炭化タンタル
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Tantalum carbide | |
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別称 tantalum (IV) carbide | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 12070-06-3 |
特性 | |
化学式 | TaC |
モル質量 | 192.959 g/mol |
外観 | 黒色-灰色の粉末 |
密度 | 13.9 g/cm3, 固体 |
融点 |
3880 ℃ |
沸点 |
5500 ℃ |
水への溶解度 | 不溶 |
構造 | |
結晶構造 | 立方晶, cF8 |
空間群 | Fm3m, No. 225 |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
−146.4 kJ mol−1[1] |
標準モルエントロピー S |
42.30 J mol−1K−1 |
標準定圧モル比熱, Cp |
36.78 J mol−1K−1 |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | MSDS |
EU分類 | not listed |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
炭化タンタル(たんかタンタル、tantalum carbide)とは、組成式が TaC と表されるタンタルの炭化物。 非常に硬度が高い(モース硬度 9-10)耐火性のセラミック材料で、切削工具の部品として市販品にも用いられている。炭化タンタルの硬度を超える物質はほぼダイヤモンドに限られる[2]。比重の大きい褐色の粉末で、焼結により取り扱われサーメットの材料となる。 炭化タングステンへ微結晶が添加されることもある。炭化タンタルは二種類の元素が化学量論的に化合した物質について知られている中では最も高い融点 (3880 ℃) を持つ[3]。準化学量論的にタンタルを過剰に含む TaC0.89 はより高い融点を示す (4000 ℃)[4]。
化学的には安定していて、水、希酸および希アルカリには不溶であるが硫酸およびフッ化水素とは幾分反応する。固体は電気伝導性を示し、臨界温度9.3 K以下では超伝導を示す[5]。
鋳型のコーティングに用いた場合、表面の摩擦力を弱める。粉末は可燃性である。
複合材料
[編集]ロスアラモス国立研究所により開発された炭化タンタルとグラファイトから作られる複合材料は、これまで人工的に合成された材料の中で最も硬度が高い物質のひとつである。
脚注
[編集]- ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
- ^ J. Emsley, Nature's Building Blocks An A-Z guide to the elements, Oxford Univ Press, 2003, pp.421. ISBN 0-19-850340-7
- ^ CRC Handbook of Chemistry and Physics, 85th Edition, 2004. ISBN 0-8493-0485-7
- ^ P. J. van der Put, The Inorganic Chemistry of Materials: How to Make Things Out Of Elements, Plenum Publishing, 1998, pp.129. ISBN 0306457318
- ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年