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海にいるのは…

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
海にいるのはから転送)
海にいるのは…
ジャンル 少女漫画
恋愛漫画
漫画
作者 大島弓子
出版社 小学館
掲載誌 別冊少女コミック
レーベル フラワーコミックス
大島弓子名作集(朝日ソノラマ)
小学館文庫
大島弓子選集(朝日ソノラマ)
白泉社文庫
発表期間 1974年7月号
その他 50ページ
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

海にいるのは…』(うみにいるのは)は、大島弓子による日本漫画作品、およびそれを中心とした作品集。表題作は『別冊少女コミック』(小学館1974年7月号に掲載された。

出版社に近い旅館に軟禁状態(カンヅメ)で描かされた作品であり[1]、同じ境遇にあった萩尾望都が大島弓子の原稿の背景を手伝ったことで知られている[2]。主人公の「アレクサンダー」は作者のお気に入りの名前である[3]

あらすじ

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1941年アメリカでの出来事。アレクサンダーは養い先の娘であるヒルデガードから、自分のことを愛しているかと尋ねられる。アレクサンダーは血のつながったきょうだいのように彼女を愛しているという返事をするが、その途端、ヒルデガードの態度がかわり、プレイボーイで有名なリンゴとデートを繰り返すようになる。同じころ、アレクサンダーは彼に興味を抱いた謎の紳士に出会う。アレクサンダーは自分の理想の女性像をその紳士に語るが、紳士はそんな存在は海の底にしかいない、と断言する。

登場人物

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アレクサンダー
主人公で15歳。9月にはニュージャージー州のハイスクールに入学する予定。 ヒルダのことを妹のようなものとしか見ておらず、リンゴと付き合い出してからの変貌ぶりに驚いている。自分に近づいてきたジェントルマンのことも気が変なのではないか、と思っている。理想の女性は、豊かなブロンドの髪を持ち、暖かい大地の色をした目を持つ人。
ヒルデガード・フランクリン / ヒルダ
アレクサンダーの養家である、フランクリン先生の一人娘。アレクサンダーに告白後、リンゴと遊び惚けるようになり、課題のレポートをアレクサンダーに頼むようになる。雨の中、アレクサンダーを待ち続けて、風邪をひく。深夜まで遊び歩いているとアレクサンダーには嘘をついていた。
リンゴ・スターキング
アレクサンダーのクラスメイト。毎年、わずかな点数のために落第し、卒業できないでいる。ヒルダのほかにクラブのホステスともつきあっている。ヒルダを夜遅くまで連れ回しているかに見えたが、実は雨が降る前にヒルダを家に送り届けていた。
ジェントルマン / オーガスティン
登校中のアレクサンダーにぶつかったことで、彼と知り合う。ホテル暮らし。海で仕事をしており、たまたま休暇中で陸に上がっているだけだという。亡くなっている娼婦の恋人のことを懐かしんでいる。物語の途中でひげを剃る。
フランクリン先生
ヒルダの父親で、アレクサンダーの養い親。娘の非行については、知らされていなかったため、真相を知るやいなや娘に激怒する。
アリス
オーガスティンの恋人で、故人。

解説

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  • 斎藤次郎は、大島弓子は気づくか気づかない位のかすかな愛の予感を大切にする作家であろうと述べ、この作品の主人公、アレクサンダーの憧れの女性は母親の記憶であったが、彼がその絵をオーガスティンの部屋で見た一瞬ののちに、同居し、きょうだいのように育ったヒルダを抱きしめているところに、彼の魂の中で、憧れの女性(すなわち母親)とヒルダが合一していたのではないか、と述べている。人を愛することは、自分の心の中に、広い世界に向かってあふれ出ようとする愛を予感することであり、その対象はいつでも、どこでも、わたしたちの前に立っているのだ、眼を逸らさないで自分自身を直視することが大切だと、作者の大島弓子は語りかけている、という[4]

同時収録作品(小学館文庫)

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ミモザ館でつかまえて

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週刊マーガレット』(集英社1973年12号に掲載。

ジョカへ…

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『別冊少女コミック』(小学館)1973年4月号・7月号・9月号に分載。

単行本

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関連項目

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  • マザーコンプレックス
  • 金色の星』…主人公が理想の女性像を語る点、身近な同年配の少年少女の屈折した愛情表現などが共通している(発表は『金色の星』が先である)。
  • 中原中也…制作にあたり中原中也の詩「北の海」にインスパイアされ、発展させたことを言及している[5]

脚注

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  1. ^ 大島弓子選集第4巻『ほうせんか・ぱん』書き下ろしマンガエッセイより
  2. ^ 『秋日子かく語りき』(角川書店、2003年)収録の「本人自身による作品解説」より。作中にエドガーとアランが描かれている一コマがある
  3. ^ 大島弓子選集第2巻『ミモザ館でつかまえて』書き下ろしマンガエッセイより
  4. ^ 小学館文庫『海にいるのは…』解説「愛の予感の幸福論」より
  5. ^ ぱふ』1979年5月号「特集 大島弓子」質問に答えて:p216より