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歴史の起原と目標

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

歴史の起原と目標Vom Ursprung und Ziel der Geschichte)はドイツ実存主義哲学者精神科医カール・ヤスパース1949年に刊行し、「枢軸時代」の観点を提示して世界史の再解釈をほどこし、新しい世界史像を提唱した哲学書。重田英世による日本語訳がある。

大まかな構成

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従来までの世界史を扱った第一部、現在と未来について論じた第二部、歴史の意味について論じた第三部の3部構成になっている。

章・節の構成

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第一部 世界史

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緒論 世界史の構造
第一章 枢軸時代
  • a 枢軸時代の輪郭
  • b 枢軸時代という観点から構想された世界史の構造
  • c 枢軸時代という提言の検討
    • 1 この事実は存在したのか?
    • 2 いかなるたぐいの平行論が主張されているのか?
    • 3 この事実は何に起因するのか?
    • 4 枢軸時代の意義の問題
第二章 世界史の図式
第三章 先史時代
  • a 歴史と先史
  • b 先史への態度
  • c 先史時代の時間的図式
  • d 先史時代に何が起こったのか?
    • 1 人間の生物学的諸性質
    • 2 歴史的な獲得
  • e 先史全体としての様相
  • f 全人間の同属性の問題
第四章 古代史上の高度文化
  • a 概観
  • b いかなる出来事が歴史を準備したか?
  • c 古代高度文化の共通性と相違性
第五章 枢軸時代とその結果
  • a 枢軸時代による世界史の構成
  • b 破開以後の世界史
  • c インド・ゲルマン民族の意義
  • d 西洋の歴史
    • 1 全体としてみた様相
    • 2 キリスト教的枢軸の意義
    • 3 西洋における教養の連続性
第六章 西洋の特異性
第七章 東洋(オリエント)と西洋(オクシデント)
第八章 再論 世界史の図式

第二部 現在と未来

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第一章 本質的に新たなもの 科学と技術
  • 緒論
  • Ⅰ 近代科学
    • a 近代科学の特性
    • b 近代科学の由来
    • c 近代科学の課題と逸脱
  • 近代技術
    • a 技術の本質
      • 1 技術の定義
      • 2 技術史上の大きな断層
    • b 労働の本質
      • 1 労働の定義
      • 2 近代技術の断層以後の労働
    • c 労働と技術の評価
      • 労働の評価
      • 近代技術の評価
      • 1 自然からの疎外と自然への新たな接近
      • 2 技術の限界の誤認
      • 3 技術の魔性の認知
第二章 現代世界の直面する状況
  • 緒論
    • a 現代の情勢の特徴
      • 1 大衆が生起の決定的因子となる
      • 2 伝統的価値の崩壊(信仰の喪失)
    • b 現代の情勢の由来
    • c 総括
第三章 未来の問題
  • Ⅰ 目標、すなわち自由
    • a 自由の哲学的概念
    • b 権力と政治的自由
  • Ⅱ 基本的傾向
    • a 社会主義
      • 1 社会主義の源泉と概念
      • 2 権力
      • 3 計画化と全体計画化
      • 4 経済構造の未来像、自由競争か計画経済か?
      • 5 計画化の手段、すなわち官僚制
      • 6 有意義な計画化の限界
      • 7 社会主義と全体計画化
      • 8 全体計画の動機と全体計画化の克服
    • b 世界の統一
      • 緒論 枢軸時代末期への史的類似
      • 1 世界帝国もしくは世界秩序
      • 2 強国の政治的支配
      • 3 世界秩序への途上における危険
      • 4 世界秩序の可能性に反対する思想
      • 5 世界秩序の理念
    • c 信仰
      • 1 信仰とニヒリズム
      • 2 現代の情勢の展望
      • 3 永遠の信仰の基本的範疇
      • 4 未来における信仰

第三部 歴史の意味

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緒論 歴史的考察の意義
第一章 歴史の限界
  • a 自然と歴史
  • b 遺伝と伝統
  • c 歴史と宇宙
第二章 歴史の基本的構造
  • a 一般者と個体
  • b 歴史の過渡的存在
第三章 歴史の統一性
  • 緒論
  • a 統一を暗示する諸事実
    • 1 人間本性の統一性
    • 2 普遍的なもの
    • 3 進歩
    • 4 空間と時間における統一
    • 5 幾多の特殊な統一
  • b 意味と目標による統一
  • c 全体的思惟にとっての統一
  • 総括
第四章 現代の歴史的意義
  • a 研究方法の多面性と厳密性
  • b 全体思惟の克服
  • c 単なる審美的考察の克服
  • d 人類の統一
  • e 歴史と現在はわれわれにとって不可分となる
第五章 歴史の克服

日本語訳

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  • カール・ヤスパース 『ヤスパース選集Ⅸ 歴史の起原と目標』 Vom Ursprung und Ziel der Geschichte 重田英世訳、理想社、1964
  • 『世界の大思想 40 ヤスパース(歴史の起原と目標、理性と実存、哲学の小さな学校)』 重田英世ほか訳、河出書房新社、1972。ワイド版2005

関連項目

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