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権藤要吉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

権藤 要吉(ごんどう ようきち、1895年明治28年)[1]- 1970年昭和45年)[1])は、日本建築家朝香宮邸(東京都庭園美術館)の設計者として知られる。

来歴・人物

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福岡県筑紫郡三宅村(現・福岡市南区)で権藤伊兵衛の長男として生まれる[1]。福岡県立福岡工業学校(現・福岡県立福岡工業高等学校)建築科から名古屋高等工業学校に進学[1]。1916年(大正5年)同校建築科を銀時計授与され優等で卒業した[1]

卒業同年、住友総本店営繕課建築係に入り、竹腰健造に師事[1][2]

1921年(大正10年)から学校側の推薦により住友を辞し、内匠寮技手として宮内省に勤務[1]高橋貞太郎の下で東伏見宮邸(大正13年)を手がける。これはのちの宮邸平面計画の原型となる[1]

1923年(大正12年)、東京商工奨励館主催の商店建築及店頭計画競技で選外佳作[3]

1925年(大正14年)、貴族邸宅及び博物館研究のために欧米に派遣され、イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、オーストリア、イタリア、アメリカなど各国を視察する[1]。フランスでは同年のパリ万国博覧会(アールデコ博)を度々視察している[4][5]。欧米派遣の間ロンドンにて朝香宮夫妻と親交を深める[1]

翌年帰国し、宮廷建築を手がけ、のちに内匠寮工務部建築課長をつとめる[1]

1948年(昭和23年)に退職し[1]、岩田建設の建築部長を経て1949年頃自らの建築設計事務所を開設する[6]

主要作品

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  • 学習院校舎西一号館 - 1930年(昭和5年)に中等科教場として建てられた建物。基本設計を担当。現在は214教室。部屋に当時の面影を偲ばせるストーブ置き場や照明器具が残る[10][11][12]
  • 小林理学研究所残響試験室[19]

寄稿

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  • 建築学会(編)『建築工学ポケットブック』丸善、1933年(「第十二章 博物館建築」を担当)
  • 「奈良帝室博物館 列品收藏庫建築に就て」 『博物館研究』第11巻3号、日本博物館協会、1938年3月

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l 『皇室建築 内匠寮の人と作品』422頁。
  2. ^ (PDF)岸佑「『貫戦』期日本におけるモダニズム建築の言説・表象・実践 : 近代性による『日本的なもの』の構築 国際基督教大学学位論文 甲 第175号、2014年
  3. ^ 東京商工奨励館(編)『商店建築及店頭計画図案』 建築書院、1924年
  4. ^ 牟田行秀「権藤要吉渡航日記 若き宮内省技手がみた欧米建築」(『1930年代・東京—アール・デコの館(朝香宮邸)が生まれた時代』所収)、2008年。上田恭嗣「建築家薬師寺主計とアール・デコ様式について―藤岡郊二郎と有隣荘大原孫三郎邸における建築意匠からの考察」『日本建築学会計画系論文集』No.67(553)、2002年
  5. ^ 木村儀一・藤岡 洋保・岩橋幸治・山崎鯛介・中山伸「明治大学所蔵堀口捨己資料の内容とその建築史的重要性」『日本建築学会計画系論文集』69(578)、2004年
  6. ^ 佐藤嘉明、「建築家・小尾嘉郎の経歴と建築活動に関する研究」」 『日本建築学会計画系論文集』 2005年 70巻 587号 p.199-206, 小尾建築工務所と権藤建築設計事務所は協力事務所だったという。doi:10.3130/aija.70.199_1
  7. ^ a b 旧李王家東京邸概要 (PDF)
  8. ^ 高晟埈「旧李王家東京邸内の武石弘三郎作大理石浮彫について」『新潟県立近代美術館研究紀要』No.11、新潟県、2012年
  9. ^ 55年の歴史に一幕閉じる (PDF) 」- HITS
  10. ^ 杉山経子, 伊藤裕久、「学習院・旧理科特別教場に設置されたドラフトチャンバーについての一考察 : 学習院大学目白キャンパスの当初計画に関する研究6(日本近代:建築衛生設備,建築歴史・意匠)」 『学術講演梗概集. F-2, 建築歴史・意匠』日本建築学会、2010年7月、pp.431-432, NAID 110008113571
  11. ^ 長佐古美奈子、「学習院における歴史教育の始まりと標本室」『学習院大学史料館紀要』2013年 19号 p.1-16 , ISSN 0289-0860、学習院大学
  12. ^ 学習院大学史料館パンフレット (PDF)
  13. ^ 2015年指定、平成27年7月8日文部科学省告示第119号
  14. ^ 毎日新聞2008年12月17日朝刊
  15. ^ 志村直愛・前野まさる「日本のアール・デコ建築について其の5 旧朝香宮邸の内部意匠に見るアール・デコ・スタイルの特徴」『学術講演梗概集. F, 都市計画, 建築経済・住宅問題, 建築歴史・意匠』日本建築学会、1992年8月、pp.1083 - 1084,
  16. ^ 本学部貴重図書「朝香宮邸新築関係費書類一式」 (PDF) 日本大学生産工学部
  17. ^ THE WEEKLYREPORT (PDF) - 水海道ロータリークラブ
  18. ^ 関雅也・藤岡洋保・浅羽英男・内野井宗哉・岡本真由美・松波秀子「新宿御苑旧洋館御休所について : その2 (大正11年以降の増改築)『学術講演梗概集. F-2, 建築歴史・意匠』日本建築学会、1999年7月、pp.395 - 396
  19. ^ 『設計と監理』第3巻11号、日本建築家協会、1957年

参考文献

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  • 藤森照信『日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉』岩波書店 岩波新書、1993年。
  • 鈴木博之監修、内匠寮の人と作品刊行委員会編『皇室建築 内匠寮の人と作品』建築画報社、2005年。
  • 東京都庭園美術館『1930年代・東京—アール・デコの館(朝香宮邸)が生まれた時代』、2008年。
  • 万城目学門井慶喜『ぼくらの近代建築デラックス! 』文藝春秋 文春文庫、2015年。