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洲本オリオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
洲本オリオン
Sumoto Orion
情報
正式名称 洲本オリオン
完成 1951年
開館 1951年
収容人員 99人
設備 ドルビーデジタル5.1ch、DLP
ドルビー3D
用途 映画上映
運営 有限会社オリオン
所在地 656-0025
兵庫県洲本市本町5丁目4-8
アクセス 洲本港より徒歩10分
洲本市役所より徒歩1分
外部リンク https://sumoto-orion.jimdofree.com/
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洲本オリオン(すもとオリオン)は、兵庫県洲本市本町5丁目4-8にある映画館

戦前にあった芝居小屋を前身とし、1951年(昭和26年)に映画館に業態転換。淡路島唯一の映画館である。

データ

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  • 所在地:兵庫県洲本市本町5丁目4-8
  • 運営:有限会社オリオン
    • 代表:野口貞巳[1]、野口純子(城下町洲本再生委員会会長[2]
    • 支配人:野口仁(2013年時点)[1]
  • 座席数:250席(開業時[2])→99席(2013年時点)

歴史

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正式な開業時期は不明であるが、戦前には人形浄瑠璃を上演する芝居小屋が洲本市内に存在していた[3]。その後昭和館や福助座という名称の時期を経て、終戦6年後の1951年(昭和26年)、公募により命名されたオリオンとなり映画館に転向した[4]。1957年(昭和32年)の時点では、洲本市内の映画館は同館のほか、戦前に芝居小屋としてスタートし、初代桂小春団治も上がったことのある弁天座(本町四丁目)[注 1]と、江戸時代から存在していた玉尾座(山手三丁目)[7][注 2]しかなかった[9]。最盛期は洲本市に7つ映画館があった[6]

1975年(昭和50年)に建物を改築。以後洋画のみならず邦画も上映するようになる。洲本市出身の作詞家・阿久悠や俳優の笹野高史も学生時代によく通っていた[2]。阿久は『荒野の決闘』(監督ジョン・フォード、配給20世紀フォックス、1946年製作、日本公開1947年8月30日)を見た思い出を明かしている[10]他、笹野が出演した『武士の一分』(監督山田洋次、配給松竹、2006年[1])『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』(監督マキノ雅彦、配給角川映画、2009年[11])などもオリオンで上映されたことがある。

2011年(平成23年)7月1日、3Dデジタルシネマシステムドルビー3D)を導入し上映方式をデジタル化。この年にはNHK総合テレビバラエティ番組鶴瓶の家族に乾杯』で、笑福亭鶴瓶山本浩二が同館を訪れ、同年7月25日放送の同番組内で取り上げられた。2012年(平成24年)から毎年4月下旬と10月上旬に『城下町洲本レトロなまち歩き』と題したイベントを同館周辺で開催。同館代表の野口純子が「城下町洲本再生委員会」の代表も兼任することになる[2]

しかし同県内や徳島県北島町シネコンに徐々に客足を奪われた他、代表者の高齢化も追い風となり2013年(平成25年)10月4日をもって映画館としての営業を終了[3]。最後のロードショーとなった熊切和嘉監督作『夏の終り』(配給クロックワークス、2013年8月31日封切)では、同館内でもロケが行われており[4]、熊切監督らスタッフが同館の倉庫で寝泊まりしたという逸話がある[12]。建物は解体せず貸ホールに転換され、年数回ほど音楽や演劇などの催しが行われている[2][4]

2021年1月からは約7年ぶりに長期間の定期上映を行っており、1月9日から全編淡路島ロケの『なんのちゃんの第二次世界大戦』が上映されている[13]

脚注

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注釈

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  1. ^ 昭和7年(1932年)の時点ですでに映画館として存在している[5]。また、[6]によると、「東映の」と記載されていることから本町四丁目にある現在のJOYプラザビルの場所にあった映画館である。
  2. ^ [6]によると大映の作品が配給されていた映画館である。また、[7]で記載されている「玉尾モータープール」は山手三丁目にある[8]

出典

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  1. ^ a b c あわじ 2007年3月、2ページ
  2. ^ a b c d e 城下町洲本再生委員会会長・野口純子さん”. すごいすと. 公益財団法人 兵庫県生きがい創造協会 (2014年5月25日). 2014年7月17日閲覧。
  3. ^ a b “地域に愛され幸せ 島内唯一の映画館が閉館”. 神戸新聞 (神戸新聞社). (2013年10月4日). オリジナルの2014年7月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140726050447/http://www.kobe-np.co.jp/news/awaji/alacarte/201310/0006393955.shtml 2014年7月17日閲覧。 
  4. ^ a b c あわじ 2013年9月、1ページ
  5. ^ 昭和7年の映画館(兵庫縣 55館)”. 中原行夫の部屋(原資料「全国映画館録」(キネマ旬報社)). 2015年11月10日閲覧。
  6. ^ a b c 【特別編】『洲本オリオンの思い出』”. スカパー! 日曜シネマテーク. TOKYO FM (2015年11月8日). 2015年11月10日閲覧。
  7. ^ a b “100年前の演劇チラシ発見 洲本の「玉尾座」”. 神戸新聞. (2010年1月13日). オリジナルの2010年1月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100117060842/http://www.kobe-np.co.jp/news/awaji/0002637699.shtml 2015年11月10日閲覧。 
  8. ^ 玉尾モータープール”. NAVITIME. 2015年11月10日閲覧。
  9. ^ 昭和32年の兵庫県の映画館”. 中原行夫の部屋(原資料「キネマ旬報」). 2014年7月17日閲覧。
  10. ^ KTC 2008年、67ページ
  11. ^ 映画「旭山動物園物語」が春休み中もロングラン上映されています”. 旭川市 (2009年3月27日). 2014年7月17日閲覧。
  12. ^ 田辺ユウキ (2013年8月30日). “『夏の終り』熊切和嘉監督インタビュー”. 宅ふぁいる便. K-Lab.Inc.. 2014年7月17日閲覧。
  13. ^ 新作邦画定期上映へ 島内唯一の映画館『洲本オリオン』」『神戸新聞』2020年12月21日

参考文献

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  • 島で一つだけの映画館」(PDF)『ポケットあわじ』第58号、淡路文化会館、2007年3月1日、2頁、 オリジナルの2014年7月27日時点におけるアーカイブ、2014年7月17日閲覧 
  • 島のオンリー1 ナンバー1」(PDF)『ポケットあわじ』第136号、淡路文化会館、2013年9月1日、1頁、 オリジナルの2014年7月25日時点におけるアーカイブ、2014年7月17日閲覧 
  • 来馬章雄「阿久悠に学ぶ」(PDF)『KTC機関紙』第67号、一般社団法人 神戸大学工学振興会、2008年9月1日、66-68頁、ISSN 1345-56992014年7月17日閲覧 

外部リンク

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