煙石博
えんせき ひろし 煙石 博 | |
---|---|
プロフィール | |
出身地 | 日本 広島県広島市 |
生年月日 | 1946年11月2日(78歳) |
最終学歴 | 広島商科大学短期大学部 |
活動期間 | 1971年 - 2007年 |
ジャンル | ラジオ番組 |
出演番組・活動 | |
出演経歴 | なんでもジョッキーなど |
備考 元中国放送アナウンサー |
煙石 博(えんせき ひろし、1946年11月2日[1] - )は、日本のアナウンサー、ラジオパーソナリティ。元中国放送アナウンサー。
人物
[編集]広島県広島市出身[1]。広島県立広島国泰寺高等学校1年生の時に広島県放送劇コンクールで助演賞受賞[2]、高校2年生の夏休みに開催された高校放送コンクール全国大会に、広島県代表として参加して4位入賞[2][3]。その後は、広島商科大学短期大学部卒業[1]。1971年(昭和46年)中国放送へ入社[4][5][注釈 1]。広島弁での語り口は多くのラジオリスナーの心を掴んだ。入社早々の1972年(昭和47年)から担当した『ヤングポップス』では「仏のえんちゃん」と呼ばれた[6]。また、「えんちゃん」の愛称でも親しまれた。
1985年頃放送された『世の中土曜日うきうきワイド』を担当するまでは主に1人でのトーク番組を担当[7]。その後、同局で28年間にわたり放送されたラジオ番組『なんでもジョッキー』では、1985年(昭和60年)から2003年(平成15年)まで18年にわたりパーソナリティーを務めた。在職中にCM部門でアノンシスト賞を受賞している[1]。1996年(平成8年)当時は、ラジオセンター専任部長を務めていた[5]。
現役当時は人気があるアナウンサーで、1990年(平成2年)に行われたローカル誌の在広アナウンサー人気投票では第6位に選ばれている[8][注釈 2]。
俳句と作詞を趣味にしており、日本作詩家協会の会員[1]でもある。
『月刊レジャー広島』[注釈 3]に連載された覆面執筆者がんす頑次郎に間違えられていたが、2002年12月8日にがんす頑次郎サイン会が『月刊レジャー広島』廃刊に伴う最後の「チャリティーがらくた市」にて行われ、午後の番組の中継リポートに来ていたRCCラジオのリポーターにより、頑次郎の正体は社長の久村敬夫[10]であることが明らかにされた[11]。また、毎日新聞が2016年2月に、がんす頑次郎の筆者久村敬夫に取材している[12]。
2003年(平成15年)には、広島県人権啓発活動ネットワーク協議会にメッセージを寄せている[13]。また、同年に期間限定で広島電鉄路面電車の車内アナウンステープの収録を広島弁で行った。
2007年(平成19年)3月31日、35年6か月間勤務した中国放送を定年退職。最後に担当した番組は、定年の日に放送された『土曜はドドーンと満員御礼』であった[14]。煙石と同様に、定年まで中国放送に勤務した、上野隆紘、世良洋子、山原玲子のように、定年後に中国放送のレギュラー番組を持っていないが、後述の事件まで地元・広島市周辺でのイベントへのゲスト出演や講演活動などで、公の場に出ることがあった。
2018年5月9日放送のTBSテレビ『1番だけが知っている』で、弁護士の北村晴男が魂が震えたと述べた、99.9%逆転不可能と思われた煙石自身が関わった冤罪事件が紹介され、煙石がVTR出演した。
冤罪事件
[編集]煙石博窃盗冤罪事件 | |
---|---|
場所 | 日本・広島県広島市南区 |
日付 |
2012年9月24日 午前9時20分頃 (日本標準時) |
概要 | 広島市南区の銀行で、女性会社員が置き忘れた封筒入りの現金6万6千円が盗まれた。監視カメラの映像から煙石博を犯人と誤認し、逮捕・起訴。 |
被害者 | 冤罪:煙石博 |
犯人 | 不明 |
動機 | 不明 |
対処 | 煙石を逮捕・起訴(いずれも誤認) |
刑事訴訟 |
2013年11月27日、執行猶予付きの有罪判決(広島地方裁判所) 2014年12月11日、控訴棄却(広島高等裁判所) 2017年3月10日、一審・二審を破棄し、無罪判決(最高裁判所) |
管轄 | 広島県警察本部広島南警察署 |
2012年(平成24年)10月11日、同年9月24日午前9時20分頃、広島市南区内の銀行支店で、記帳台に女性会社員が置き忘れた6万6600円入りの封筒を盗んだ疑いにより、広島県警察本部広島南警察署に逮捕された[15]。同年11月1日起訴[16]。警察の取調べに対しては容疑を否認していた[16]。
2013年(平成25年)11月27日、広島地方裁判所は、「客観的なビデオカメラの映像から、被告人以外の者が犯人とはいえない」「被告人の供述は信用できない」として、窃盗罪が成立するとし、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。即日控訴[16]。
2014年(平成26年)12月11日、広島高等裁判所(刑事第一部高麗邦彦裁判長)は控訴棄却の判決を言い渡した。即日上告[16]。
2016年(平成28年)12月15日、最高裁判所で弁論を開くことを決定[17]。最高裁では事実認定を行うことは稀であり、最高裁で弁論を開くことは異例であった[17]。
2017年(平成29年)2月17日、最高裁で弁論が行われ、最高検察庁は棄却を求めた[16][18]。同年3月10日、上告審判決で、最高裁判所第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は、下級審に審議を差し戻さず、一・二審判決を破棄し、無罪の自判を言い渡した[19][20][21]。担当した4人の裁判官のうち3人が無罪を支持した[21]。
この事件は一審の段階から、冤罪に特化した雑誌では冤罪の疑いが指摘されており[22][23]、友人らが設立した支援組織が署名活動を行い、最高裁判決までに9,500筆を超える署名を集めた[24]。
その後は真犯人を特定できないまま、2019年に公訴時効成立となった。
担当番組
[編集]ラジオ
[編集]- ヤングポップス(1970年 - 1978年)[6] - 毎週金曜深夜に放送された若者向けラジオ番組[6]
- おはようラジオ[13](1973年頃) - 朝ワイド番組。放送開始当初に担当していた。
- 世の中土曜日うきうきワイド(1985年頃)[7] - 土曜14時から15時55分まで放送された番組[7]。
- なんでもジョッキー(1985年 - 2003年) - 平日昼のワイド番組。時期により曜日、放送時間、パートナーが変わっている。
- 煙ちゃんしおりのなんでもジョッキー(1995年4月 - 1997年3月) - 月・火・水曜13時30分 - 15時55分
- 三菱ダイヤモンドハイウェイ
- 企画ネット番組。番組テーマはニッポン放送版と同じく、トランプスの「トランプス・ディスコのテーマ」を使用。
- トラッドでいこう( - 2007年3月) - 日曜17時から17時30分まで放送された番組。山陽放送および静岡放送でも放送された[25]。
- 土曜はドドーンと満員御礼(2003年4月 - 2007年3月)[14] - 土曜13時から15時まで放送された番組[14]。
書籍
[編集]- 『がんす頑次郎』(広島映画手帖社、がんす頑次郎、1996年)
- 煙石博による特別寄稿文「使おうやあ広島弁・・・」を収録[26]。
作詞
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e RCCアナ本 2004, p. 185.
- ^ a b 『DJ名鑑 1987』三才ブックス、1987年2月15日、258頁。
- ^ がんす頑次郎 1996, pp. 218–219.
- ^ がんす頑次郎 1996, p. 219.
- ^ a b がんす頑次郎 1996, p. 221.
- ^ a b c RCCアナ本 2004, p. 184.
- ^ a b c RCCアナ本 2004, p. 106.
- ^ a b c 『月刊レジャー広島』1990年2月号、17-20頁。
- ^ ヒロシママガジン 2003, p. 115.
- ^ 『月刊レジャー広島』発行の広島映画手帖社の社長。
- ^ ヒロシママガジン 2003, pp. 168–169.
- ^ “記者16年目の無条件降伏 第3部 広島を愛して/16 45年も続いた“がんす”/広島(毎日新聞2016年2月11日 地方版)”. 毎日新聞 (2016年2月11日). 2019年1月10日閲覧。
- ^ a b “煙石 博さん(中国放送アナウンサー)”. 広島県人権啓発活動ネットワーク協議会 (2013年3月) 2018年5月19日閲覧。
- ^ a b c 土曜はドドーンと満員御礼(Internet Archiveより) - 中国放送
- ^ “中国放送元アナ 置き引きで逮捕”. デイリースポーツ (2012年10月12日) 2012年10月12日閲覧
- ^ a b c d e 「「荷物やっと降ろせる」 煙石さん 友人ら署名9564筆」、『中国新聞』2017年3月11日号、31面。
- ^ a b “「銀行で窃盗」無罪か=広島の男性、2月弁論-最高裁”. 時事通信 (2016年12月15日). [リンク切れ]。
- ^ “元アナ弁護側、最高裁で窃盗無罪主張 有罪見直されるか”. 朝日新聞 (2017年2月27日). [リンク切れ]。“NewsPick”. 2018年5月19日閲覧。
- ^ “窃盗罪問われた元中国放送アナに逆転無罪判決 最高裁 - 朝日新聞 (2017年3月10日) [リンク切れ]。“NewsPick”. 2018年5月19日閲覧。
- ^ “窃盗罪に問われた元アナウンサーに無罪 最高裁「重大な事実誤認」”. 産経ニュース (2017年3月10日) 2018年5月19日閲覧。
- ^ a b 「煙石さん逆転無罪 最高裁判決 「重大な事実誤認」」、『中国新聞』2017年3月11日号、33面
- ^ 「「事件」無き冤罪! 広島元アナウンサー「銀行置き引き」事件!」、『冤罪File No.21』希の樹出版、2014年7月。
- ^ 「大いなる疑問! そもそも封筒にお金は入っていたのか? 広島元アナウンサー銀行置き引き事件「続報」」、『冤罪File No.22』希の樹出版、2015年3月。
- ^ “窃盗罪の元アナウンサーに逆転無罪判決 「重い荷物、やっとおろした」 無罪の煙石博さん”. 産経ニュース (2017年3月10日) 2018年5月19日閲覧。
- ^ a b c d RCCアナウンサーROOM 〜煙石博〜(Internet Archiveより) - 中国放送
- ^ ヒロシママガジン 2003, pp. 140–145.
- ^ 作品データベース検索サービスにて確認
参考文献
[編集]- 『RCCアナ本。 アナウンサー24人によるエッセイBOOK!』ザメディアジョン、2004年。ISBN 4-902024-15-2。
- 久村敬夫『ヒロシママガジン―「映画手帖」「月刊レジャー広島」日本最長寿タウン誌の軌跡』ザメディアジョン、2003年。ISBN 978-4902024081。
- がんす頑次郎『がんす頑次郎』広島映画手帖社、1996年。全国書誌番号:98084269。