コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

深瀬基寛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

深瀬 基寛(ふかせ もとひろ、1895年10月12日 - 1966年8月21日)は、日本の英文学者翻訳家京都大学名誉教授。

高知県吾川郡春野町(現高知市)生まれ。1916年第三高等学校卒、1919年東京帝国大学卒。1920年京都帝国大学大学院入学、中学校教諭ののち、1922年松江高等学校教授、1925年三高講師、1927年教授、49年京大教養部教授、1958年10月定年退官、名誉教授、南山大学教授。1966年大手前女子大学教授。没後従三位贈位勲三等瑞宝章受勲。

マシュー・アーノルドT・S・エリオットの紹介、研究に努めた。1955年、『エリオット』で第6回読売文学賞受賞。若いころ湯浅芳子に恋していたことが瀬戸内寂聴『孤高の人』に書かれている。

共通感覚について

[編集]

コモンセンスという外来語に「共通感覚」という訳語を提案したのは深瀬である、と中村雄二郎が『術語集』(岩波文庫)「コモンセンス」の項で述べている[1]

著書

[編集]

単著

[編集]
  • ティ・エス・エリオット』(研究社) 1937
  • 『現代英文学の課題』(弘文堂) 1939
  • 『エリオットの芸術論 方法から体系へ』(比叡書房) 1949
  • 『人はみな草のごとく 評論集』(養徳社) 1950
  • 『現代の英文学』(弘文堂) 1951
  • 『エリオットの詩学』創元文庫 1952、のち角川文庫 1957
  • 『エリオット 鑑賞世界名詩選』(筑摩書房) 1954、のち新版 筑摩叢書 1968
  • 『批評の建設のために』(南雲堂) 1956
  • 『日本の沙漠のなかに』(筑摩書房) 1957、のち講談社文芸文庫 2013
  • 『童心集』(中外書房) 1958
  • 『現代の詩心』(筑摩書房) 1958
  • 『乳のみ人形 随筆集』(筑摩書房) 1960
  • 深瀬基寛集』全2巻(唐木順三編、筑摩書房) 1968 - 1巻は英文学、2巻は随想集

共編

[編集]
  • 『エリオット研究』(英宝社) 1955
  • 『英国の詩論』(山口書店) 1956
  • 『深瀬基寛・唐木順三往復書簡』(筑摩書房) 1983

訳著

[編集]
  • 『政治の彼方に』(クリストフアー・ドウソン英語版、筑摩書房) 1941、現代教養文庫 1952
  • 『宗教と近代国家』(クリストフア・ドウソン、弘文堂書房) 1946、清水弘文堂書房 1969
  • 英国の国家構造』(ウォルター・バジョット、弘文堂書房) 1947、清水弘文堂書房 1967
  • 『来るべき自由社会』第1部(ジョン・ミドルトン・マリ、世界文学社) 1949
  • 『文化とはなにか』(T・S・エリオット、弘文堂) 1951、清水弘文堂書房 1967
    • 荒地 / 文化の定義のための覚書』(中公文庫) 2018 - 解説「エリオットの人と思想」
  • 『ものの考え方 合理性への逸脱』(ウォーコップ、弘文堂) 1951、講談社学術文庫 1984
  • 『試煉に立つ文明』(アーノルド・J・トインビー、社会思想研究会出版部) 1952、現代教養文庫 1960、改版 1966
  • 『芸術の運命』(W・ウェイドレー、創文社、フォルミカ選書) 1953
  • 『自由社会』第1・2部(ジョン・ミドルトン・マリー、社会思想研究会出版部、現代教養文庫) 1952-1953
  • 『詩をよむ若き人々のために』(セシル・デイ=ルイス、筑摩書房) 1955、新版 1971、筑摩叢書 1978、ちくま文庫 1994
  • 『現代詩論』(セシル・ルイス、創文社) 1955
  • 『オーデン詩集』(筑摩書房) 1955、せりか書房 1968
  • 『現代英詩の背景』(アイザックス、大浦幸男共訳、創文社) 1956
  • 『創造的要素』(スティーヴン・スペンダー村上至孝共訳、筑摩書房)第1・2部、1956-1957、筑摩叢書(全1巻)1965
  • 『英文学をどう読むか』(L・D・ラーナー、川田周雄安田章一郎共訳、筑摩書房) 1957
  • 『十七世紀の思想的風土』(バージル・ウィレー、創文社) 1958、復刊1994
  • 『西洋文学の日本発見』(アール・マイナー村上至孝・大浦幸男共訳、筑摩書房) 1959
  • 『一歴史家の宗教観』(アーノルド・トインビー、社会思想研究会出版部) 1959、のち『著作集4』社会思想社 1967
  • 『世界文学大系 第57 (ジョイス・ウルフ・エリオット)』(筑摩書房) 1960
    「荒地」「聖灰水曜日」を収む
  • 『混沌から』(ステュワート・ホルロイド、竹森修共訳、筑摩書房) 1961
  • 『革命の世界史』(クリストファー・ドーソン、筑摩書房) 1963、新書判
  • 『堕落論 歴史のなかに神があるか』(ジェラルド・ハード、安田章一郎共訳、筑摩叢書) 1965、のち復刊
  • 『人間性の破産と超剋』(エリック・グートキント、筑摩叢書) 1968、のち復刊

参考文献

[編集]
  • 山内邦臣、山村武雄「故名誉教授深瀬基寛先生を悼む(弔辞、故名誉教授深瀬基寛先生略歴・著書目録)」『英文学評論』第20巻、京都大学教養部英語教室、1967年3月、172-179頁、CRID 1390572174796711936doi:10.14989/revel_20_172hdl:2433/135012ISSN 0420-8641 

関連項目

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ 同書83ページ
  2. ^ 小谷野敦『江藤淳と大江健三郎』136ページ(ちくま文庫

外部リンク

[編集]