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漢服復興運動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

漢服復興運動(かんふくふっこううんどう)とは、漢民族が400年前に着ていたとされる漢服を公共の場で着用して広めようとする21世紀に始まった中国大陸における文化運動である[1]

概要

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17世紀初頭、満州族が建国した清朝では、漢族は頭髪・衣服を満州族式(辮髪や旗装など)に改めることを強制(剃髪易服)され、清朝が崩壊すると復古運動に基づく漢服文化が広がり、土台そのものはできたものの、内戦戦争文化大革命による人民服の強制、改革開放での洋服の流行などの諸事情により、20世紀は比較的大きな運動が起きることはなかった[2]2000年代になり、中国の高度経済成長に伴う漢族のナショナリズムの高揚の後押しもあり[3]、特に2001年当時の江沢民総書記国家主席)が上海APECで披露した唐装英語版の影響を受けて漢服の復興は2003年から一部で提唱されるようになった[4][5]

背景

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1644年に、清朝が明朝に代わって大陸を支配するようになり、剃髪易服を実行。清朝末期に中国における革命運動を進めていた孫文は、「駆除韃虜、恢復中華」(満州族を駆逐し、漢民族による国家を取り戻す)というスローガンを掲げて辛亥革命を進めた。この革命によって清朝が崩壊すると、「駆除韃虜」は「五族共和」という民族共生スローガンに代わり、「恢復中華」は、20世紀になると、時代遅れとされ、政治体制においては既に西洋的国家体制に取って代わられた。漢族の服装文化は、清朝が支配した1644年から1911年の長い期間において実質的に破壊され、清朝が崩壊したといえども漢服が再び定着することはなかった。中華民国成立後、漢族の間で主流となった服装は、男子は洋服、女子は満州族の旗裝を改良した旗袍(いわゆるチャイナドレス)であり、中華人民共和国政府成立後には、人民服が巷間にあふれた。

ヨーロッパの研究者は「清では、役人の他に漢族の平民は明の服を着せられたが、晩清まで大勢の漢人は自ら志願して満洲の服を着た」と発言している。清朝の子供や僧侶道士や婦女も明の服を着せられた。また、剃髪易服を実行するのが難しいことから、清の間にも大勢の人が明の服を着たことがあり、康熙年間も江南の人は明の服を着ることが多かったという。辛亥革命の間、ある地域は明の服を保存していた[6][7][8]

2003年12月、鄭州市の電力労働者王楽天は初めて漢服を着て、市街に出たのを皮切りに、漢服復興運動は中国各地で発足する[9]。漢服運動の参加者が増え、組織化されていた。サークル、漢服復興の参加者を「同袍」と呼び始めた、マスコミが漢服愛好者、漢服ファンと呼んだこともあるが、最終的には、「同袍」という呼び方が認められた[10]。漢服の認知度を高めるために、それぞれの人たちが自分の方式でやっている。漢服を着て旅行したり、漢服を着る伝統文化の学校が創立されたりしていることも多い[11]

2005年、中国最初の漢服ネット販売店が開いた[12]。2006年、歌手の孫異は四川省成都市で最初の漢服を販売する実店舗「重回漢唐」を開店した[13]

2007年3月、中国人民政治協商会議委員の葉宏明と全国人民代表大会代表の劉明華が漢服の復興を提案して初めて公的な場(両会)で議論された[14][15]

2013年、中国の作詞家方文山浙江省嘉興市嘉善県西塘鎮で漢服文化ウイークを起こす、その後毎年開催されている、参加者数は10万人を超えたとされる[10]。また、古風音楽のコンサートでは漢服を着る歌手も多いとされる[16]

脚注

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  1. ^ Kevin Carrico, "The Great Han Race, Nationalism, and Tradition in China Today", UC Press, 2017, ISBN 9780520295506
  2. ^ Chew, Matthew Ming-tak (January 2010). “Fashion and society in China in the 2000s: New developments and sociocultural complexities”. ResearchGate. ResearchGate. 2019年10月22日閲覧。
  3. ^ Leibold, James (September 2010). "More Than a Category: Han Supremacism on the Chinese Internet". The China Quarterly. 203: 539–559.
  4. ^ Carrico, Kevin (29 Aug 2017), "Young People in China Have Started a Fashion Movement Built around Nationalism and Racial Purity", Quartz, New York: Atlantic Media
  5. ^ Wong, Stephen (26 Aug 2006), "Han Follow Suit in Cultural Renaissance", Asia Times, Hong Kong: Asia Times Online.
  6. ^ 魏千志《明清史概論》,中國社會科學出版社,1998年,第358-360頁
  7. ^ Twitchett, Denis; Fairbank, John K. (2008) Cambridge History of China Volume 9 Part 1 The Ch'ing Empire to 1800, p87-88: "History The term "hanfu" means "dress of the Han people."... '(during Qing dynasty) Han resistance was so severe that the policies were modified. Men, government officials, Confucian scholars, and prostitutes wore the Manchu style; women, errand boys, children, monks, and Taoists were free to wear Han styles. '"
  8. ^ Edward J. M. Rhoads (2000). Manchus and Han: Ethnic Relations and Political Power in Late Qing and Early Republican China, 1861–1928. University of Washington Press. pp. 60–. ISBN 978-0-295-98040-9. https://books.google.com/books?id=QiM2pF5PDR8C&pg=PA60#v=onepage&q&f=false. ""However, the dress code was required only of the scholar-official elite and not of the entire male population. Therefore, the great majority of Han men were free to continue to dress as they had during the Ming."" 
  9. ^ 中式服装今安在:“漢服熱”背後的身份焦慮” (中国語) (2006年11月14日). 2018年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年6月12日閲覧。
  10. ^ a b http://www.peoplechina.com.cn/whgg/202102/t20210218_800235997.html Z世代で広がる漢服ブーム, 人民中国日本語版
  11. ^ 「帶著漢服去旅行」 陸女惹怒泰白龍寺”. 2016年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年5月4日閲覧。
  12. ^ Wang, Xinyi; Colbert, François; Legoux, Renaud (2020). “From Niche Interest to Fashion Trend: Hanfu Clothing as a Rising Industry in China”. International Journal of Arts Management 23 (1): 79-89. https://search.proquest.com/openview/94841c5430526c8b27950e1e941835fe/1?pq-origsite=gscholar&cbl=26212. 
  13. ^ “From public servant to singer to man of the cloth” (英語). 中国日報. http://www.chinadaily.com.cn/a/201803/03/WS5a99f84aa3106e7dcc13f494.html 2018年3月3日閲覧。 
  14. ^ “《政協委員提議確立漢服為国服》”. 新浪. (2007年3月11日). http://news.sina.com.cn/c/2007-03-11/105012486706.shtml 2018年3月17日閲覧。 
  15. ^ “人大代表建議碩士博士学位服采用漢服”. 重慶商報. (2007年3月8日). http://news.sina.com.cn/c/2007-03-11/105012486706.shtml 2018年3月17日閲覧。 
  16. ^ 古風音楽唱響人民大会堂_視頻中国” (中国語). www.china.com.cn. 2021年12月12日閲覧。