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パルワールド

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パルワールド
ジャンル アクションアドベンチャーサバイバルクラフトオープンワールド
対応機種
開発元 ポケットペア
発売元 ポケットペア
プログラマー Hiroto Matsutani[1]
音楽 矢野達也
美術 Daiki Kizu[1]
人数 1人、最大4人(協力)、最大32人
発売日 2024年1月19日(早期アクセス)
エンジン Unreal Engine 5
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パルワールド』(英語: Palworld)は、日本のコンピュータゲームソフト制作会社ポケットペアによるオープンワールド・サバイバルクラフトゲーム。

ゲームの舞台であるパルパゴス島には「パル」と呼ばれる多種多様な生物が生息しており、プレイヤーはパルと戦って捕獲することで拠点を構築したり戦闘に利用したりする。1人でプレイすることもできるが、オンラインでの4人協力プレイや1つのサーバー上での32人プレイにも対応する[2]

発売から5日半で800万本以上を売り上げ、当時のSteamの同時接続者数が歴代2位の200万人超えを記録した[3]

ゲームプレイ

プレイヤーはカスタマイズ可能なキャラクターを三人称視点で操作し、「パルパゴス島」と呼ばれるオープンワールドの空間を探索して島の秘密を解き明かすことを目指す。プレイヤーは空腹ゲージを管理しながら、素材を集め、道具を作り、拠点を建設していく。プレイヤーのレベルが上がると技術ツリー内のより高度な道具や設備が解除される[4][5][6]

島には「パル」と呼ばれるモンスターが100種類以上生息している。プレイヤーはパルと直接戦闘して弱体化させた後、「パルスフィア」と呼ばれる道具でパルを捕獲する。パルにはそれぞれ特技や得意分野があり、プレイヤーは捕まえたパルを戦闘に利用したり、建築の手伝いをさせたり、解体して食材にしたりできる[4][6]。拠点のレベルが上がるにつれ同時に出せるパルの数が増えるので、プレイヤーはさまざまな作業をパルに手伝わせることで拠点を発展させていく[7]

パルパゴス島にはパルの密猟団、パル愛護団体、自警団、遺伝子研究部隊などのさまざまな勢力が存在し、島に点在する塔にはそれぞれの勢力のパルトレーナーがボスとして登場する[8]。ゲーム世界には独自の法律があり、プレイヤーがNPCを攻撃するなどの行動をとると『Grand Theft Auto』シリーズに似た指名手配システムが発動する。プレイヤーは犯罪者として扱われ、自警団が出現してプレイヤーを攻撃する[9][10]

開発

開発は2020年9月に発売した『クラフトピア』の早期アクセス配信が始まってから約半年後に始まった。初期の開発チームは新規採用した4名ほどの社員で構成されており、クラフトピアとは別に作っていた。開発チームは2年後には30人ほどに増え、アート系の人員を加えていったため最終的に40人以上の規模になった[11]

発売後の2024年2月1日以降、マイクロソフトの技術支援を受け、サーバーの構築やグラフィックスとメモリの最適化を行なった[12]

2024年9月25日には、ソニー側が後述の特許権に関する裁判の影響を回避するため、日本リージョンを除き、一部の国でPlayStation5版が発売される[13]PlayStation4版は最適化の都合からか発売されていない。

公開

2021年6月5日、INDIE Live Expo 2021で発表された[14]。公開されたゲームプレイ映像では、パルを使って移動、戦闘、建築、工業自動化を行なったり、パルの繁殖をしたりできることが示され、この時点での発売は2022年とされていた[15][16]。その後東京ゲームショウ 2022 Xbox Streamにて、Xbox Series S/XとXbox One向けにも発売されることを明らかにした[17]。2023年6月のSummer Game Festで2024年1月に早期アクセスが開始されることを発表した[18]

2024年1月19日にXbox Series X/SXbox One、PC(Microsoft StoreSteam)向けに早期アクセス版を発売した。また、Xbox Game PassXbox Cloud Gamingにも対応している[19][20]

3月13日、ポケットペア社長の溝部拓郎はブルームバーグとのインタビューにおいて、「究極的には多くのプレーヤーに遊んでもらいたい」と語り、XboxやPC以外のプラットフォームでの展開も検討していることを明らかにした[21]

6月12日、同年内中にMacintosh版をリリースすることを発表した[22]

6月27日、マイクロソフトはAmazon.comとの協業により、本ゲームを含むXbox Game Pass Ultimateの一部ゲームを同年7月からFire TV Stick 4Kでも利用可能になることを発表した[23][24]

アップデート

ゲームはユーザーの声に合わせて定期的にアップデートが実施されており、不具合の修正から新たなパルを追加する大型アップデートも実施している。

2024年2月24日、数多くの不具合やバランス調整をおこなったアップデートが行われた。また、それまでゾーイなどの塔のボスを捕獲することのできる裏技が流行していたが修正され、公式曰く「バグが意図せず直ってしまいました。うっかりバグを修正してしまい、大変申し訳ございません。」と異例の謝罪を行った。[25]

4月4日、拠点のパルと協力してボスに挑む「レイド」が追加された。またレイドボスとして新パルも追加された他、アイテムや新たな建造物も多数追加された。[26]

6月27日、初の超大型アップデートとして「桜島アップデート」が実施された。新マップ・桜島に新たな敵、数多くの新パルと建造物が追加された。[27]

登場キャラクター

パルテイマー

主人公

パルパゴス島に流れ着いた漂流者。古代端末を所持しており、パルを捕獲するパルテイマーとしての才能を開花させる。古代端末を操作し、パルを捕獲するスフィアや武器の製作、捕獲したパルと協力して拠点や畑の建設などをして島内での生活を豊かにしていく。

島内のパルテイマー

パルパゴス島にて生活するパルテイマーたち。『駆け出しのパルテイマー』『ベテランパルテイマー』『冷酷なパルテイマー』など数多く存在し、ランダムで出現する。話しかけるとそれぞれ相棒のパル1体と武器を出し力試しを行うことができる。

塔のボス

ゾーイ・レイン

レイン密漁団幹部。相棒はエレパンダ。黒とピンクのツインテール、腰につけたエレパンダのぬいぐるみが特徴の若い女性。『レイン密漁団の塔』を守るボスの1人として登場する。
手記によると、若くして両親を亡くしており、父親が密漁団の幹部だったことから組織内で祭り上げられているだけでゾーイ自身は部下や組織のことを信頼していない。幼少期に、捕らえられ寂しそうな顔をしていたエレパンダを勝手に逃がし、共に組織から逃れようとしたが、見つかってしまい揃って檻に閉じ込められそうになる。その際、エレパンダがゾーイのことを身を挺して守ったことで2人の絆が深まった。
『塔』を守ることは父親から受け継いだもので、なぜ塔を守っているのか、なぜ守る必要があるのかと疑問に感じている。

リリィ・エバハート

パル愛護団体創始者。相棒はリリクイン。緑がかった白髪と古代の力が宿る『リリィの槍』を所持している若い女性。『パル愛護団体の塔』を守るボスの1人として登場する。
手記によると、パルのことを崇高な存在として敬っており、リリクインに対して「様」と敬称をつけて接している反面、人間のことは野蛮な生き物として酷く見下している。そのため、スフィアのことを「パルを服従させる文明の汚点」と断言している。リリクインとの出会いは、野生のパルを乱獲していた密漁団の構成員たちを槍で殺害し、戦いの傷をリリクインに癒してもらったことが始まり。
上記のとおり、パルに対しては温厚だが人間に対しては残酷かつ非道な性格をしており、禁漁区の警備員に対して侵入者は問答無用で殺害するように指示している。

アクセル・トラバーズ

永炎の同志ソウルリーダー。相棒はボルゼクス。細身で引き締まった体格の青年。『永炎の同志の塔』を守るボスの1人として登場する。
手記によると、退屈な毎日を過ごしており、海の向こうにいると思われる強者へ戦いを挑みたいという闘志を燃やしている。また、手記の内容は韻を踏んでおり、ラッパーのようなノリの軽い性格をしているがなぜカルト教団を率いているのかは不明であるが、サヤの手記によるとあるタイミングで教団のリーダーがアクセルに変わったとのこと。

マーカス・ドライデン

パルパゴス島自警団幹部。相棒はホルス。大柄な体格の中年男性。『自警団の塔』を守るボスの1人として登場する。
手記によると、違法薬物の取り締まりをしてその罰金を組織運営に充てているが、実際は薬物をマーカス自身が取り仕切っており、薬物を売りさばき購入者からさらに罰金を搾り取っている。このロンダリングを思いついた自身を天才だと評し、金ずるである薬物中毒者たちを「頭の出来が悪いのは罪」だと馬鹿にしている。

ヴィクター・アシュフォード

パル遺伝子研究部隊隊長。相棒はゼノグリフ。白と黒が混じった髪に両目をマスクのようなもので隠した年齢不詳の男性。『遺伝子研究部隊の塔』を守るボスの1人として登場する。
手記によると、ゼノグリフはヴィクターが様々な遺伝子を組み換え誕生させた新種のパルだとされている。パルの研究者をしているが、その研究は非人道極まりなく、パルを溶かして液体にし、1体のパルを大幅に強化させる『パル濃縮ポッド』を完成させた。また、ゼノグリフの完成までにいくつも失敗しそのたびに生まれたパルを廃棄処分にしていた。

サヤ・クロサキ

月花衆長。相棒はセレムーン。紫の髪と着物が特徴の若い女性。『月花衆の塔』を守るボスの1人として登場する。
手記によると、セレムーンと出会う前は塔を守り続けることに不満を感じており、毎晩の酒飲みも不味く退屈な日々を送っていた。永炎の同志と遺伝子研究部隊の争いを静観し、自身の領地が汚されることをただただ願っていた。しかし、「三日月の化身」ことセレムーンが彼女の前に現れてからは自身の道が照らされたように感じ、酒を旨く飲めるようになった。また、戦闘時にはセレムーンと乾杯している描写もある。

パルとパルパゴス島

パルパゴス島

島は平たんな草原から砂漠、火山、雪山、桜が生い茂る豊かな土地など様々な顔を見せる。そして、島のあちこちにパルが生息しており、人間が住む集落はごくわずか。教会など建造物もいくつかはあるがどれも破壊され残骸のみが残っている。木や石に鉄鉱石から原油まで様々な資源も充実している。

島に生息するパルたち

100種類以上のパルが生息しており、パルによっては食料や武器防具の素材に活用できるものもいれば、捕食者として襲い掛かってくるものもいる。また、ペコドンとパリピドンのようによく似た見た目ながら全くことなる性質をしているパルも存在するほか、通常のパルよりも希少かつ大型な「ボス」「アルファ」と呼ばれる個体も登場する。同じパルでも攻撃力・体力・防御力の値が違い、戦闘や拠点にて役に立つ、もしくは邪魔になる「パッシブスキル」という能力を0~4つ持っている。

ツッパニャン

漂流した主人公をのぞき込んでいたパルの1匹。堂々としているが実際は非常に憶病で、野生のツッパニャンは攻撃力が低下するパッシブスキル「ビビり」を確定で持っている。

クルリス

5歳から7歳児程度の知能がある。 サブマシンガンを持たせて攻撃させることが可能だが、武器の扱いを教わった個体が主人を殺害した記録がある。また、島には『クルリス像』というオブジェクトが各地に点在しており、集めると主人公のパル捕獲確立が上昇する。

ンダコアラ

非常に目つきが悪く友達は少ないが、心は優しいという。 群れからはぐれたパルにエサを分け与える姿が目撃されている。

クルットリ

爆発する卵を産む恐怖のパル。 普段は卵を尻から射出して武器にするが万策が尽きると自爆特攻をして攻撃してくる。

オコチョ

体を丸めて、凄まじい速度で回転移動できる。 昔の人は飼いならしたオコチョにミルクの袋を取り付けて放牧しておき、その回転力でバターを作っていたという。

ペコドン

気の抜けた見た目とは裏腹に、かなり獰猛。 目に映るもの全てを餌と認識し何が何でも捕食しようとし、野生のペコドンは満腹度が減りやすいパッシブスキル「食いしんぼ」を確定で持っている。

パリピドン

ペコドンによく似た見た目した亜種。ペコドンの生まれ変わった姿であり、自分を変えたいと思ったペコドンに電流が走り、パリピドンへと姿が変わったとされている。
その風貌からかつては高貴な者の象徴とされ、島には巨大なアヌビスの像がいくつも建っている。しかし、富と権を疎む者にとって格好の目印にもなり、いつしかアヌビスは死の象徴と化した。

ミミドッグ

普段は宝箱に擬態しており、非常にレアなアイテム「ドッグコイン」を落とすが、逃げ足も非常に速い。

ジェッドラン

パルパゴス島をはるか上空から見守る「伝説の流星龍」の異名を持つ強力かつ大型のパル。史上最速の速度で飛行することができる。

登場組織

レイン密漁団

パルパゴス島のほぼ全土に出没するパルの密漁者たち。ボスは不明だが幹部の1人としてゾーイが登場する。使用する武器は木の棒からミサイルランチャーまで多種多様。捕獲したパルは闇商人相手に売りさばいて生計を立てている。また、原油を効率的に採取することのできる「オイルリグ」を独自に所有している。

パル愛護団体

パルパゴス島の中心地に出没するパルを愛する者たちで結成された組織。創始者はリリィ。使用する武器は木の棒や弓矢など。パルの保護を目的に掲げており、絶滅危惧種のパルを禁漁区に隔離し自警団を雇い人間の手から守らせている。しかし、下っ端たちはパルを乱獲し、売りさばいて組織の資金源にしており、実態は密漁団とまるで変わらない。その実態にリリィは気が付いておらず、組織の資金源を不思議がっている。

永炎の同志

火山地帯に出没するカルト宗教団体。教祖ことソウルリーダーはアクセル。「炎」を信仰しており、使用する武器は火炎放射器。密漁団や愛護団体のように拠点のような建造物は見当たらず、活動内容は不明なものが多い。

パルパゴス島自警団

パルパゴス島の限界集落や禁漁区に現れる警備員たちが所属する組織。団長は不明だが幹部の1人としてマーカスが登場する。使用する武器はピストルなどの銃火器。他の組織とは異なり、基本的にNPCを攻撃しない限りプレイヤーを襲うことはない。

パル遺伝子研究部隊

雪山地帯に出没するパルの研究チーム。隊長はヴィクター。研究員たちは全身を機械で武装しており、レイルガンを使用する。

月花衆

桜島に出没する忍者のような集団。長はサヤ。構成員たちはいずれも顔を隠しており、刀を使用する。

IP展開

2024年7月10日、パルワールドの知的財産権(IP)を国内外で展開する目的から、ソニーグループソニー・ミュージックエンタテインメント並びにアニプレックスとの合弁で「パルワールドエンタテインメント」を設立することを発表した[28][29][30]

評価

発売前

発表トレーラーはTwitter(現:X)上で33,000件以上のいいねを得た[31]。発表後は「があるポケモン(Pokémon With Guns)」という愛称で呼ばれるようになった[32]。一部の人はこのゲームは「偽物のゲーム(fake game)」であると考えており、開発者たちはこうした否定的な反応に驚いた[33]。またポケットペアの以前の作品『オーバーダンジョン』と『クラフトピア』は未完成の状態であるため、パルワールドを懐疑的に見る人もいた[34]。発表トレーラーの社会風刺的な描写は、野生動物を捕獲して戦わせるという行為の暗い側面に光を当てていると分析されている[31][32]

早期アクセス

批評家からおおむね肯定的な評価を得た。IGNとPC Invasionは楽しい戦闘と夢中になるゲームプレイループを称賛した[35][36]。The Escapistはゲームの拠点構築はパルの協力のおかげでとても順調に行えるため、サバイバルクラフトの面では『Valheim』よりも楽しいと評価した[37]。PCGamesNは、本作の「プレイヤーの行為主体性(Player Agency)」が中立であり、パルの扱い方が自由になっていることを評価した[38]。GameSpotは、モンスター収集ジャンルがその「ゲームプレイとしての搾取システム」を初めて認めたことを称賛し、言っていることと見せていることが違うというこのジャンルの認知的不協和が解消されたと評価した[39]

PC Invasionは、広大なマップには空っぽに感じる場所があり、NPCとの交流も同様に味気ないと述べた[36]。PCGamesNは本作の乱雑なHUDやキーの割り当て、しばしば立ち往生する質の悪いAIを批判した[38]。Wccftechは、戦闘部分は本作の「もっともつまらない部分(its weakest aspect)」であると指摘し、プレイヤーキャラクターがパルと比べて攻撃も防御も弱いため、「敵と戦うのではなく、パルが敵を倒すことを祈りながら自分は敵の攻撃を回避しているだけだ」と批判した[40]

売上

発売から8時間で100万本を売り上げ[2]、発売初日に売上本数が200万本に達した[41]。発売から40時間後には売上が300万本に達した[42]。1月21日には売上本数が400万本を超え、Steamの同時接続者数が120万を突破し歴代5位を記録した[43]。1月23日には売上が600万本を超えたほか[44]、同時接続数が185万人以上になり『PUBG: BATTLEGROUNDS』に次ぐ歴代2位の接続者数を記録した[45]。1月25日には売上が800万本に達し、同時接続数は200万人を超えた[3][46]。2月1日には売上1200万本を達成した[47][48]。2月23日にはSteam版が売上1500万本を達成、Xbox版のプレイヤー数(Game Pass込)も1000万ユーザーに到達した[49]

類似性に対する論争と提訴

ポケモン盗作疑惑

『パルワールド』に登場するパル(モンスター)はポケットモンスターシリーズのコピーであると非難されている[50]

ポケットペアの代表取締役社長の溝部は、TheGamerのインタビューで、パルワールドはポケモンから着想を得ておらず、コンセプトとしてはArk: Survival Evolvedから、パルの全体的な見た目はドラゴンクエストの影響を受けていると述べているが[51]、パルの多くは既存のポケモンに似ていると指摘する声もある[52]。ポケモンに似たゲームとしては『Cassette Beasts』『Temtem』『Anode Heart』などがあり[53]株式会社ポケモンの元最高法務責任者のドン・マクゴーワンもGame Fileのインタビューに対し、「私が株式会社ポケモンの最高法務責任者だった頃に年間で何千回も目にした、よくあるパクリのナンセンスなゲームに似ています。」とコメントしている[54]。ポケットペアのアーティストに対して誹謗中傷が送られることもあった[55][56][57]

専門家の見解

海外メディアのIGNは、疑われている類似点の多くはありふれたものであるが、一部のものは露骨であると述べた[58]

その一方で、Gamer Networkの顧問弁護士であるTim Cottonは「ポケモン側がデザインの侵害について主張するには、厳しいものになるだろう」と指摘したほか、別の弁護士も「ゲーム自体についてはゼルダの伝説モンスターハンターMinecraftの寄せ集めであり、既存のポケモンと異なる故に、任天堂に勝ち目はない」と述べ、モンスターの見た目に関して勝訴するのはとても難しいと結論づけた[59]

Rock Paper Shotgunの記者Edwin Evans-Thirlwellは、著作権は抑圧の手段にもなり得ると述べ、どんな些細な類似点も法廷に持ち込もうとする「熱意」は哀れだと批判した[60]フランスコンピュータゲーム開発企業Arkane Studioのディレクターを務めるDinga Bakabaは、ソウルライクなどを例に挙げ、「模倣は最高の褒め言葉だ」と述べている[61]

日本のメディアのReal Soundもかつて争われた『ファイアーエムブレム』と『エムブレムサーガ』をめぐる任天堂エンターブレインの訴訟結果[62]が、不当競争防止法違反に関して任天堂側の請求が一部認められた一方で、著作権侵害については全面的に棄却されたことを挙げ、「どれだけ似通った世界観、ゲーム性、キャラクターデザインなどを持ち合わせていたとしても、著作権の侵害には問われなかった」ことから、ファンに受け入れがたい内容であっても法律上は問題がないだろうと推測した[63]

Forbes Japanも「IPに関して言えば、『パルワールド』ではポケモンの表現やキャラクターがそのまま使用されているということはない」と指摘した上で、「コンセプトには、著作権はない」と著作権法上の観念を紹介し、アセット(素材)盗用が確認されない限りにおいて「他の作品をまねただけの『怠惰なデザイン』だとしても、実際の窃盗行為があったことが証明できない限り、盗用とは認められない」と報じた[64]

前川知的財産事務所所属の弁理士、砥綿洋佑は、商業上の秘密や営業上の信用など、著作権等によって直接的にはカバーされない分野を保護する不正競争防止法の面から、株式会社ポケモンではなく、ポケモンのキャラクターデザインにも関与している株式会社クリーチャーズが行動を起こすかどうか論点になりうるとしている。だが「様々な論点があり予測が難しい」としており、著作権の面でも「一部のパルと一部のポケモンとの間に共通点とみられる部分があるとしても、それがアイデアの段階にとどまり、具体的表現として一致しなければ、著作権の侵害とは言えない」と述べている[65][66]

任天堂に在籍していた大阪国際工科専門職大学教授今村孝矢は自身のX(旧Twitter)で、「多くの人にポケモンと酷似している印象を与えたのは事実でしょう。これらのリスクを承知でしっかりとしたゲームを作り上げるクリエイターの出現に私個人驚きを隠せません。」と述べた上で、「今回の成功で他社もここまで似せた印象を作っても良いんだと言う目安にならない様に任天堂側もなんらかの策を講じているのではないでしょうか?」とし、ポケモンそのものの価値が下がるのを絶対に避けたいと考えているはずと綴っている[67]

ゲームプロデューサーの岡本吉起も、自身のYouTubeチャンネルで、任天堂はこれでは動かないとした上で、「本当はコピー屋を支える行動は控えるべき」、「(ゲーム業界の発展のために)膿出しはしっかりした方がいい」と暗に否定した[68]。またゲーム内で、パルが銃を持っている描写に対して、Rock Paper Shotgunは上記と同記事内で、「訴える手段になり得る」とも述べている[59]

株式会社ポケモンは2024年1月25日、パルワールドに関する問い合わせに対するとみられる「他社ゲームに関するお問い合わせについて」という声明を発表し[69][70]、「いかなる利用も許諾していないこと」、また「ポケモンに対する知的財産権の侵害行為に対しては調査の上で適切な対応を取っていくこと」を表明した[69]任天堂の社長を務める古川俊太郎は『パルワールド』について「自社の知的財産権を侵害しているものに対しては、適切な対応を取ることになる」と一般論に留めた[71]

任天堂および株式会社ポケモンによる特許権侵害訴訟

2024年9月19日、任天堂株式会社ポケモンは『パルワールド』が複数の特許権を侵害しているとして、侵害行為の差し止めと損害賠償を求めてポケットペアを提訴した[72]

ポケモンに対する批判

パルワールドの成功に伴い、多くのメディアがポケモンの停滞を指摘した。TheGamerは「ポケモンは私にもう何も感じさせない」と題する記事の中で、Switchで発売されたポケモンゲームは『New ポケモンスナップ』以外はプレイしていて何も感じなかったと述べ[73]、別の記事でもポケモンの物語構造がほとんど変わらないことを問題視した[74]。The Escapistは、歴代のポケモンゲームがあまり進化してこなかったことを指摘し、ポケモンは『パルワールド』から多くを学べるだろうと述べた[75]。Forbesは、ポケモンは「Nintendo Switchの限られたグラフィック性能でさえも引き出しきれていなかった」と非難し、ポケモンと『パルワールド』のグラフィックには歴然とした差があると指摘した[76]。IGN Japanは、ポケモンシリーズではポケモンと人間の間にある倫理的な問題が曖昧にされてきたと指摘し、『パルワールド』はこの問題を解消していると評した[77]

IGNPolygonは、『パルワールド』の成功はポケモンの停滞に対するファンの不満が要因であると指摘する[78][79]。一部のポケモンファンは、近年のポケモンゲームが進化しておらず動作も悪いため、『パルワールド』の成功が形式的、技術的に陳腐化したポケモンに革新を促すきっかけになることを期待している[78][80][81][82]

脚注

  1. ^ a b Stewart, Marcus (November 24, 2023). “Creature Feature – Capturing The Curious Story Of Palworld”. GameInformer. January 20, 2024閲覧。
  2. ^ a b Kawase, Ayuo (2024年1月19日). “オープンワールドサバイバル『パルワールド』発売から8時間で「売上100万本」突破。同時接続37万、Steam売上全世界1位、バズり方モンスター級”. AUTOMATON. 2024年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月20日閲覧。
  3. ^ a b 株式会社インプレス (2024年1月25日). “「パルワールド」リリースから5日半で売上本数800万本を達成! 最大同時接続数も200万人を達成”. GAME Watch. 2024年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  4. ^ a b Yokoyama, Keiichi (2023年9月21日). “オープンワールドモンスター育成ゲーム『パルワールド』にはリリース時から100種類以上のパル登場へ。無慈悲に“地上爆撃”するパルなどいろいろお披露目”. AUTOMATON. 2024年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  5. ^ 株式会社インプレス (2024年1月24日). “【パルワールド小ネタ】食べ物の消費期限は“実質永久”! 食べ物管理のコツを紹介”. GAME Watch. 2024年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  6. ^ a b 株式会社インプレス (2024年1月19日). ““ポケモンライクなキャラ”だけじゃない! モンスター収集サバイバル「パルワールド」プレイレポート 「ポケモン」×「ゼルダ」×「ARK」のような“ゲーマーに刺さる”タイトル”. GAME Watch. 2024年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  7. ^ 株式会社インプレス (2024年1月26日). “発売直後の大ヒットはなぜ? 「パルワールド」の今とこれからを考える【石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』】”. 窓の杜. 2024年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  8. ^ Lee, Julia (2024年1月24日). “All tower boss locations and best tower boss order in Palworld” (英語). Polygon. 2024年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  9. ^ Jurkovich, Tristan (2024年1月20日). “Palworld: 6 Beginner Mistakes To Avoid” (英語). Game Rant. 2024年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  10. ^ Novichenko, Artur (2024年1月19日). “Palworld: How to Remove Wanted Status” (英語). Game Rant. 2024年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月26日閲覧。
  11. ^ JP, AUTOMATON (2024年1月19日). “『パルワールド』開発者インタビュー。「Steamウィッシュリスト180万」「事例研究したのに前例ない仕様に」異例だらけの新作オープンワールドゲームの破天荒すぎる船出事情”. AUTOMATON. 2024年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月20日閲覧。
  12. ^ sebastiany (2024年2月1日). “『パルワールド / Palworld』が Xbox Game Pass 史上最大のサード パーティー ローンチ タイトルに”. Xbox Wire Japan. 2024年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月9日閲覧。
  13. ^ PS5版『パルワールド』が世界68の国で9月25日にリリースされたものの、日本の発売時期は未定”. 2024年9月25日閲覧。
  14. ^ Yokoyama, Keiichi (2021年6月5日). “オープンワールドモンスター育成銃撃RPG『パルワールド』発表。不思議な生物パルと共に送る生活と戦闘”. AUTOMATON. 2021年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月20日閲覧。
  15. ^ Inc, Aetas. “オープンワールドモンスター育成RPG「Palworld」が2022年内にリリース。“クラフトピア”を手掛けるポケットペアの新作”. 4Gamer.net. 2022年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月20日閲覧。
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  18. ^ Stewart, Marcus. “Palworld Catches A January Early Access Launch Date” (英語). Game Informer. 2024年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月20日閲覧。
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  20. ^ 『パルワールド』Xbox、Steamで本日(1/19)17時リリース。100種類以上のモンスターを捕獲、育成、強制労働、売却、食用できるサバイバルクラフト | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com”. ファミ通.com (2024年1月19日). 2024年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月20日閲覧。
  21. ^ 望月崇 (2024年3月15日). “人気ゲーム「パルワールド」、他のプラットフォームでの展開可能性も”. Bloomberg.com. 2024年3月15日閲覧。
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外部リンク