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横山茂之

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
横山 茂之
生誕 1953年
日本の旗 日本 東京都
居住 日本の旗 日本
国籍 日本の旗 日本
研究分野 構造生物学生化学分子生物学生物物理学生物工学糖尿病学
研究機関 理化学研究所
出身校 東京大学
主な受賞歴 武田医学賞(2018年)
プロジェクト:人物伝
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横山 茂之(よこやま しげゆき、1953年 - )は、理化学研究所特別招聘研究員[1]。理学博士。東京大学名誉教授[2]。専門は構造生物学。580億円もの巨額な公的研究費によって行われたタンパク3000プロジェクトの代表責任者であった。

経歴

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  • 1953年 - 東京都生まれ[3]
  • 1975年 - 東京大学理学部生物化学科卒業
  • 1977年 - 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
  • 1981年 - 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
  • 1981年 - 日本学術振興会奨励研究員
  • 1982年 - 東京大学理学部助手
  • 1986年 - 東京大学理学部助教授
  • 1991年 - 東京大学理学部教授
  • 1993年 - 東京大学大学院理学系研究科教授
  • 1993年 - 理化学研究所主任研究員
  • 1998年 - 理化学研究所ゲノム科学総合研究センタープロジェクトディレクター
  • 2008年 - 理化学研究所生命分子システム基盤研究領域長
  • 2013年 - 理化学研究所横山構造生物学研究室上席研究員
  • 2018年 - 理化学研究所横山特別研究室特別招聘研究員
  • 2018年 - 順天堂大学医学部生化学第一講座客員教授
  • 2023年 - 信州大学医学部特任教授

タンパク3000プロジェクトについての議論

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タンパク3000プロジェクトとは、2002年からの5年間の間に、生命を司るのに重要なタンパク質のうち1/3に相当する約3000種以上のタンパク質の基本構造の解明およびその機能の解析を行うことを目標とした日本の国家プロジェクトであった[4]。580億円という巨額の公的予算に見合う意義等について厳しい批判がNature誌や朝日新聞などに掲載された[5][6][7]。横山らは批判に対して反論を行った[8]

アディポネクチン受容体に関する議論

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横山は東京大学医学部糖尿病内科とアディポネクチンの受容体であるAdipoRについて共同研究を行い、AdipoRのアゴニストとして働く化合物アディポロン(AdipoRon[9]の発見を共著で発表した。肥満による生活習慣病の夢の治療薬としてアディポロンが期待できたことから、医療のみならず社会そのものが変わるという推測もなされ[10]、マスメディアは偉業と報道した[11]。また、横山らはAdipoRの結晶構造をNature誌にArticleとして2015年4月に報告した[12]。一方で、AdipoRについては、横山が共著者であるNature誌の論文[13]を含む、東京大学医学部が主著者である多数の論文[14][15][16][17][18][19]に不正が疑われるデータが大量に存在することが2014年の大晦日から2016年にかけて匿名AOrdinary_researchersによって指摘されている。そして2019年には、上記のAdipoRと呼ばれるタンパク質は膜流動性に関与しており、アディポネクチンとは無関係であるという報告がなされた[20]

栄誉・受賞

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脚注

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  1. ^ 横山特別研究室 | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2019年5月7日閲覧。
  2. ^ 武田科学振興財団、2018 年度「武田医学賞」受賞者を発表”. 公益財団法人 武田科学振興財団. 2019年5月8日閲覧。
  3. ^ 総括責任者 横山茂之氏の略歴等”. JST. 2019年5月8日閲覧。
  4. ^ 文部科学省 ターゲットタンパク研究プログラム”. www.tanpaku.org. 2019年5月7日閲覧。
  5. ^ “'Big science' protein project under fire” (英語). Nature 443 (7110): 382. (2006-09-01). doi:10.1038/443382a. ISSN 1476-4687. https://www.nature.com/articles/443382a. 
  6. ^ 中村桂子 (2007年5月17日). “私の視点 生命科学研究”. 朝日新聞 
  7. ^ 荒田洋治 (2008年). “実像と虚像”. 蛋白質・核酸・酵素. 2019年5月8日閲覧。
  8. ^ “RIKEN aids international structural genomics efforts” (英語). Nature 445: 21. (2007-01-03). doi:10.1038/445021a. ISSN 1476-4687. https://www.nature.com/articles/445021a. 
  9. ^ 肥満での生活習慣病防ぐ飲み薬の候補物質、東大が発見”. 日本経済新聞 電子版. 2019年5月6日閲覧。
  10. ^ アディポロンが、糖尿病や肥満の画期的な治療法に | 経済界”. 経済界電子版 (2014年2月18日). 2019年5月6日閲覧。
  11. ^ 東大医学部で「STAP級」論文不正 税金が消えた「糖尿病研究」の暗部 選択 2016年10月号 2017年9月13日閲覧
  12. ^ “Crystal structures of the human adiponectin receptors” (英語). Nature 520 (7547): 312–316. (2015-04). doi:10.1038/nature14301. ISSN 1476-4687. https://www.nature.com/articles/nature14301. 
  13. ^ Okada-Iwabu, Miki; Yamauchi, Toshimasa; Iwabu, Masato; Honma, Teruki; Hamagami, Ken-ichi; Matsuda, Koichi; Yamaguchi, Mamiko; Tanabe, Hiroaki et al. (2013-11). “A small-molecule AdipoR agonist for type 2 diabetes and short life in obesity” (英語). Nature 503 (7477): 493–499. doi:10.1038/nature12656. ISSN 1476-4687. https://www.nature.com/articles/nature12656. 
  14. ^ Yamauchi, Toshimasa; Kamon, Junji; Ito, Yusuke; Tsuchida, Atsushi; Yokomizo, Takehiko; Kita, Shunbun; Sugiyama, Takuya; Miyagishi, Makoto et al. (2003-06). “Cloning of adiponectin receptors that mediate antidiabetic metabolic effects” (英語). Nature 423 (6941): 762–769. doi:10.1038/nature01705. ISSN 1476-4687. https://www.nature.com/articles/nature01705. 
  15. ^ Yamauchi, Toshimasa; Nio, Yasunori; Maki, Toshiyuki; Kobayashi, Masaki; Takazawa, Takeshi; Iwabu, Masato; Okada-Iwabu, Miki; Kawamoto, Sachiko et al. (2007-03). “Targeted disruption of AdipoR1 and AdipoR2 causes abrogation of adiponectin binding and metabolic actions” (英語). Nature Medicine 13 (3): 332–339. doi:10.1038/nm1557. ISSN 1546-170X. https://www.nature.com/articles/nm1557. 
  16. ^ Okamoto, M.; Ohara-Imaizumi, M.; Kubota, N.; Hashimoto, S.; Eto, K.; Kanno, T.; Kubota, T.; Wakui, M. et al. (2008-05-01). “Adiponectin induces insulin secretion in vitro and in vivo at a low glucose concentration” (英語). Diabetologia 51 (5): 827–835. doi:10.1007/s00125-008-0944-9. ISSN 1432-0428. https://doi.org/10.1007/s00125-008-0944-9. 
  17. ^ Iwabu, Masato; Yamauchi, Toshimasa; Okada-Iwabu, Miki; Sato, Koji; Nakagawa, Tatsuro; Funata, Masaaki; Yamaguchi, Mamiko; Namiki, Shigeyuki et al. (2010-04). “Adiponectin and AdipoR1 regulate PGC-1α and mitochondria by Ca 2+ and AMPK/SIRT1” (英語). Nature 464 (7293): 1313–1319. doi:10.1038/nature08991. ISSN 1476-4687. https://www.nature.com/articles/nature08991. 
  18. ^ Awazawa, Motoharu; Ueki, Kohjiro; Inabe, Kazunori; Yamauchi, Toshimasa; Kubota, Naoto; Kaneko, Kazuma; Kobayashi, Masatoshi; Iwane, Aya et al. (2011-04-06). “Adiponectin Enhances Insulin Sensitivity by Increasing Hepatic IRS-2 Expression via a Macrophage-Derived IL-6-Dependent Pathway” (English). Cell Metabolism 13 (4): 401–412. doi:10.1016/j.cmet.2011.02.010. ISSN 1550-4131. PMID 21459325. https://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(11)00083-0. 
  19. ^ Shojima, N.; Hara, K.; Fujita, H.; Horikoshi, M.; Takahashi, N.; Takamoto, I.; Ohsugi, M.; Aburatani, H. et al. (2012-12-01). “Depletion of homeodomain-interacting protein kinase 3 impairs insulin secretion and glucose tolerance in mice” (英語). Diabetologia 55 (12): 3318–3330. doi:10.1007/s00125-012-2711-1. ISSN 1432-0428. https://doi.org/10.1007/s00125-012-2711-1. 
  20. ^ “AdipoR1 and AdipoR2 maintain membrane fluidity in most human cell types and independently of adiponectin” (英語). Journal of Lipid Research 60 (5): 995–1004. (2019-05-01). doi:10.1194/jlr.M092494. ISSN 0022-2275. PMID 30890562. http://www.jlr.org/content/60/5/995.full. 
  21. ^ 秋の褒章に754人25団体産経ニュース2019年11月2日(2019年11月2日閲覧)
  22. ^ 『官報』号外第151号、2019年11月3日