演奏会用ソナタ (アルカン)
演奏会用ソナタ (Sonate de concert) ホ長調 作品47は、シャルル=ヴァランタン・アルカンが作曲したチェロとピアノのためのソナタである。
概要
[編集]1857年の作品で、James Odierに献呈した。初版は1861年にフランス・パリのSimon Richaultより出版された。編成としてはチェロソナタであり、全体としてはチェロが主旋律を受け持つことが多いが、ピアノに旋律を任せてチェロが伴奏に徹することも多く、比較的対等な立場にある。
曲の構成
[編集]第1楽章
[編集]Allegro molto 2/2、ホ長調、ソナタ形式。 序奏なしに第1主題が優雅にチェロに歌われるところから始まる。第2主題はロ長調で、提示部は繰り返される。展開部では転調を伴いながらそれぞれの主題が展開され、フーガを経たのちに静かになり、ホ長調となって再現部となる。最後は華やかなコーダで締める。
第2楽章
[編集]Allegrettino 6/8、変イ長調、展開部のないソナタ形式。 通常のソナタではワルツないしスケルツォに相当する楽章。舟歌。第1主題はピアノの伴奏もゆったりとしている。途中変ロ長調の小コーダ(遷移主題)をはさみ、第2主題は平行調のヘ短調で、細やかな伴奏と共に感傷的な部分である。再現部は、第1主題が変イ長調、小コーダ(遷移主題)が変ホ長調、第2主題が変イ長調であり、いくらか短縮される。最後に第1楽章第1主題を回想し、消えるように終わる。
第3楽章
[編集]Adagio 12/8(部分的に4/4)、ハ長調。ロンド形式(A-B-A-B-C-A-Coda)。 全曲中で最も白眉な楽章。暗く短い序奏を経てハ長調の主部へ入る。ピアノの静かな和音にそってチェロが優雅に奏でる。続けてピアノ単独による、トレモロを伴いながらのヘ短調の第2主題となる。途中からチェロがピッツィカートの伴奏で加わり、ヘ長調となるが、終止形になることなく中断し、主部に戻る。今度は長三度上のホ長調で奏でられ、第2主題も同じくイ短調、そしてイ長調となる。そのまま盛り上がりるが突然中断し、中間部となる。ここでは新たに加わる主題と共に展開し、調的にもト長調、ニ長調、ホ長調、ロ長調と変化し続ける。第2主題のトレモロは続いたままハ長調の主部に戻り、一度中断を挟むものの、最後は静かに楽章全体を回想しながら終わる。
第4楽章
[編集]Finale alla saltarella, Prestissimo 4/4、ホ短調、ロンド形式。 前楽章までとは打って変わって、短調による活発な楽章。 この楽章ではたびたびチェロが伴奏にまわり、また掛け合いも多く、まさに二重ソナタの趣が強い。 ピアノにはいかにもアルカンらしい幅広い跳躍と細かな連符が、チェロにはオプションながら左手のピッツィカートが要求されている部分もあり、この楽章を難曲たらしめている。最後は短調のまま悲劇的に終結する。
編曲
[編集]Casimir Neyによって、ヴィオラとピアノのためのソナタに編曲されている。1860年の出版。 また、第4楽章のみ、作曲者によりピアノ二重奏に編曲されている。