植物生体液
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植物生体液(しょくぶつせいたいえき、英語: Sap)とは、植物の体液である。樹木の場合は、樹液と呼ばれる。
道管に流れる導管液(道管液)、篩管に流れる篩管液[1]、乳管に流れる乳液、樹脂道に流れる樹脂[2]などがある[3]。搾り取ったり、自然に植物から出た液体を汁液という[4]。
植物の利用
[編集]栄養の移動、毒などを放出し動物からの防御などの役割があるとされる[2]。
利用
[編集]- ゴム、ラテックスなどは、ラバータッピングという手法で採取される。
- 天然樹脂 - 南アフリカに住んでいた石器時代の古代人はアカシアの樹液を接着剤に利用した[5]。
- 漆 - 塗料、接着剤など。
- コパイバの樹液は、南米の部族では抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗破傷風作用、防腐作用などの薬として利用された[6]。
- 白樺の樹液 ‐ 飲料や民間薬とされる。
- メープルシロップ、アガベシロップ、パームシロップと発酵させた酒(メープル・リキュール、テキーラ、ヤシ酒)
- ヘチマ水[7]
- ジャングルのツタ植物の多くは、切ることで出る樹液を飲料として利用できる[8]。
動物の利用
[編集]食料とする動物には、キツツキ科シルスイキツツキ属の鳥や昆虫のアブラムシなどの樹液食動物がいる。昆虫の樹液食動物は、体外に甘露を分泌する場合がある。
研究者は、採取中のアブラムシの口針をレーザーメスで切断するAphid Technique(アブラムシ技法)で漏出した篩管液を採取する[9]。
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パームシュガーのための樹液採取の様子
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メープルシロップ採取の様子。
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メープルシロップ採取の様子。
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白樺の樹液採取の様子。
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松脂のために松の樹液を集めている様子。
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樹液に群がるカブトムシとカナブン。
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アブラムシを正面から見た図。植物に突き刺す口器(口針)を持つ。
出典
[編集]- ^ 米山忠克、山崎晴民、宗芳光、藤原伸介、建部雅子「作物生体液(導管液, 葉柄汁液, 葉身汁液)の微量要素濃度」『日本土壌肥料学雑誌』第68巻第5号、1997年、508-513頁、doi:10.20710/dojo.68.5_508。
- ^ a b 鎌田直人「保全講座3 : 昆虫による加害と植物による防御 (II)」『樹木医学研究』第13巻第1号、2009年1月31日、21-27頁、doi:10.18938/treeforesthealth.13.1_21。
- ^ “植物 Q&A 樹液について”. みんなのひろば. 日本植物生理学会. 2024年4月29日閲覧。
- ^ 「汁液」 。
- ^ “石器時代に赤土から強力接着剤?”. ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (2009年5月11日). 2024年4月29日閲覧。
- ^ Almeida, Mara Ribeiro; Darin, Joana D'Arc Castania; Hernandes, Lívia Cristina; Ramos, Mônica Freiman de Souza; Antunes, Lusânia Maria Greggi; Freitas, Osvaldo de (2012-08-02). “Genotoxicity assessment of Copaiba oil and its fractions in Swiss mice”. Genetics and Molecular Biology 35 (3): 664–672. doi:10.1590/S1415-47572012005000052. ISSN 1678-4685. PMC 3459418. PMID 23055807 .
- ^ “根・導管液・導管”. 筑波大学生命環境科学研究科 佐藤忍研究室. 2024年4月23日閲覧。
- ^ Craighead, John J. “JUNGLE SURVIVAL”. CIA. 2024年4月29日閲覧。
- ^ 茅野 充男, 林 浩昭, 藤原 徹「4. 篩管による物質転流と生長」『化学と生物』第26巻第5号、1988年、318–324頁、doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.26.318、ISSN 0453-073X。