灯台守 (唱歌)
『灯台守』(とうだいもり)は、日本の唱歌。文部省唱歌。作詞:勝承夫、作曲者は不詳。拍子は6/8拍子である。
本項では、「灯台守」とメロディが同じ他の曲についても述べる。
原曲
[編集]原曲は一般的に「イギリス曲」「イギリス民謡」とされるが、典拠は不明である[1]。
一橋大学教授(後に名誉教授)の櫻井雅人は、ほぼ同じメロディの曲が、1881年にニューヨークで出版された『フランクリン・スクウェア・ソング・コレクション第1集』(Franklin Square Song Collection, No.1)に「The Golden Rule」として収録されていることを突き止めた。同書は作詞・作曲者はともに不明と記している。同書は初出の作品を集めた歌集ではないため他の歌集からの転載と推測されるが、それ以上のことは不明である[1]。
アメリカ合衆国の讃美歌「天なる神には」と「ほぼ同曲」とする文献もあるが、櫻井雅人によると全く違う曲である[1]。
各国における浸透
[編集]アメリカ合衆国・イギリス
[編集]櫻井雅人によると、21世紀初頭現在、原曲とされる「The Golden Rule」は、アメリカ合衆国やイギリスでは全く知られていないという[1]。
日本
[編集]1889年(明治22年)に出版された『明治唱歌第三集』に、大和田建樹の作詞による「旅泊」として掲載された[1]。
続いて1906年(明治39年)に出版された『高等小学唱歌(一ノ下)』に、佐佐木信綱の作詞による「助船」として掲載された[1]。
そして1947年(昭和22年)、文部省発行の教科書『五年生の音楽』に、勝承夫の作詞による「とうだいもり」(灯台守)として掲載された[2]。
「旅泊」「助船」「灯台守」のいずれも歌詞はそれぞれ2番までである。
韓国
[編集]韓国では、勝承夫の「灯台守」にほぼ忠実な(「北の海に」の部分を変更)訳詞が知られている。しかし、一般的には高銀の作詞(訳詞ではなく)として認知されており、小学校の音楽教科書にも高銀の作詞として掲載されていたことがある[3]。
みんなのうた
[編集]みんなのうた 灯台守 | |
---|---|
歌手 | 杉並児童合唱団 |
作詞者 | 勝承夫 |
作曲者 | 文部省唱歌 |
編曲者 |
岡本敏明 小野崎孝輔 |
映像 | 実写 |
初放送月 | 1980年12月 - 1981年1月 |
1980年(昭和55年)12月には、NHKの「みんなのうた」で放送された。編曲:岡本敏明、小野崎孝輔、歌:杉並児童合唱団。
映像は、石川県輪島市舳倉島の灯台を中心に、船や島民のを映した実写であった。
再放送はされていなかったが、2011年からの「みんなのうた発掘プロジェクト」で映像が提供され、2012年3月26日深夜放送の『みんなのうた発掘スペシャル』で32年ぶりの再放送となった。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f 櫻井雅人「『旅泊』その他 : 外国曲からの唱歌四曲」『一橋論叢』134巻3号、日本評論社、2005年、319-333頁。
- ^ 池田小百合 なっとく童謡・唱歌 戦後・昭和22年の童謡唱歌 とうだいもり - 2021年10月3日閲覧。
- ^ [문화 컬럼] '등대지기'가 어째서 고은의 시인가? 일본 창가가사 번역, 교과서, 관공서 벽에 버젓이 붙여놓았다、BSニュース、2018.03.11 01:20。(インターネットアーカイブのキャッシュ、韓国語)