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燕京伶人抄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

燕京伶人抄』(ペキンれいじんしょう、中国語読み:エンチンリンレンチャオ)は、皇なつきによる日本漫画作品。1997年、あすかコミックスDX 角川書店

概要

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1920年代燕京(ペキン)を舞台にした、全8作の短編集。

前半は京劇を中心に話が進む。これは、作者が当時『さらば我が愛-覇王別姫-』に影響を受けたことによる[1]

登場人物

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楊 洛仙(ヤン ルオシェン)
人気の旦角(女形)。漫画・初版のメインとなるキーキャラクター。
馮 如海(フォン ルウハイ)
昔から京劇が好きで、自分が書いた戯曲が舞台で演じられることが夢だったが、夢を諦め、真面目な銀行員として暮らしていた。如山がきっかけで洛仙と出会い、芝居への情熱を取り戻す。漫画・初版と[弐]版に登場する。
馮 如山(フォン ルウシャン)
如海の年の離れた弟。大の芝居好きだが、これ以上うつつを抜かされては困ると、祖父から観劇を禁じられている。役者を目指し、家出する。
蓮湘(リェンシァン)
洛仙と同じ劇団の役者。女性。男女共演が禁じられている中、男の振りをして舞台に立っている。
陳(チェン)
馮家の使用人。
鳳霞(フォンシャ)
如海の妻。お互いの顔も知らぬまま結婚した。毎晩帰りの遅い夫を起きて待つ。どんなに愛しても愛してくれない夫に寂しさを募らせる。
采蘋(ツァイピン)
如海の妹。「女子無才便是徳(女はばかな方がいい)」という考えを持つ祖父に反発する。漫画・初版から登場し、[弐]版「暁の聲」以外のメインとなるキーキャラクター。
綉文(シウウェン)
芝居好きの少女。親が決めた結婚のために女学校を辞めさせられる。
敏鴻(ミンホン)
綉文の親友。采蘋とも友人。漫画・初版と[弐]版に登場する。
小 翠環(シァオ ツイファン)
洛仙の一座に新たにやって来た少年。兄であり師父と慕う者に芝居の手ほどきを受けている。
曹 玉芳(ツァオ ユイファン)
かつて洛仙と張り合い、人気を二分していた役者。
韓 雁(ハン イェン)
采蘋の婚約者。采蘋がまだ母親のお腹の中にいた頃に、父親同士が「この子が女の子だったら結婚相手に」と決めた。
如英(ルウイン)
如海の弟、采蘋の兄。漫画・初版と[弐]版に登場する。
晋華(チンホワ)
敏鴻や采蘋の友人。汪(ワン)将軍に見初められ、父親より年上の汪に妾として嫁がされる。
汪太太(ワンタイタイ)/毓貞(ユイチェン)
汪将軍の正妻。夫が妾を欲しがれば、自らいい女を探して来たり、大勢いる妾たちにも優しく接し、貞女の鑑だと噂される。亡くなった第二夫人の亡霊に悩まされる。
阿環(アファン)/春生(チュンション)
敏鴻の姪。義母・文絶に無視されている。
培源(ペイユァン)
敏鴻の兄。文絶という親が決めた妻がいたが、宜萱と結婚した。しかし、仕事もろくに見つからず、結局宜萱に一言もないまま実家に戻り、文絶と復縁した。
宜萱(イーシュアン)
若い頃、留学先の日本で培源と知り合い、親の反対を押し切り、結婚、阿環をもうける。培源に置いていかれた後も、阿環と慎ましやかに暮らしていたが、やがて阿環も培源に引き取られた。
文絶(ウェンチェ)
培源の妻。培源が宜萱を選び、離縁を申し入れたが、親が断固として受け入れず、そのまま妻として彼の家で待っていた。培源が帰ってきてからは4人の子をもうける。
十三爺(シーサンイエ)
北京の富豪。彼に逆らえば、北京ではまともに生きていけないと言われるほどの権力者。漫画・初版と[弐]版に、名前のみで登場する。
丹娘(タンニャン)
父親は暗殺された軍閥将軍、母親はロシア人。かつて汪将軍の妾だった。劇団を首になり、お金に困り、ある学校のヌードモデルを引き受ける。
翡翡(フェイフェイ)
丹娘の同居人。汪将軍の遺児。お嬢様育ちで、金がないのに金のかかることを好む。
周 友善(チョウ ヨウシャン)
学生。丹娘のことを好きになる。

各話あらすじ

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鳳凰乱舞(ほうおうらんぶ)
大の芝居好きの如山は、いつか自分も役者になりたいと願っていた。しかし、名家の出である如山にそれは許されなかった。(※ 役者はこの時代、乞食同然の身分だった)
愁雨歳月(しゅううさいげつ)
17歳で嫁いで以来、夫・如海に愛されたいと願い続けてきた鳳霞。夫は、忘れていた芝居への情熱を取り戻し、仕事を終えた後も熱心に脚本を書き、今にも体を壊しそうだった。やがて、全て旦角の洛仙のせいだと思い始める。
鏡花水月(きょうかすいげつ)
芝居好きの少女・綉文は、洛仙の大ファンだった。しかし、親に結婚相手を決められ、通っていた女学校も辞めさせられようとしていたある日、偶然洛仙と出会い、諦めきれない、と思い直すが……。
落下流水(らっかりゅうすい)
一座と新たに契約を結んだ少年・小翠環。彼と洛仙が共演する舞台は、いずれも大入りで大人気だった。初めてなのに、とても演じやすいと感じる洛仙。洛仙は過去の出来事を思い出す。
女兒情(じょじじょう)
亡き父が勝手に決めていた婚約の話。活発な少女・采蘋は、その話に憤り、親友の敏鴻の元へ家出する。翌日、兄から、婚約者が突然訪ねてきた、と告げられる。采蘋は、兄に協力してもらい、この話を断ろうとするが、楊(ヤン)と名乗り、別人として振る舞ううちに、次第に彼のことが気に入っていく。
雪晨(せっしん)
親友の晋華が妾として嫁がされることを知った采蘋。泣き悲しんでいた晋華だったが、その家の正妻に優しくされ、美しく着飾った幸せな生活を送っていた。その正妻は、妾を許し、夫のために自分で探してくるほどだと知った采蘋は、そんなのはおかしい、と考えを改めるよう日参するが……。
寶貝歌(ほうばいか)
今や、正妻の子になっている、実子・阿環を見にやって来た宜萱。事情を良く知らない義妹・敏鴻に、昔の話を聞かせる。
暁の聲(あかつきのこえ)
劇団を首になり、お金に困っていた丹娘はある学校の美術の授業でヌードモデルを引き受ける。丹娘の美しい肢体に夢中になる周友善。ある日、丹娘は周に「モデルをやめてほしい」と言われる。

脚注

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  1. ^ 文庫版あとがきより

書籍情報

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