火力戦闘指揮統制システム
火力戦闘指揮統制システム(かりょくせんとうしきとうせいしすてむ、英: Firing Command and Control System、略語FCCS(フックス))は、陸上自衛隊の装備。方面隊・師団・旅団・大隊の特科部隊や即応機動連隊に配備される。各種センサーの情報を集約し、対地・対艦に対する射撃・戦闘に必要な情報を迅速・正確に処理伝達するための指揮・統制を行うシステム。
2006年(平成18年)度から2009年(平成21年)度にかけて試作を実施、2008年(平成20年)度から2010年(平成22年)度の間に試験を実施、2011年(平成23年)度に初めて予算が計上された。製作は東芝。
概要
[編集]従来の火力戦闘指揮装置はC2システムとして野戦特科射撃指揮装置(FADAC)、およびこれに連接されたC4Iシステムとして野戦特科情報処理システム(FADS)が配備されている。しかしこれらのシステムは迅速・正確な情報処理・伝達に制約があり、情報の授受・確認に時間を要する上、他の指揮統制システムとの連接が不十分であった。このため多種多様な事態への一元的な火力戦闘を行い、迅速・的確な火力戦闘指揮を実現するため本システムが開発された。
FCCSは地上監視レーダー(地上レーダ装置1号改 JTPS-P23や地上レーダ装置2号改 JPPS-P24等)や、対砲迫レーダー(対砲レーダ装置 JTPS-P16等)、各種(電波・光学)監視装置、目視等、また他の陸上自衛隊のC4Iシステムと連接して、得た情報の分析・処理を自動で行い、必要とされる各火砲(榴弾砲・自走砲・迫撃砲等)や誘導弾を選定した後に射撃データを伝達する。なおUAVが習得したデータをFCCSを含む陸上自衛隊のC4Iシステムと連接する調査も行われている[1]。
なお陸自以外との連接は、海上自衛隊とはFCCSと海上自衛隊指揮統制システムの連接が、地対艦ミサイル連隊と海自・空自とのリンク機能に関する研究と並行して行われた[2]。また航空自衛隊とは自衛隊デジタル通信システムを搭載したF-2の対地攻撃を支援する地上のデータリンク端末である指揮統制用のJDC地上システム及び前線航空管制用のJDC地上システムが、FCCSとの連接で航空部隊とのより密接な連携が可能となる[3]。
FCCSの運用例としては、2016年(平成28年)の西部方面隊実動演習である「鎮西FTX」において、FCCSの統制下で5個地対艦ミサイル連隊とMLRSを用いた対艦攻撃訓練が行われた[4]。
構成
[編集]方面隊システム、師団(旅団)用システム、大隊用システムがあり、野戦移動可能なのは後者の2つになる。
- 指揮所等装置
- 車両装置
- 携行装置
- 砲班装置
- 各種連接装置
脚注
[編集]- ^ 画像処理技術の連接装置への適用に係る調査
- ^ 我が国と防衛と予算 平成26年度予算の概要
- ^ 我が国の防衛と予算 平成27年度予算の概要
- ^ 湯布院駐屯地広報誌「由布院」第60号