降、兄のいる実家から離れたくて仕方がなかったため、県外で学生寮がある浩葉学園中等部を受験した。また、水泳と同じぐらいに本を読んだり、頭の中で物語を作ることが大好きだったため、作家を目指すようになった。
真山景という作家に憧れている。
芹沢汐音の正体を知る数少ない一人で、汐音の作家仲間でもある。
芹沢 汐音(せりざわ しおん)
本作のヒロイン。私立浩葉学園初等部に通う小学5年生。ペンネームは「桃音しおん」。
自他ともに認める魔性の女で、男性からするとすごく可愛く映る。さらに、外見だけで無意識に男性を誘惑してしまう。このため、生まれてから5回も誘拐未遂事件に巻き込まれている。また3年ほど前から家に引きこもって読書と二次創作ばかり行っていたが、やがて自分の物語を書いてそれを沢山の人に読んでもらいたいと思ったため、「パーフェクトブラック」を大手小説投稿サイトに投稿した。
「パーフェクトブラック」は、1巻が投稿されるやいなや、瞬く間に400万PVを超える大ヒットを記録した。それが桃香の目に留まり、作家としてデビューすることになった。
彼女についての情報は皆無で、ツイッターブログは一切やらず、彼女の本の著者プロフィールは空欄、巻末にあるあとがきも書かなければ、何かの雑誌にインタビューが開催されたこともない、完全な覆面作家となっている。
現在は歩と同じ、書きたい物語が見つからないというスランプに陥っていたが、歩と共にプロットを練っているうちに、自分の書きたい物語を見つけ、スランプを脱した。
作品を書くときはもの凄い集中力を発揮するため、人が近づいても気付かないことが多い。また、作品を書くときは全裸になることがある[注 1]
芹沢桃香は汐音の姉に当たる。汐音の母親はピアニストをしており、海外公演に行くため家を空けていることが多い。父親はアメリカの最大手プロレス団体と契約できた数少ない優秀な選手。現在は海外に単身赴任をしている。
自身の口座を持っており、管理もすべて自分がやっている。貯金額は「パーフェクトブラック」の印税が相当額入っている。
芹沢 桃香(せりざわ ももか)
歩と汐音の担当編集者。2人以外にも最近のヒット作の大半は桃香が担当している。
未だに中学生料金で映画館に入れるらしい童顔と、150cmほどしかない小柄な体型の持ち主。ゴスロリチックな服装をしていることが多い。年齢を聞くことは禁句となっている。
4年前に浩葉学園中等部に教育実習で訪れており、歩やナツメとはこの時から面識がある。その後、教員にはならずに「真山景」という作家としてデビューするも、担当した女性編集者の仕事ぶりに憧れたため、1冊だけ本を出し筆を折った。
歩と話をする時は妹キャラになることがある。
秋月 ナツメ(あきづき ナツメ)
歩のクラスメイトで、文芸部の部長。
歩とは中等部からの知り合いで、新人賞に投稿する仲間でもあった。歩が作家としてデビューしてもなお、投稿するのを止めていない。
小さい頃から絵を描いており、RUNという名義で歩の新刊のイラストを担当することになる。
ロリコンを異常なほど目の敵にしており、ロリコンのことを「風祭病」と呼ぶ。
4人家族だが、現在は母親と2人で暮らしている。汐音と同じ年の妹がいる。ナツメが中学に入学する前に母親と父親が離婚し、妹は父親について行ったため、離れ離れになってしまった。

その他登場人物

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風祭 蓮(かざまつり れん)
歩のクラスメイトで、文芸部の部員。
末期のロリコンで、美術部にいた頃は幼い女の子の絵ばかり描いていたため、美術部から追放された。
現在は文芸部の部員合わせのために文芸部に所属している。
相手の匂いだけで小学生に会っていたことだけでなく、その子が何年生なのかまで当てることが出来る。また浩葉学園初等部の制服を持っている。
「風祭病」の言葉の由来は蓮から来ている。
一之瀬 一姫(いちのせ いちひめ)
2巻から登場した。元々の名前は秋月一姫。ナツメは実の姉にあたる。
汐音の事を溺愛しており、汐音の可愛さに興奮して鼻血を出すことがある。
歩の事を変質者と勘違いしている。
椎名 駆(しいな かける)
歩の兄。年齢は明かされていないが、歩より少し上。
競泳が得意で実力は歩よりも数段上。幼い頃から何度も地域の大会で優勝し、インターハイの個人種目においても上位入賞の実力を持ち、国の強化指定選手にも選ばれている。
得意な種目は自由形の短距離。
ポニ子
浩葉学園初等部の保健の先生。名前は明かされていないが、歩がポニ子と名付けた。32歳の独身。
ポニ子の恋人は汐音を誘拐しようとした人物の1人。

用語

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私立浩葉学園(しりつこうようがくえん)
歩や汐音が通っている学校。初等部、中等部、高等部が全て1つの広大な敷地内にある。中等部からは希望すれば学生寮に入ることが出来る。
汐音に起こった5件の誘拐未遂事件のうち、3件は初等部の男性教員が起こした。いずれの教員も県外の学校へ転勤という処置を取ったが、学園側はこの事実を隠ぺいしている。
初等部の5月のスローガンは「廊下は走らない。友達と仲良くする。汐音ちゃんには手を出すな!」となっている。
ライヴライヴ!
歩のデビュー作。ストーリーは、顔も素性も明かさずただネットに曲をアップし続ける人気バンドと、そのドラムの正体がクラスメイトの女の子だということを偶然知ってしまった主人公が、紆余曲折あって一緒にバンドを組むという学園青春ラブコメ。1巻の売り上げが芳しくなかったため、1巻の発売から1か月で打ち切りが決まった。初版発行部数は1巻が18,000部、2巻は12,000部、3巻は6,000部だった。
パーフェクトブラック
桃音しおんのデビュー作。アニメ化が決定している。「パフェブラ」と訳されることがある。元々は真山景がプロットを書いて自らボツにした作品であったが、汐音が家に眠っていたプロットを見つけ、それを元に物語を作り上げた。
ストーリーは魔法が存在する1つの国を舞台にしたファンタジーもので、漆黒機関と呼ばれる国家直属の魔法管理局に入るために奮闘する学生たちを描いている。また、バトル要素がかなり強い作品となっている。
大手小説投稿サイトに投稿したところ400万PVを超える大ヒットを記録した。それを桃香が見つけ、汐音を作家としてデビューさせた。小説も次々と増版が決定し、最終巻である5巻の帯には「累計100万部突破!」という文字が躍っていた。
桃音しおんのペンネームもこの作品の裏事情から付けられた[注 2]
パーフェクトホワイト
パーフェクトブラックのスピンオフ作品。パーフェクトブラックのアニメ化が決定したことで、企画が持ち上がっている。世界観はパーフェクトブラックと同じだが、バトル要素が多かったパーフェクトブラックと異なり、パーフェクトホワイトはラブコメ要素が強い作品となる。
現在汐音は新シリーズを書いているうえにパーフェクトブラックのアニメ化も決定している。このため仕事の量が膨大なものとなり汐音が壊れることを危惧した桃香は原案を汐音が作り、別の人にストーリーを書かせることを提案したが、汐音は納得していない。
それでも僕らは悪夢を抱いて
ナツメが新人賞に送った作品。ストーリーは他人の夢の中に潜ることができる能力を持った主人公とヒロインが、人間の夢の中に潜ってその精神エネルギーを喰らう存在と抗争を繰り広げる現代異能バトルアクション。
ベテランの売れっ子作家が出した企画と内容が被ってしまい落選となった。

書籍

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小説

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講談社ラノベ文庫より刊行。日本国外においては、東立出版社台湾)より翻訳版が刊行されている[6]

タイトル 発売日[7] ISBN[8]
1 桃音しおんのラノベ日記 1 11歳の創作活動 2013年8月2日 978-4-06-375317-2
2 桃音しおんのラノベ日記 2 恋と夏休みと修羅場進行 2013年11月29日 978-4-06-375345-5
3 桃音しおんのラノベ日記 3 16歳の編集活動 2014年4月2日 978-4-06-375367-7
4 桃音しおんのラノベ日記 4 パーフェクトホワイト 2014年8月1日 978-4-06-375399-8

脚注

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注釈

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  1. ^ スランプに陥った時に、「先輩作家の執筆方法を参考にしたらどうだ?」と桃香がアドバイスをしたところ、ある作家が過去にツイッターに「ただいま全裸で執筆中!マジはかどるぜ!」みたいなことを書き込んでいるのを参考にしたため。
  2. ^ パーフェクトブラックの原案者が桃香で作者が汐音という事から、それぞれの名前の漢字を1文字ずつ取り、汐音という名前を平仮名に直したのがペンネームの由来となっている。

出典

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  1. ^ 講談社ラノベ文庫既刊案内-2013年8月刊行”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2013年8月6日閲覧。
  2. ^ 小説第1巻あとがきおよび公式サイトにおける記述より。
  3. ^ 小説第1巻あとがきにおける記述より。
  4. ^ 公式サイトにおける記述より。
  5. ^ 桃音しおんのラノベ日記 公式サイト”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2013年8月6日閲覧。
  6. ^ a b 桃音夕音的輕小說日記”. 東立Online. 東立出版社. 2014年7月8日閲覧。
  7. ^ 講談社ラノベ文庫 桃音しおんのラノベ日記 作品紹介”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2013年8月6日閲覧。
  8. ^ 講談社ラノベ文庫 桃音しおんのラノベ日記 既刊情報”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2014年3月7日閲覧。

外部リンク

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